デコンディショニングとは? – 定義・原因・廃用症候群との違いについて

リハビリの臨床でもよくみられる”デコンディショニング”。
本記事ではデコンディショニングの症状や原因などについて解説します。


デコンディショニングとは?

デコンディショニング(Deconditioning)とは、身体を動かさないことによって起こる異変の総称で、筋肉の萎縮や筋力・肺活量の低下、立ちくらみやふらつきなどが代表的な症状です。
身体の不活動により引き起こされる筋、骨格、循環、呼吸機能などの身体機能の低下を指します。

デコンディショニングによって起こる症状
デコンディショニングによって引き起こされる生理的変化の症状としては…

  • 筋肉の萎縮や筋力の低下
  • 肺活量の低下
  • 立ちくらみやふらつき
  • 身体機能の低下
  • 起立性調節障害の症状

…などがあげられます。
以下にそれぞれ解説します。

筋肉の萎縮や筋力の低下

廃用による不活動状態は、筋肉の減少を招きます。
筋肉は使用されないと、徐々に萎縮し、その結果、筋力が低下します。

長期間の活動不足は、身体の筋肉を弱め、日常的な動作や身体的な活動に支障をきたすことがあります。

肺活量の低下

また長期間の安静や運動不足は、肺の機能を低下させます。
活動不足によって、呼吸の深さや頻度が減少し、肺活量が減少する可能性があります。

これにより、身体全体への酸素供給が減少し、運動能力や日常生活における活動性が低下することが考えられます。

立ちくらみやふらつき

さらに起立耐性の低下により、血圧が急激に下がることがあり、それによって立ち上がった際にめまいや不安定感が生じることがあります。
身体が適切に血圧を調節できず、急な姿勢変化に対応できないことが要因とされます。

身体機能の低下

廃用による影響は、身体の各機能に広がります。
筋肉、骨格、循環、呼吸機能などが不活動状態によって低下します。

これにより、日常生活の動作や身体的な能力が低下し、機能全体が制限される可能性があります。

起立性調節障害の症状

起立時に血圧が急激に下がることがあり、これが立ちくらみだけでなく失神の原因となる場合があります。
この症状は、血管の適切な収縮や拡張が起こらないために起きることがあります。

病院での長期臥床傾向の患者さんに多くみられる症状といえるね!
障害や環境によって制限されること多いですからね1

デコンディショニングの原因

デコンディショニングの主な原因は、身体の不活動や運動不足です。
長期間の安静や臥床、または生活の活動量が著しく低い状態が続くと、身体の機能が低下する傾向があります。

一般的な原因として…

  • 安静な生活
  • 病気やケガ
  • 高齢
  • 入院や病院での安静状態
  • 不適切な運動量

…などがあげられます。
以下にそれぞれ解説します。

安静な生活

長期間の安静や臥床は、身体の動きを極端に制限し、筋肉がほとんど使用されない状態をもたらします。
筋肉は使用されないと、徐々に弱まり、衰えてしまいます。
この筋肉の衰えは、日常的な動作や運動を行うための能力を低下させる可能性があります。

例えば、寝たきり状態で長い期間を過ごすことは、筋肉の収縮と伸展が制限されるため、筋肉量が減少し、筋力が低下します。

病気やケガ

病気やケガが活動を制限すると、身体の不活動が増え、それがデコンディショニングを引き起こすことがあります。
例えば、急な疾患やケガで安静を余儀なくされた場合、日常的な活動が制限され、筋肉の使用が減少します。

これにより、筋力や機能が減少し、身体の活動性が低下する可能性があります。

高齢

加齢に伴い、筋肉量や機能が自然と減少する傾向があります。
このため、高齢者は同じ程度の活動不足でも、デコンディショニングのリスクが高まることがあります。
筋肉量の減少は、身体機能の低下や日常生活の活動性の低下をもたらす可能性があります。

このような理由から、高齢者は特に適度な運動や活動を維持することが重要です。

入院や病院での安静状態

入院や手術後などの状況では、病状や治療のために身体的な活動が制限されることがあります。
この状況では、身体が不活動になりがちであり、それがデコンディショニングを引き起こす要因となります。
入院中の患者は、身体の機能が低下することを避けるために、できるだけ早く適度な運動や活動を取り入れることが勧められます。

不適切な運動量

適切でないまたは不十分な運動量は、デコンディショニングのリスクを増大させます。
運動不足は筋肉や身体の機能を低下させ、活動性を制限する可能性があります。
運動が不適切な場合、身体の機能が低下するリスクが高まります。
適切な運動量を保つことは、デコンディショニングを防ぐために重要です。

転倒リスクがあるからといって運動や活動を制限するのもそもそも問題だってことだね!
入院中は特にその傾向が強い印象を受けますね!

デコンディショニングと廃用症候群との違いについて

“デコンディショニング”と近いもので”廃用症候群”があげられます。
しかしデコンディショニングと廃用症候群は、身体の不活動によって引き起こされる症状の総称ですが、異なる意味を持ちます。

デコンディショニングと廃用症候群の違いを表にすると次のようになります。

デコンディショニング 廃用症候群
身体の不活動による症状の総称 身体の不活動による二次的障害の総称
  • 筋肉の萎縮や筋力・肺活量の低下
  • 立ちくらみやふらつき
  • 身体機能の低下
  • 筋骨格系、循環・呼吸器系、内分泌・代謝系、精神神経系などの症状
  • 不動や低運動、臥床による影響
  • 多岐にわたる諸症状による日常生活への影響

デコンディショニングはあくまで身体機能面の低下、廃用症候群はもっと包括的な機能低下を意味しているって解釈だろうね!
デコンディショニングの先に廃用症候群がある…ってイメージでしょうね!

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