リハビリセラピストが心電図の波形を解析できるようになるとどんなメリットがあるのでしょうか?
本記事では…
- 療法士が心電図を解析する目的
- 心電図の解析と特徴
…について解説します。
セラピストが心電図を解析する目的
まず、リハビリセラピストが心電図を解析する目的としてですが、次のようなものがあげられます。
- 患者の状態把握のため
- 治療プログラム立案のため
- 治療効果の評価のため
以下にそれぞれ解説します。
患者の状態把握のため
心電図の解析は、患者の心臓の電気的な活動やリズムを評価するために行われます。
これにより、心臓の異常や不整脈の有無を把握することができ、患者の状態把握につながります。
治療プログラム立案のため
患者の心臓の状態や不整脈の特徴を理解することで、適切な運動や活動の制限、安全な運動強度の設定などの心電図解析結果は、非常に重要な情報源です。
この情報は、リハビリテーションの治療プログラムを立案する際に役立ちます。
治療効果の評価のため
治療の進捗や改善の程度を心電図の変化から判断し、治療プランの調整や予後の予測に役立ちます。
また、治療後の心電図の比較により、患者の心臓機能の回復や安定性の向上を評価することができます。
心電図波形の解析と特徴
心電図の波形の解析のためには、それぞれの波形の名前、特徴について知っておかないといけません。
心電図波形は…
- P波
- QRS波
- T波
- U波
…からなります。
これらの波形を解析することで、心臓の異常を診断することができます。
P波
P波は心電図波形の最初の正の変動であり、心房の収縮を表します。
通常は0.08秒未満の短い波形で、正常なP波は均一で円錐状です。
P波が異常な場合は、心房が異常な状態にあることを示すことがあります。
QRS波
QRS波は心電図波形の中で最も大きな波であり、心室の収縮を反映します。
QRS波は通常、0.06秒以上で始まり、0.10秒未満で終わります。
正常なQRS波は鋭く尖った形状であり、心室興奮の正常な伝導を示します。
QRS波の異常は心室興奮伝導の異常を示唆することがあります。
T波
心室の再分極を表す波形で、正常な場合はQRS波の直後に現れます。
正常なT波は均一で滑らかな形状を持ちます。
T波が異常な場合は、心室の再分極が異常な状態にあることを示すことがあります。
U波
U波は一部の人にのみ見られる心室の再興奮を表す小さな波形であり、T波の後に現れることがあります。
U波が異常な場合は、心室の再興奮が異常な状態にあることを示すことがあります。
正常なU波はほとんど見られず、異常なU波は心筋疾患や電解質異常を示す可能性があります。
U波は低電解質、心筋虚血、あるいは薬物の副作用によって引き起こされることがあります。