DESIGN-R® – 7つの項目・評価方法などについて

DESIGN-R® - 7つの項目・評価方法などについて 検査

DESIGN-R®は、日本褥瘡学会が開発した褥瘡(床ずれ)の重症度や治癒過程を客観的に評価するスケールで、複数の項目を数値化し、治療効果や褥瘡の状態を定量的に把握するツールです。
本記事ではこのDESIGN-R®の項目や評価方法、合計点数などについて解説します。


DESIGN-R®とは?

DESIGN-R®は、日本褥瘡学会が開発した褥瘡の評価スケールで、床ずれの重症度と治癒過程を客観的に評価するために用いられます。
評価項目には、褥瘡の深さ、大きさ、滲出液の量、感染状態、組織の壊死などが含まれ、各要素が数値化されます。
これにより、褥瘡の状態を定量的に捉え、治療効果の確認や治癒の進行状況を視覚的に把握することが可能です。

DESIGN-R®は、医療従事者が治療方針を検討し、患者のケアプランを調整する際に役立ちます。
また、定期的な評価を通じて、褥瘡の悪化を早期に発見し、予防対策を強化することが期待されます。

DESIGN-Rの読み方は「デザインアール」だね!
各項目の頭文字を取って「DESIGN」とし、最後に「R」を付け加えていますね!

DESIGN-Rによる7つの項目

DESIGN-R®は、褥瘡(じょくそう)の状態を評価するためのツールで、以下の7つの項目で構成されています。

  • Depth(深さ)
  • Exudate(滲出液)
  • Size(大きさ)
  • Inflammation/Infection(炎症/感染)
  • Granulation tissue(肉芽組織)
  • Necrotic tissue(壊死組織)
  • Pocket(ポケット)

それぞれ解説します。

Depth(深さ)

DESIGN-R®の深さ評価は、褥瘡の最も深い部分の組織損傷の程度を測定します。
創内の深さは、表皮、真皮、筋肉、骨など、どの層まで達しているかに基づいて評価されます。
深い褥瘡ほど治癒に時間がかかり、適切な治療が必要です。
この評価により、褥瘡の重症度が客観的に判断され、適切な治療方針が決定されます。

また、深さの変化を追うことで治療効果をモニタリングすることができます。

Exudate(滲出液)

滲出液の量は、褥瘡の治癒過程や感染のリスクを把握するために重要です。
DESIGN-R®では、ドレッシング交換の頻度や滲出液の量を観察し、その状態を数値化します。
滲出液が多い場合、感染や炎症の進行が懸念されるため、迅速な対応が求められます。
逆に、滲出液の減少は、創が適切に治癒している兆候と考えられます。

この評価は、患者のケアプランを調整するための重要な指標となります。

Size(大きさ)

褥瘡の大きさは、創の広がりや損傷範囲を示す重要な要素です。
DESIGN-R®では、褥瘡の最大径と最小径を測定し、その面積を計算します。この評価により、褥瘡の進行や治療による変化を明確に把握できます。
大きな褥瘡は感染や炎症のリスクが高く、治癒までに時間がかかるため、早期発見と管理が重要です。

サイズの変化を追跡することで、治療効果や褥瘡の改善状況を評価することが可能です。

Inflammation/Infection(炎症/感染)

DESIGN-R®のこの項目では、局所の炎症や感染の徴候を確認し、治療の緊急性を評価します。
炎症や感染は、発赤、熱感、膿の出現などで判断され、これらが見られる場合、感染症治療が必要となることが多いです。
この評価により、創部の感染リスクを早期に察知し、適切な抗生物質やドレッシングの変更など、迅速な対応が可能となります。

また、炎症や感染の状態を定期的に評価することで、治療方針の調整が促進されます。

Granulation tissue(肉芽組織)

肉芽組織は、創の治癒過程における重要な指標で、DESIGN-R®ではその量や質を評価します。
健康な肉芽組織は赤く湿潤で、創の底から新しい組織が形成されていることを示します。
良性の肉芽組織が増えることで、創が順調に治癒していると判断されます。
逆に、肉芽組織が不良である場合、治癒が遅れているか、他の問題が存在する可能性があります。

この評価は、治療の進行度合いを把握し、適切な介入を行うために役立ちます。

Necrotic tissue(壊死組織)

壊死組織は、死んだ細胞や組織であり、DESIGN-R®ではその有無と量を評価します。
壊死組織は褥瘡の治癒を妨げ、感染のリスクを高めるため、早期に除去する必要があります。
この評価により、創部の清浄度が確認され、壊死組織が多い場合にはデブリードマン(壊死組織の除去)が推奨されます。
壊死組織の減少は治癒の進行を示すため、治療の成功を客観的に評価する基準となります。

また、壊死の有無を継続的に観察することで、治療方針の調整が可能です。

Pocket(ポケット)

ポケットとは、褥瘡の下に隠れて広がる空洞やトンネルのことで、DESIGN-R®ではその有無と大きさを評価します。
ポケットは褥瘡が深刻化していることを示す場合があり、適切な治療が行われないと感染や褥瘡の悪化を招く可能性があります。
この評価により、創の内部構造を把握し、デブリードマンや適切なドレッシングの選択が行われます。
ポケットの存在は、褥瘡の治療をより複雑にするため、継続的なモニタリングが重要です。

また、ポケットの改善状況は治療効果の評価に寄与します。

これらの項目を評価し、点数化することで、褥瘡の重症度や治癒過程を客観的に把握することができるんだ!
この評価スコアを基に、医療従事者は治療方針を適切に調整し、患者ごとの最適なケアを提供することが可能となるんだね!

