【最新版】FIMの食事評価を完全解説|採点基準・注意点・臨床応用・ICT活用まで

FIM(Functional Independence Measure/機能的自立度評価法)は、リハビリテーションにおけるADL評価の国際標準です。
中でも「食事(Eating)」は、患者がどの程度自立して食事を摂取できるかを数値化し、介助量や回復過程を可視化する重要な指標です。
本記事では、FIMの食事項目について、採点基準・評価方法・注意点・臨床応用・ICT連携までを体系的に解説します。
義歯や補助具の扱い、配膳・準備動作の評価方法など、リハビリ現場で迷いやすいポイントもわかりやすく整理しました。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など、すべてのリハ専門職に役立つ実践的ガイドです。



基本情報|FIMとは何か、食事項目の概要

FIM(Functional Independence Measure:機能的自立度評価法)は、リハビリテーション分野で広く用いられるADL評価ツールです。
その中でも「食事(Eating)」は、患者が提示された食事をどの程度自立して摂取できるかを評価する項目です。

項目内容
評価名FIM(Functional Independence Measure)
食事項目の英名Eating
評価目的食事動作における自立度・介助量の測定
評価範囲食器使用、食物を口に運ぶ、咀嚼・嚥下
対象外配膳・下膳、料理の準備、食事環境の整備など
評価点数1点(全介助)〜7点(完全自立)

FIMの食事項目では、食事がすでに配膳されている状態を前提とします。
評価対象となるのは、スプーンやフォークなどの食具操作、食物の口への運搬、咀嚼と嚥下までの一連の動作です。
食事を安全かつ効率的に摂る能力を測ることにより、介助量を客観的に把握し、リハビリ目標設定に役立てます。



対象と適応|FIM食事評価を行う場面と対象者

FIMの食事項目は、以下のような患者に対して有効に活用できます。

  • 脳卒中や外傷性脳損傷など、中枢神経疾患による上肢機能障害
  • パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの進行性疾患
  • 骨折や整形外科術後による一時的な運動制限
  • 摂食嚥下障害や口腔機能低下を伴う高齢者
  • リハビリテーション病棟や介護施設でのADL評価

FIMは介助量の定量化を目的としており、「できるかどうか」ではなく「どれだけ自分でできるか」に焦点を当てます。
そのため、対象者の病期・環境・補助具使用の有無にかかわらず適用できます。
また、義歯や補助具を使用していても、**自力で安全に食事を完結できる場合は完全自立(7点)**として評価されます。
一方、食事形態(刻み食・ミキサー食など)の工夫が必要な場合は修正自立(6点)として評価されます。



実施方法|FIM食事評価の手順と観察ポイント

FIMの食事評価は、以下の3段階の観察を通して実施します。

① 食具の使用・操作

  • スプーン、フォーク、箸などを正しく持ち、適切に操作できるかを観察します。
  • 握力や巧緻動作の低下がある場合、太柄スプーンや滑り止めマットなどの自助具使用も評価対象に含めます。

② 口への運搬

  • 食べ物をすくい、こぼさずに口まで運ぶ動作を確認します。
  • 手の協調性・上肢の可動域・姿勢保持能力を含めて観察します。

③ 咀嚼と嚥下

  • 食物を口に入れた後、噛み砕き嚥下できるかを評価します。
  • 必要に応じて食形態の変更やポジショニングを考慮します。

評価上の注意点

  • 配膳・下膳は評価対象外(あくまで「食べる」能力に限定)。
  • 準備行為(容器の開封・肉の切り分け・エプロン装着など)は「セットアップ」として5点に該当
  • 身体介助(手添え・食物を口に運ぶ代行など)があれば4点以下
  • 義歯装着はEatingではなくGrooming項目で評価するのが原則。

このように、実施時は「自力で完結しているか」「どの程度の支援が必要か」を明確に分けて観察します。



採点と解釈|7段階スコアの意味と臨床判断

FIMの食事項目は1〜7点で評価されます。
点数は「どの程度自立しているか」を示し、次のように解釈されます。

点数判定名内容・臨床例
7点完全自立補助具・介助不要。通常のスピードで安全に摂食可能。
6点修正自立補助具使用や刻み食など特別な配慮が必要だが自力で実施。
5点監視・準備見守りや口頭指示、容器の開封・食材カットなどの準備が必要。
4点最小介助75%以上自力。時々手添えが必要。
3点中等度介助50〜74%自力。頻繁な手添えが必要。
2点最大介助25〜49%自力。ほぼ全面的な介助が必要。
1点全介助25%未満。ほとんど介助者が実施。

