AMSD(標準ディサースリア検査)- 目的・対象や特徴などについて

検査

AMSD(標準ディサースリア検査)は、発話障害を総合的に評価する標準化された臨床検査法です。
本記事ではAMSDの目的や対象、特徴などについて解説します。


AMSD(標準ディサースリア検査)とは?

AMSD(Assessment of Motor Speech for Dysarthria・標準ディサースリア検査)は、発音・発語の臨床において必要な検査法の一つです。
国際医療福祉大学の西尾正輝氏によって作成されました。

対象

AMSDは、特に19歳以上の成人を対象としています。
この検査は、発話障害、すなわちディサースリアが疑われる成人に適用されることを目的としています。

ディサースリアは、脳卒中、外傷性脳損傷、神経系の疾患、筋肉の障害など、さまざまな原因によって生じる可能性があります。
この年齢層を対象とすることで、成人特有の発話障害の原因や特徴をより適切に評価し、個々の患者に合わせた治療計画を立てることが可能になります。

成人患者では、発話障害が職業や日常生活に大きな影響を及ぼすことがあるため、適切な評価と治療が重要です。
AMSDは、これらの患者に最適なサポートと介入を提供するための基礎を築きます。

ディサースリアとは?

ディサースリア(運動性構音障害)は、神経系の損傷によって引き起こされる運動性の言語障害です。
この障害は、呼吸、喉頭機能、気流の方向、そして発音に関連する障害により、言葉の質と理解しやすさに影響を及ぼします。

また、ディサースリアは多くの神経学的状態の頻繁な症状であり、進行性の神経疾患と一般的に関連しています。
この障害は、コミュニケーションが個性と社会的関係を表現する上で重要であるため、患者とその家族に深刻な影響を与えます1)

ディサースリア(運動性構音障害)とは? - 定義・分類について
神経系の障害による発話障害で、原因や症状により様々なタイプに分類される"ディサースリア"について解説します。

特徴

AMSD(標準ディサースリア検査)はは三つの主要なプロセスを包含しています。

  • 一般的情報の収集
  • 発話の検査
  • 発生発語器官検査

以下にそれぞれ解説します。

一般的情報の収集

一般的情報の収集段階では、患者の個人情報、健康状態、発話障害の歴史などの基本的な情報を収集します。
これには、患者の年齢、性別、職業、教育水準、そして言語やコミュニケーションに関する既往症歴が含まれます。
この情報は、患者が現在直面している発話の問題をより深く理解するのに役立ちます。

例えば、患者が以前に脳卒中、外傷、または神経系の障害を経験していた場合、これらの状態が発話障害にどのように影響を与えているかを理解することが重要です。
さらに、患者の家族歴、特に発話障害に関連する遺伝的または発達的要因も重要です。

この情報は、患者の現在の状態を診断し、適切な治療計画を立てるための基盤となります。

発話の検査

発話の検査では、患者の発声の質、明瞭さ、音調、音量、リズムなど、発話の様々な側面を詳細に評価します。
このプロセスは、発話障害の種類と程度を特定するために重要です。
例えば、発声が不明瞭である場合、それは発音の問題や口腔内の筋肉の弱さから生じている可能性があります。
また、声の震えや音量の変化は、声帯の機能障害や神経系の問題を示唆することがあります。
この検査では、患者に様々な言語タスクを実行してもらい、その過程で発話の特徴を観察します。
これには、単語や文の発声、長い話の語り、日常的な会話のシミュレーションなどが含まれます。

患者の発話パターンを分析することで、治療計画の策定と発話障害の改善に向けた具体的な目標を設定することができます。

発生発語器官検査

発生発語器官検査は、口、舌、顔の筋肉など、発話に関わる器官の機能を評価するプロセスです。
この検査は、これらの器官の筋力、協調性、動きの範囲、そして感覚機能を詳細に調べることで、発話障害の根本的な原因を特定するのに役立ちます。
例えば、舌の筋力の弱さや運動の制限は、明瞭な発音の困難さにつながる可能性があります。
また、顔の筋肉の協調性が低い場合、表情の制御や口の動きに影響を及ぼし、結果的に発話の質に影響を与えることがあります。
この検査では、患者にさまざまな口腔運動や表情を作るように依頼し、その過程での動きの質や範囲を観察します。
この情報は、発話障害の原因を理解し、特定の筋肉群や運動に焦点を当てた治療法を開発するために不可欠です。

また、この検査は、治療の進行状況をモニタリングし、必要に応じて治療計画を調整するためにも使用されます。

この検査は、感度、特異度、信頼性が検討されており、10年間のエビデンスの蓄積を経て標準化されたんだ!
国際生活機能分類(ICF)に準じた内容となっているんですね!

参考

Enderby, P. (2013). Disorders of communication: dysarthria.. Handbook of clinical neurology, 110, 273-81 . https://doi.org/10.1016/B978-0-444-52901-5.00022-8.

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