DESIGN-Rによる評価方法

DESIGN-R®は、褥瘡の状態を客観的に評価するためのツールです。
こkでは評価のステップとして…

  1. 評価の準備
  2. 褥瘡の観察
  3. 各項目の評価
  4. 合計点の算出
  5. 評価結果の記録と活用
  6. 治療計画の立案
  7. 治療効果の評価
  8. 医療者間の情報共有
  9. 評価の見直しと予防

…について解説します。

評価の準備

DESIGN-R®を用いた評価の前に、評価用紙と必要な測定器具を準備します。
定規やメジャーを用意し、十分な照明の下で観察ができる環境を整えます。
褥瘡の状態を正確に測定するため、観察時には清潔な環境を確保することが重要です。
適切な準備を行うことで、評価の精度が高まり、治療計画の効果をより正確に見積もることができます。

これにより、褥瘡の状態を客観的かつ効率的に評価する基盤が整います。

褥瘡の観察

褥瘡の観察は、褥瘡の深さや滲出液の量、サイズなどを正確に評価するために行われます。
各項目について、深さ(Depth)、滲出液(Exudate)、大きさ(Size)など、7つの要素に基づき観察します。
例えば、褥瘡の深さは創の一番深い部分を評価し、大文字や小文字でその程度を区別します。
観察は治療方針の決定に直結するため、正確さが求められます。

また、褥瘡の進行や改善を把握するために、定期的な観察が必要です。

各項目の評価

各観察項目に基づいて、褥瘡の状態を数値で評価します。
深さ、滲出液、炎症・感染などの要素に応じて評価基準が設けられており、それぞれの項目に対して複数段階の評価が行われます。
例えば、肉芽組織の評価では、良性肉芽が50%以上の場合には小文字の「g」、それ以下では大文字の「G」で表します。

このように、各項目の評価は細分化されており、褥瘡の状態を正確に把握できるように設計されています。

合計点の算出

各項目の評価が終了したら、それぞれの得点を合計し、褥瘡の重症度を示す総合得点を算出します。
DESIGN-R®は、得点によって褥瘡の状態を段階的に評価するシステムであり、合計点が高いほど重症度が高いことを意味します。
これにより、治療の緊急度や必要な介入の度合いが客観的に把握できます。

合計点の変動を追うことで、治療の効果や褥瘡の進行状況をモニタリングすることができます。

評価結果の記録と活用

評価結果は、観察用紙に詳細に記録され、治療方針の立案や他の医療従事者との情報共有に役立てられます。
定期的な評価を通じて、治療の進捗を確認し、必要に応じて計画を見直すことが可能です。
また、記録された評価結果は、治療効果の評価や褥瘡予防の強化にも活用されます。

これにより、褥瘡の進行を早期に防ぎ、患者に最適なケアを提供するための基盤が整えられます。

治療計画の立案

DESIGN-R®によって得られた評価結果は、治療計画の立案に直接活用されます。
例えば、重症度が高い褥瘡には積極的な治療が必要であり、早急なドレッシング交換やデブリードマン(壊死組織の除去)が検討されます。
評価を基に、どの段階の治療が最も効果的かを判断し、適切な治療を選択することができます。
治療計画は、評価結果に基づくため、褥瘡の状態に最適なアプローチが取られ、患者の回復を促進します。

これにより、患者一人一人に合った個別の治療計画が策定されます。

治療効果の評価

DESIGN-R®を定期的に使用することで、治療効果を客観的に評価できます。
評価結果が改善傾向にある場合は、現行の治療が適切であると判断され、治療が継続されます。
逆に、改善が見られない場合は、治療法の変更や新たなアプローチが検討されることになります。

このように、治療の進行具合を数値で捉えることで、医療従事者は治療の適切性を確認し、患者の回復状況に応じた柔軟な対応が可能となります。

医療者間の情報共有

DESIGN-R®の評価結果は、医療チーム全体で共有され、患者に対する統一されたケアが提供されます。
褥瘡ケアは多職種連携が重要であり、看護師や医師、リハビリスタッフなどが一貫して評価結果に基づく対応を行うことが求められます。
各職種が評価結果を共有することで、治療方針のすり合わせや介入方法の調整がスムーズに行われます。

これにより、患者にとって最適なケアが提供され、治療効果が最大化されます。

評価の見直しと予防

DESIGN-R®による評価は、治療だけでなく、褥瘡の予防にも大いに役立ちます。
褥瘡が進行しないよう、リスクの高い部位や兆候を早期に発見するために、定期的な評価が推奨されます。
評価の結果、褥瘡が悪化しそうな場合には、事前に適切な介入を行い、予防策を強化することが可能です。

予防的なケアを通じて、患者の生活の質を維持し、褥瘡の新たな発生を防ぐことが期待されます。

DESIGN-R®による褥瘡評価では、客観性を持って数値化し、定期的に評価・記録することで治療効果を確認し、計画に反映することが重要なんだ!
正確な評価には、評価者のスキルや基準の理解、適切な観察環境が求められますね!

DESIGN-Rの合計点数

DESIGN-R®の合計点数は、深さ以外の6つの項目(滲出液、大きさ、炎症/感染、肉芽組織、壊死組織、ポケット)を評価し、それぞれの点数を合計して算出されます。
合計点数は0点から66点の範囲で評価され、0点は褥瘡が存在しない状態を示し、66点は重度の褥瘡を意味します。

治療の前後で合計点数を比較することで、治療効果を定量的に把握することができ、また、複数の褥瘡の重症度を比較する際にも役立つんだ!
ただし、合計点数はあくまで一つの指標であり、他の臨床情報や患者の背景を総合的に判断することが必要なんだね!

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