FIM(機能的自立度評価表)の完全ガイド|項目・採点・解釈・活用法まで徹底解説【リハビリ専門職向け】

FIM(Functional Independence Measure/機能的自立度評価表)は、リハビリテーションや介護分野で最も広く使われるADL評価スケールです。
18項目を7段階で評価し、運動・認知の両面から自立度を定量化できるのが特徴です。
本記事では、FIMの構成項目・採点基準・解釈方法・臨床応用・デジタル対応まで、最新のエビデンスと制度情報に基づいて詳しく解説します。
リハビリ専門職(PT・OT・ST)や介護職がFIMを正確に理解し、臨床に活かすための完全ガイドです。



FIM(機能的自立度評価表)の基本情報

FIM(Functional Independence Measure/機能的自立度評価表)は、患者の日常生活動作(ADL)における自立度を7段階で定量化する標準化評価です。1983年に米国のリハビリテーション関連学会(ACRM・AAPM&R)タスクフォースによって開発され、世界中のリハビリ現場で使用されています。

FIMは運動13項目・認知5項目の計18項目で構成され、得点範囲は18~126点。点数が高いほど自立度が高いことを示します。リハビリの効果測定、退院判定、介護方針の立案、診療報酬の評価など、多方面で活用される信頼性の高い指標です。

特徴

  • 「できるADL」ではなく**「実際にしているADL(performance)」**を評価
  • 評価者間の信頼性が高く、トレーニングを受けた者が実施すれば再現性が高い
  • 各項目を7段階(完全自立~全介助)で評価し、介助量を客観的に可視化
  • 回復期リハビリテーション病棟では、診療報酬の実績指数に直結
分類内容項目数
運動項目食事、整容、清拭、更衣(上・下)、トイレ動作、排泄管理、移乗(ベッド・トイレ・浴槽)、歩行/車椅子、階段13
認知項目理解、表出、社会的交流、問題解決、記憶5

FIMは患者の自立度を「数値化」し、チーム医療における共通言語として機能します。



FIMの対象と適応

FIMは急性期から在宅まで幅広いステージの患者に適応可能です。対象は脳卒中、脊髄損傷、整形外科疾患、高齢者のフレイルなど、ADLの低下を伴うほぼすべての疾患群に及びます。

主な適応領域

  • 脳血管障害(脳卒中、脳出血、くも膜下出血など)
  • 外傷性脳損傷、脊髄損傷
  • 骨折、変形性関節症など整形外科疾患
  • 廃用症候群やフレイル高齢者
  • 神経難病、認知症などの進行性疾患

使用目的

  1. リハビリ効果の評価
  2. 治療・介護計画の立案
  3. 退院・在宅復帰の判断
  4. 介護サービスの必要度判定
  5. 診療報酬算定の根拠(回復期リハ病棟など)

FIMは多職種共通の評価指標として機能し、医師・療法士・看護師・介護職が同じ基準で情報を共有できます。また、患者・家族への説明にも活用でき、リハビリの成果や課題を「見える化」することでモチベーション維持にもつながります。



FIMの実施方法

FIMは、評価者が直接観察または聞き取りにより、患者の実際のADL遂行を評価します。
「できるか」ではなく「普段しているか」を基準とし、安定して行える最も低いレベルを採点します。

実施手順

  1. 評価タイミング:入院・退院時の72時間以内(推奨)
  2. 評価者:訓練を受けたセラピスト、看護師など
  3. 評価時間:おおよそ30~45分
  4. 評価環境:通常の生活動作を行う環境で観察

評価上の原則

  • 日内変動がある場合は最低点を採用
  • 一部の項目(整容・清拭・更衣・トイレ動作・記憶)は、複数場面を考慮し平均点を使用する場合もある(施設SOPに準拠)
  • 介助量は身体的・口頭的介助を含む
  • 補助具の使用は可(修正自立=6点に該当)

留意点

  • 評価者間の統一的理解が不可欠(トレーニング必須)
  • 状況によっては看護師・介護職との情報共有で補う
  • リハビリ評価と並行して記録・報告体制を整備する


FIMの採点と解釈

各項目は1~7点の7段階で評価します。点数が高いほど自立度が高いことを示します。
FIM合計点は18~126点で、ADL全体の自立度を定量的に示します。

評価点レベル定義
7完全自立補助具・介助なしで安全・効率的に遂行
6修正自立補助具の使用や時間の要するが介助不要
5監視・準備手助け不要だが監視・指示が必要
4最小介助動作の75%以上を自力で遂行
3中等度介助50~74%を自力で遂行
2最大介助25~49%を自力で遂行
1全介助25%未満、自力遂行がほぼ不可

解釈のポイント

  • 合計点の推移でリハビリ効果を確認(入退院時比較)
  • **運動項目合計(13項目)**はADLの実用的自立度を反映
  • **認知項目合計(5項目)**は社会的自立度・コミュニケーションを示す
  • **FIM効率(FIM利得 ÷ 在院日数)**を算出することで、リハビリ効率を可視化

