協調性検査といってもその方法は様々です。
上肢、下肢によっても異なりますし、何よりどんな目的で行い、どんな意義があるのか?という点まで発展的に考えないといけません。
そこで今回は、協調性検査の上肢・下肢別の方法と注意点について解説します。
協調運動とは?
そもそも“協調”とはどのようなことなのでしょうか?
定義としては…
協調とは,運動を円滑に行うために,多くの筋肉か調和を保って働くこと
…とあります。
協調運動が関与する神経回路
協調運動が関与する神経回路としては、
- 小脳系
- 錘体路系
- 錐体外路系
…などがあげられます。
つまり何かしらの疾病によってこれらの回路の障害が生じた際に協調運動障害が引き起こされる…ということになります。
運動失調と協調運動障害の違いは?
失調と協調運動って非常に似た言葉ですので、結構まちがって使われていたりどっちがどっちだかこんがらがることって多くあると思います。
そもそもそれぞれを英語では…
- 失調(ataxia)
- 協調運動障害(incoordination)
…と呼ばれ、もちろん意味としても異なります。
ちなみに運動失調について“Garcin”は…
- 運動失調とは協調運動障害の1つのあらわれであり、したがって筋力低下があってはならない
- 運動失調の第1は随意運動がうまくできず運動の方向や程度が変わってしまうものである
- 第2は体位とか姿勢の異常で、それらを正常に保持するのに必要な随意的なあるいは反射的な筋の収縮がそこなわれている
…と定義しています。
つまり…
失調(ataxia)は協調運動障害(incoodination)のなかの一つの症状
…ということになります。
協調運動障害の種類
では、失調以外に協調運動障害にはどのような種類があるのでしょうか?
端的に言えば、以下のようになります。
- 運動失調(ataxia)
- 共同運動不能(asynergia)or共同運動障害(dyssynergia)
- 測定障害(dysmetria)
- 変換運動(反復)障害(dysdiadochokinesis)
- 筋トーヌス低下(hypotonia)
- 振戦(tremor)
まとめ
今回は運動失調と協調運動障害の違いについて解説しました。
小脳性の疾患やパーキンソン病といった疾患の場合、失調を含めた協調運動障害によって日常生活活動の遂行が困難になったり、自己実現が困難になる場合が多々あります。
作業療法士としてまずはその協調性運動障害がどのようなものなのかをしっかりと検査し、評価をする必要がありますね。