DESIGN-R®とは?褥瘡評価スケールの項目・方法・点数を徹底解説【2025年最新版】

DESIGN-R®(デザインアール)は、日本褥瘡学会が開発した褥瘡(床ずれ)の重症度と治癒過程を客観的に評価するスケールです。
本記事では、DESIGN-R®の7項目(深さ・滲出液・大きさ・炎症・肉芽・壊死・ポケット)を中心に、評価方法・スコアの見方・臨床活用のポイントを、リハビリセラピストや看護師にもわかりやすく解説します。
褥瘡の治療効果を「見える化」し、チームケアに役立つ実践的な内容です。



基本情報:DESIGN-R®の概要と目的

DESIGN-R®(デザインアール)は、日本褥瘡学会(JSPU)が作成した褥瘡評価スケールで、「Depth(深さ)」「Exudate(滲出液)」「Size(大きさ)」「Inflammation/Infection(炎症・感染)」「Granulation tissue(肉芽組織)」「Necrotic tissue(壊死組織)」「Pocket(ポケット)」の7項目から構成されています。

この7項目の頭文字をとったものが「DESIGN」であり、最後の「R」はRating(評価)を意味します。
2020年改訂版では、客観性・再現性・臨床妥当性の向上が図られました。

項目意味臨床での意義
Depth創の深さ組織損傷の範囲を把握
Exudate滲出液感染・炎症リスクの指標
Size大きさ損傷範囲の定量化
Inflammation/Infection炎症・感染局所・全身反応の評価
Granulation肉芽組織治癒の進行度を示す
Necrotic tissue壊死組織治癒阻害・感染リスク
Pocketポケット隠れた空洞や深部拡大の評価

DESIGN-R®は、創傷の状態を定量的に記録・共有するための「共通言語」として、看護師・医師・リハスタッフが協働するうえで不可欠なツールです。



対象と適応:DESIGN-R®を使う場面と対象者

DESIGN-R®の対象は、褥瘡(じょくそう)や慢性創傷を有する患者です。
主な使用場面は以下の通りです。

  • 長期臥床患者の褥瘡発生・治癒の経過観察
  • 介護・在宅領域での創傷ケア評価
  • 医療機関での治療効果のモニタリング
  • チームカンファレンスにおけるケア共有ツール

適応例としては、次のようなケースが挙げられます。

  • 在宅療養中で臀部や踵に褥瘡を有する高齢者
  • 麻痺・拘縮などで体位変換困難な患者
  • 長期入院や透析など、皮膚脆弱リスクの高い患者

一方で、急性外傷や手術創などの一時的な創傷には必ずしも適応ではありません。

DESIGN-R®は、単なるスコアリングツールではなく、「治療・予防・教育をつなぐ評価体系」として用いることが推奨されています。



実施方法:評価の手順と観察ポイント

DESIGN-R®は以下の流れで評価を行います。

  1. 評価環境の準備
     清潔な手袋・照明・定規やメジャーを準備します。
     患者体位を固定し、毎回同じ条件で観察することが大切です。
  2. 創の観察
     7項目を順に観察します。特に「深さ」「大きさ」「滲出液」は定量的に測定します。
  3. 各項目のスコアリング
     各要素を基準表に基づいて数値化します(後述)。
  4. 合計点の算出
     深さ(Depth)を除く6項目の合計点を求めます。
  5. 記録と共有
     所見を経時的に記録し、他職種と情報共有します。

また、評価は創の一番深い部分で実施し、同一体位・同一照明条件を維持することで再現性を高めます。
滲出液や肉芽組織など、変化の出やすい項目は写真記録を併用すると有用です。



採点と解釈:スコアの意味と判定基準

DESIGN-R®のスコアは、以下のように構成されます。

  • D(深さ):d0~D5(0~5段階、参考情報。合計点に含まれない)
  • E(滲出液):0~6点(量・交換頻度により判定)
  • S(大きさ):0~15点(面積に応じて段階化)
  • I(炎症/感染):0~9点(局所・全身反応)
  • G(肉芽組織):0~6点(良性肉芽の割合で評価)
     →※g(小文字)は0点(治癒・浅い創・DTI疑い)
  • N(壊死組織):0~6点(壊死の有無・量)
  • P(ポケット):0~24点(空洞の範囲)

