これは何か
左右に配置されたターゲットを探して選ぶ、視覚探索のための試作課題です。
左右空間への探索の偏り、見落としの傾向、探索順序を観察し、対象者本人や家族、スタッフに「どこを見落としやすいのか」「どのように探しているのか」を説明する補助として設計しています。
この課題は、診断や重症度判定を目的としたものではありません。
成績そのものよりも、探索のしかた、見落とし方、声かけや環境調整による変化を確認するための教材的なツールです。
想定する対象
半側空間無視、視空間認知の低下、注意配分の偏りが疑われる方への説明や、探索方略を教材化したい場面を想定しています。
また、作業療法士やリハビリ職が、左右探索の特徴を短時間で共有するための教育用ツールとしても使用できます。
たとえば、以下のような場面での使用を想定しています。
- 左右どちらかの刺激を見落としやすい
- 画面や机上の端まで確認しにくい
- 探索の順序が一定せず、確認漏れが出やすい
- 声かけや指差しによって探索が変化するか確認したい
- 本人や家族に、見落としの特徴をわかりやすく説明したい
使用場面
ベッドサイド、机上課題、教育場面などで、短時間に実施することを想定しています。
成績だけを見るのではなく、どちら側から探し始めるか、どの位置を見落としやすいか、声かけや環境調整によって探索が変化するかを確認します。
実施時には、姿勢、画面との距離、視線の向き、疲労、理解度、入力方法への慣れなどもあわせて観察します。
使い方
まず、目的、入力方法、実施時間を確認します。
対象者には短く説明し、練習試行で課題の理解を確認します。
実施中は、疲労、姿勢、視線、理解度、迷い、修正行動を観察しながら、無理のない範囲で短時間実施します。
結果は、正答数だけでなく、以下のような点と合わせて記録します。
- 操作の質
- 探索の順序
- 見落とした位置
- 迷い方
- 修正行動の有無
- 声かけによる変化
この課題では、「何個正解したか」だけでなく、「どのように探していたか」を見ることが重要です。
課題の構造
課題は、左右の刺激配置、中央基準、探索順序、反応入力で構成されています。
刺激数、左右比率、表示位置、背景の複雑さなどを変えることで、条件による探索の変化を確認できます。
たとえば、刺激数を少なくして背景を単純にすると、課題理解を確認しやすくなります。
一方で、刺激数を増やしたり、左右差をつけたり、背景を複雑にしたりすると、探索の負荷を高めることができます。
作業療法的に見ている要素
この課題では、以下のような点を観察します。
- 探索をどこから開始するか
- 左右どちらに見落としが出やすいか
- 中央から外側へ探索が広がるか
- 端の刺激に気づけるか
- 一度見落とした位置を再探索できるか
- 迷ったときに修正行動が出るか
- 声かけや指差しで探索が変化するか
- 環境調整によって探しやすさが変わるか
単なる正誤ではなく、「どのように探しているか」を見るための課題です。
難易度調整
刺激数、左右比率、背景の複雑さ、制限時間、フィードバックの有無を調整することで、難易度を段階的に変えることができます。
最初は刺激数を少なくし、背景を単純にした状態から始めると、課題理解を確認しやすくなります。
慣れてきたら、以下のように探索負荷を上げていきます。
- 刺激数を増やす
- 左右の配置に偏りをつける
- 端の刺激を増やす
- 背景を複雑にする
- 制限時間を加える
- フィードバックを減らす
ただし、難易度を上げること自体が目的ではありません。
対象者がどの条件で見つけやすくなり、どの条件で見落としやすくなるかを確認することが目的です。
記録できる指標
今後の設計では、以下のような指標を記録できるようにする予定です。
- 左右別の正答数
- 左右別の見落とし数
- 反応時間
- 最初に選んだ位置
- 探索順序
- 声かけ前後の変化
- 条件変更による成績の変化
これらの指標は、診断や判定のためではなく、探索傾向を説明し、介入方略を考えるための参考情報として扱います。
生活行為への転移
左右探索の偏りは、日常生活のさまざまな場面に影響します。
たとえば、以下のような場面です。
- 食事トレー上の食べ残し
- 車椅子操作時の接触
- 洗面台周囲の物品探索
- 更衣時の片側の確認漏れ
- スマートフォン画面の見落とし
- 机上作業での確認漏れ
- 書類やプリントの端の読み飛ばし
この課題で見られた探索の特徴を、生活場面での環境調整、声かけ、物品配置、確認手順の工夫につなげることを目的とします。
たとえば、左側を見落としやすい場合には、左端を確認する声かけ、視覚的な目印、物品配置の調整、指差し確認などを検討します。
注意点
このアプリは、半側空間無視や視空間認知障害の有無を単独で判断するものではありません。
結果を解釈する際には、疲労、姿勢、視力、理解、注意の持続、運動機能、入力方法への慣れなどを含めて総合的に見る必要があります。
臨床判断には、標準化された検査、ADL場面での観察、本人・家族からの情報、他職種の情報をあわせて確認してください。
また、課題によって失敗体験が強くなる場合や、疲労が目立つ場合には、実施時間を短くするか中止してください。
本アプリは、臨床判断を代替するものではなく、探索の特徴を共有し、支援方法を考えるための補助的なツールです。