ポイントは、「準備」と「身体介助」を区別することです。
容器を開ける・エプロンをつけるなど食事前の準備は5点に該当しますが、食べ物を口へ運ぶ動作を介助する場合は**身体介助(4点以下)**として扱います。
また、義歯を使用して自立して食べられる場合は7点、義歯装着の介助が必要でもEatingではなくGroomingで評価します。



カットオフ値|臨床での基準と介護区分との関係

FIMの食事項目に明確なカットオフ値は設定されていませんが、臨床的には次のように運用されています。

  • 5点以上:自立・見守りレベル(在宅復帰・自力摂食可能)
  • 4点以下:何らかの身体介助が必要(施設・病棟での介助対象)

FIMの合計点(18項目合計)と比較することで、総ADLレベル介護度判定の参考になります。
食事項目は特に「手段的自立の指標」として、リハスタッフ・看護・介護職の情報共有に有効です。



標準化とバージョン情報|FIMの信頼性と普及状況

FIMは1980年代に米国Uniform Data System for Medical Rehabilitation(UDSMR)が開発しました。
日本では1990年代に導入され、現在は日本リハビリテーション医学会を中心に標準化が進められています。

項目内容
開発者Grangerら(1983)
日本版監修日本リハビリテーション医学会FIM委員会
評価項目数18項目(運動13+認知5)
評価スケール7段階尺度(1〜7点)
標準化資料FIMマニュアル(UDSMR版・日本語版)

FIMは、国内外のリハ病棟や介護老人保健施設などで標準的に使用されており、多職種間の共通言語として確立しています。
特に食事項目はADL全体の自立度と高い相関を持ち、退院支援やケアマネジメントでも重要な指標とされています。



臨床応用と活用事例|FIM食事をどう使うか

臨床現場では、FIMの食事項目を次のように活用できます。

  • リハビリ初期評価:上肢機能・摂食動作のベースライン測定。
  • 中間評価:介助量の変化やリハ効果を定量的に把握。
  • 退院支援:自宅での食事自立度を予測し、必要な支援量を提示。
  • チーム連携:看護・介護スタッフへの具体的な介助指示を共有。
  • 義歯・補助具導入効果の判定:修正自立への移行を可視化。

実例として、脳卒中後の上肢麻痺患者が自助具導入によりスプーン操作が安定し、介助量が減少したケースでは、FIMスコアが「4→6点」に改善。
この変化を指標として、リハ介入の有効性を説明できます。



他検査との関連|ADL・嚥下評価との組み合わせ

FIMの食事評価は、以下の他検査と組み合わせることでより詳細な分析が可能です。

分野評価名関連のポイント
上肢機能FMA、ARAT、BBT食具操作能力との関連を確認。
摂食嚥下MASA、改訂水飲みテスト嚥下機能障害との区別を明確に。
ADL全般Barthel Index、BI-ADL総合的ADLレベルの比較に使用。
認知機能MMSE、HDS-R食事動作の指示理解・安全認知との関係を評価。

FIM単独では測定しきれない「運動・嚥下・認知」要素を、関連検査と統合することで多面的なリハ評価が可能になります。



デジタル・ICT対応|電子カルテ・AIとの連携活用

近年はFIM評価のデジタル化が進んでおり、以下のような活用が広がっています。

  • 電子カルテ自動集計:スコア入力→自動グラフ化で経時変化を可視化。
  • AI予測モデル:食事スコアを含むFIM全体から在宅復帰率を予測。
  • ウェアラブル計測:食事動作の時間・手の軌跡をセンサーで取得。
  • チーム共有アプリ:リハ・看護・介護間でリアルタイムにFIM情報を連携。

これにより、食事動作の改善経過や介助量の変化を客観的データとして蓄積でき、リハビリ成果の見える化が進んでいます。
今後はFIMスコアと動作データを統合したAI評価支援ツールの開発も進むと予想されます。



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