記載例

D3-E1-S6-I3-G3-N3-P0:16点

スコアが高いほど重症であり、経過とともに点数が減少すれば治癒傾向と判断できます。
数値化により、治療効果の評価・経時変化の追跡・職種間共有が容易になります。



カットオフ値:重症度と治癒判定の目安

DESIGN-R®には、絶対的な「治癒/非治癒」のカットオフはありませんが、総合点の変化量が治療効果の指標として用いられます。

  • 0点:創が完全に治癒した状態
  • 1〜15点:軽度の褥瘡(限局的)
  • 16〜30点:中等度(感染・炎症を伴う)
  • 31点以上:重度(深部組織・壊死を含む)

特に10点以上の減少は臨床的改善を示す指標として報告されています。
また、治療前後のスコア差を比較することで、治療効果を客観的に評価できます。

このように、カットオフ値ではなく、経時的変化の方向性(改善・悪化)を重視することがポイントです。



標準化・バージョン情報:2020年改訂版の特徴

最新のDESIGN-R®は、「改訂DESIGN-R®2020 コンセンサス・ドキュメント」に基づいています。

主な変更点は以下の通りです。

  • 「R=Rating」を明確化
  • 項目基準と配点を再整理(臨床妥当性の強化)
  • 各項目の小文字=0点、大文字=評価対象を統一
  • 評価記録様式とサンプルシートを改訂(PDF配布)
  • 0~66点スケールの明文化

学会公式サイトから最新版シート(日本語/英語版)がダウンロード可能です。
これにより、国内外の研究・臨床での比較可能性が向上しました。



臨床応用と活用事例:リハビリでの使い方

リハビリ領域では、DESIGN-R®は以下のような目的で活用されています。

  • 体位変換や除圧訓練の効果判定
  • ポジショニング・褥瘡予防具(クッション等)の効果比較
  • 在宅・施設での訪問リハ時の経過共有
  • NSTや褥瘡対策チームでの共同評価ツール

褥瘡の治癒過程には、「血流改善」「ずれ・摩擦の軽減」「栄養状態」など多面的要素が関与します。
そのため、理学療法士・作業療法士がDESIGN-R®を理解し、姿勢制御やADL活動量の変化を評価に結びつけることは非常に重要です。



他検査との関連:他の褥瘡評価法との違い

褥瘡評価に用いられる主なスケールとの比較は以下の通りです。

スケール名主な目的特徴DESIGN-R®との違い
DESIGN-R®重症度・治癒過程の定量評価7項目・0~66点経過観察に強い
PUSHスケール面積・滲出液・組織状態簡便・短時間国際比較向けだが日本版なし
Bates-Jensen Wound Assessment Tool (BWAT)包括的創傷評価13項目評価精度高いが時間がかかる

DESIGN-R®は、日本の医療現場で標準化されており、PUSHやBWATに比べて教育・共有に適している点が特徴です。



デジタル・ICT対応:ICT化による効率的な褥瘡評価

近年は、DESIGN-R®を電子カルテやモバイル端末で入力・共有できるシステムが普及しています。
これにより、評価の標準化とチーム間共有が飛躍的に向上しています。

主な動向は以下の通りです。

  • AI画像解析との連携:創写真から自動スコア推定を行う研究が進行中
  • リハビリ支援ソフトとの連携:除圧訓練・ポジショニングの効果を自動記録
  • クラウド評価シート:複数施設での経過共有・研究利用が可能
  • 遠隔褥瘡評価(Tele-Wound):在宅医療・訪問リハでの活用が拡大

今後は、IoTセンサーによる体圧分布解析や、創傷画像からの自動スコアリングなど、AI×DESIGN-R®による予測的褥瘡管理が期待されています。



まとめ

DESIGN-R®は、褥瘡の「見える化」を可能にした標準スケールです。
リハビリ職がこれを活用することで、ポジショニング・運動療法・ADL訓練と創管理の連動が可能になります。
正確な評価とチーム共有が、患者のQOL向上に直結します。


参考文献

  • 日本褥瘡学会(JSPU). 改定 DESIGN-R®2020 コンセンサス・ドキュメント.
  • 日本褥瘡学会. DESIGN-R®2020 評価シート.
  • Matsui, Y. et al. Wound Repair and Regeneration, 2011.
  • 「DESIGN-R®2020 つけ方マスター」照林社, 2020.

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