注意点

  • 軽度障害では天井効果を示すことがある
  • QOL(生活の質)や社会参加の評価は別尺度(例:SF-36, WHOQOLなど)で補うことが望ましい


FIMのカットオフ値

FIMは連続尺度であり、疾患ごとに明確なカットオフ値は存在しません。
しかし臨床では、退院・在宅復帰・介護区分などを判断する目安値として活用されます。

参考値の一例(脳卒中リハビリ領域)

評価領域在宅復帰の目安介護必要の目安
総合点約80点以上60点未満
運動項目合計約60点以上40点未満
認知項目合計約25点以上20点未満

これらは日本リハビリテーション学会・各研究報告(脳卒中データベース研究など)の傾向値をもとにした目安であり、年齢・疾患・環境によって大きく異なります。
したがって、カットオフではなく経時変化とFIM利得(退院点−入院点)を重視することが推奨されます。



FIMの標準化とバージョン情報

FIMは世界共通の標準化評価として確立しています。
米国ではUniform Data System for Medical Rehabilitation(UDSMR)が運用主体で、国際ライセンスの下で翻訳版・国内版が展開されています。

日本における標準化

  • 日本リハビリテーション病院・施設協会(JARD)による日本語版FIMを使用
  • 回復期リハ病棟入院料の算定では、FIM運動項目が実績指数(アウトカム評価)に採用
  • 厚生労働省の回復期リハビリ実績評価で全国標準データを蓄積

関連バージョン

  • FIM+FAM(Functional Assessment Measure):高次脳機能・社会的参加を補う拡張版
  • WeeFIM:小児版(6か月~7歳)で発達段階に応じた評価が可能
  • mFIM:簡易版FIMとして臨床現場で使用されることもあり

FIMは長年にわたり信頼性・妥当性が検証されており、世界的にも基準化された代表的ADL評価です。



FIMの臨床応用と活用事例

FIMは、以下のように臨床で幅広く活用されています。

1. 回復期リハビリテーション

  • 入退院時のFIM差(FIM利得)で治療効果を評価
  • FIM効率を指標にリハビリの質を可視化
  • チームカンファレンスでの情報共有ツール

2. 介護・在宅領域

  • 介護サービス計画書や介護度の参考データに活用
  • 介助量を明確にし、家族への説明資料としても有効

3. 急性期・生活期の橋渡し

  • 在院日数の短縮、転院先選定、在宅復帰支援に役立つ

事例:脳卒中患者の回復評価

  • 入院時FIM 45点 → 退院時FIM 95点
  • 運動項目の改善が社会的自立につながり、在宅復帰率向上

また、FIMの定期的な再評価により、介助量の変化やリスク低減効果を数値で確認できるため、医療・介護双方でのPDCAサイクル構築に役立ちます。



FIMと他検査との関連

FIMはADL評価の標準であり、他の機能評価と組み合わせることで総合的な機能評価が可能です。

評価領域代表的評価法FIMとの関係
運動機能Barthel Index(BI)同様のADL評価だが、FIMはより詳細で多職種向け
高次脳機能MMSE、FAB認知項目と補完的関係
上肢機能FMA、ARATFIM運動項目の変化と関連性あり
QOL・社会参加SF-36、WHOQOL、FIM+FAMFIM単独では評価困難な領域を補う

ポイント

  • Barthel Indexよりも介助量・認知面を含めた包括評価が可能
  • FIM+FAMの併用により、社会参加・職業復帰の予測精度が向上
  • QOL評価との組み合わせで、患者中心のリハビリ評価が可能


FIMのデジタル・ICT対応

FIMはデジタル化の進展に伴い、電子カルテやリハビリ支援システムに組み込まれています。

国内でのICT活用例

  • 電子カルテ連携による自動集計・経時グラフ化
  • AIを用いたFIM推定スコアの自動算出研究
  • JARDデータベースとのオンライン共有により、全国統計への反映
  • タブレット評価アプリ(WeeFIM含む)による効率的な入力

導入メリット

  • 入退院時比較の自動化 → リハ効果を迅速に可視化
  • 評価者間の誤差を低減
  • データ共有によるチーム医療の効率化
  • ビッグデータによる臨床研究・政策立案への応用

FIMのデジタル実装は、臨床現場の負担軽減と質保証を両立させる手段として今後さらに進展が期待されます。



まとめ

  • FIMは18項目・7段階でADLの自立度を数値化する国際標準評価。
  • 日本では回復期リハ病棟の診療報酬評価に直結する重要ツール。
  • 「しているADL」を評価することで、現実的な支援計画を立案可能。
  • ICT化が進み、効率的・客観的なリハビリマネジメントを実現。

関連文献

タイトルとURLをコピーしました