バーセルインデックス(Barthel Index)とは?|ADL評価の基礎・採点・カットオフ値・FIMとの違いを徹底解説

バーセルインデックス(Barthel Index:BI)は、ADL(日常生活動作)の自立度を簡便に数値化できる代表的な評価法です。
本記事では、BIの基本構造・採点基準・カットオフ値から、FIMとの違いや臨床応用、最新のデジタル活用までを作業療法士・理学療法士向けにわかりやすく解説します。



基本情報|バーセルインデックスとは

バーセルインデックス(Barthel Index:BI)は、1965年にMahoneyとBarthelによって開発されたADL評価スケールです。
短時間で実施でき、信頼性・妥当性ともに高く、世界中で広く用いられています。

特徴まとめ

  • 評価項目:10項目
    • 食事
    • 移乗(ベッド⇔車いす)
    • 整容
    • トイレ動作
    • 入浴
    • 歩行または車いす移動
    • 階段昇降
    • 更衣
    • 排便管理
    • 排尿管理
  • 評価対象:実際に「行っているADL(実行可能なADL)」を評価
  • 配点方式
    • 0点(全介助)
    • 5点(部分介助)
    • 10点(自立)
    • 移乗・移動のみ15点(最大点)
  • 総得点範囲:0〜100点
  • 評価時間:約10〜15分

BIは「できるはず」ではなく、「実際にしている動作」を基準に採点する点が特徴です。
医療・介護・福祉の現場で標準化されたスコアとして、経過記録やリハ計画に欠かせないツールです。



対象と適応|どんな場面で使うか

バーセルインデックスは、ADLの自立度を包括的に把握したいケースに適しています。

主な対象

  • 脳卒中・骨折・神経難病・高齢者全般
  • リハビリ初期〜在宅移行期
  • 介護保険領域(要介護度評価の補助指標として)

適応場面

  • 入院・通所・訪問リハビリでのADL能力評価
  • 在宅復帰可否の判断
  • 他職種(看護・介護職)との共通指標
  • 研究・統計におけるADLスコア化

BIは、重度から軽度までの障害レベルをざっくり把握できることが最大の利点です。
ただし細かな変化にはやや鈍感(天井効果)なため、回復期や軽症例ではFIMやPSMSなどとの併用が推奨されます。



実施方法|Barthel Indexの評価手順

評価は観察・面接・記録情報から総合的に行います。
以下は標準的な採点項目と配点基準の一部です。

項目評価段階得点評価基準の例
食事自立/部分介助/全介助10/5/0自助具を使用し標準時間で完食可なら10点
移乗(ベッド⇔車いす)自立/軽介助/部分介助/全介助15/10/5/0ブレーキ操作も含め安全に移乗可なら15点
整容自立/介助5/0洗顔・歯磨き・整髪・髭剃りを介助なく行える
トイレ動作自立/部分介助/全介助10/5/0出入り・下衣処理・後始末を含めて自立
入浴自立/介助5/0見守り不要で洗体・浴槽出入りが安全に可能
歩行(または車いす)自立/介助歩行/車いす/全介助15/10/5/050ヤード(約46m)以上を自立歩行できる
階段昇降自立/部分介助/全介助10/5/0手すりや杖を使用しても自立可
更衣自立/部分介助/全介助10/5/0装具・靴を含め自立。代替留め具も可
排便管理自立/部分介助/全介助10/5/0失敗なし。座薬や浣腸の操作も含め自立
排尿管理自立/部分介助/全介助10/5/0昼夜ともに失敗なし。尿器使用も自立

評価は「24〜48時間内の平均的な遂行」をもとにし、
「安全・安定・自発性」を考慮して点数化します。



採点と解釈|スコアの意味を理解する

バーセルインデックスは100点満点評価で、得点が高いほどADL自立度が高いことを示します。

合計得点評価区分(代表的分類)
0〜20点全介助(重度依存)
21〜60点中等度依存
61〜90点軽度依存
91〜99点ごく軽度依存
100点自立

得点は「依存度の指標」であり、単なる“ADLの数”ではありません。
同じ合計点でも、どの項目で減点されているかにより生活上の課題が異なるため、プロセス評価と合わせて記録することが大切です。

また、BIは短時間で信頼性の高いADLスコアを得られる反面、軽度障害者では天井効果が生じやすく、変化を細かく追うには不向きです。



カットオフ値|どこから自立とみなすか

Granger(1979)らの報告では、
60点を介助から部分自立への転換点として提示しています。

また臨床では次のような基準も用いられます。

  • 60点未満:介助が必要なADLレベル
  • 60〜90点:部分自立(介助または監視あり)
  • 91〜99点:軽度依存
  • 100点:完全自立

かつて「85点以上=自立」とする分類もありましたが、
文献により区分は異なります。
近年は「91〜99=軽度依存、100=自立」と定義する報告が主流です。

したがって、スコアの絶対値よりも経過変化を重視することが重要です。



標準化とバージョン情報|改訂の歴史と国際的使用

  • 原版(1965年):Mahoney & Barthel による初版。
  • Granger(1979):リハビリ効果判定に関する研究で、60点基準を提案。
  • Modified Barthel Index(MBI):1988〜1989年にShahらが改訂し、より詳細なスコア化(5段階評価など)を導入。

日本では、改訂版Barthel Index(MBI)が多くの病院で採用されています。
また日本語版の信頼性・妥当性も複数の研究で検証されています(大川ほか, 2003 など)。

バージョン特徴主な用途
Original BI(1965)3段階評価・10項目介護・福祉現場でのスクリーニング
Modified BI(1989)5段階評価・詳細化回復期・研究分野
日本語版BI翻訳・文化調整済み臨床・学術研究両方に使用可


臨床応用と活用事例|どのように使うか

バーセルインデックスは、次のような臨床場面で活用されています。

活用例

  • 入院リハ開始時・退院時のADL比較
  • 在宅復帰や介護度申請の客観資料
  • 多職種カンファレンスでの共通言語
  • 研究・統計での機能予後予測

評価のコツ

  • 「できる」より「実際にしている」ことを重視する。
  • 観察・本人申告・家族情報を総合して判断する。
  • 見守りや危険回避の必要性も点数判断に含める。
  • 自助具・環境調整は使用可。

注意点

  • 軽症例では天井効果あり(初期で高得点化しやすい)。
  • 重症例では変化が大きく出やすいが、FIMとの併用が望ましい。


他検査との関連|FIMとの比較

BIとFIMはともにADLを数値化するスケールですが、目的と精度に違いがあります。

項目BIFIM
評価項目数10項目18項目(運動13+認知5)
総得点100点126点(7点×18項目)
評価内容実際にしているADL介助量(Burden of Care)
難易度簡易詳細
所要時間約10分約30分
情報量
天井効果高い低い
床効果小さいやや大きい

BIは全体像のスクリーニング
FIMは詳細分析と追跡評価に向いており、
患者の状態や目的に応じて併用するのが理想です。



デジタル・ICT対応|電子カルテとAIでの活用

近年では、Barthel Indexもデジタル化・ICT連携が進んでいます。

主な動向

  • 電子カルテ連携:自動スコア集計・グラフ化機能
  • スマートフォン・タブレット評価アプリ:入力補助や履歴管理
  • AI予測モデル:BIスコアから退院先・介護度を機械学習で予測
  • リモートリハ評価:ビデオ通話によるADL観察

代表的アプリ・ツール

  • 「RehabScoring」:BI・FIM・MMSEを統合記録
  • 「ADL Analyzer」:BIの項目別推移をグラフ化

これらを活用することで、評価業務の効率化だけでなく、
多職種連携・経過管理・研究データ化がスムーズになります。



🏁まとめ

バーセルインデックスは、短時間でADL全体を評価できる便利なスケールです。
一方で、軽度障害では天井効果に注意し、FIMなどとの併用が推奨されます。
ICTツールを活用し、スコアを経時的に可視化することで、より質の高いリハビリ計画立案に役立てましょう。


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