電子カルテ(EHR) – 機能・メリット・デメリットなどについて

電子カルテ(EHR) - 機能・メリット・デメリットなどについて 用語

電子カルテ(EHR)は、患者の診療情報をデジタル化し、一元管理するシステムです。
医療機関間の情報共有を促進し、診療の質と効率を向上させるために不可欠なツールです。

本記事では電子カルテとはなにか、機能やメリット、デメリットなどについて解説します。


電子カルテ(EHR)とは

電子カルテ(EHR)とは、医療機関で取得される診療情報や検査データ、既往歴、アレルギー情報などをデジタル化し、患者を中心に共有するシステムです。
これにより、医療情報が個人ごとに統合され、医療機関や地域を超えて情報共有が可能となり、医療の質向上や感染症対策に役立ちます。

また、EHRはEMR(電子医療記録)やPHR(個人健康記録)と連携し、医療機関内外での情報共有と個人の健康情報管理をサポートします。

電子カルテ(EHR)とは、従来の紙カルテを電子化したシステムで、患者の診療情報を電子データとして記録・管理ができるんだ!
具体的には、問診内容、診察結果、検査結果、処方薬、画像データ、会計情報など、患者に関わるあらゆる情報を統合的に管理することができるんですね!

電子カルテ(EHR)の主な機能

電子カルテには、患者情報の管理から診療録の作成、検査結果の閲覧、処方箋の発行、統計情報の作成など、様々な機能があります。
電子カルテの主な機能として、ここでは…

  • 患者管理
  • 外来機能
  • 診療録の作成
  • オーダー機能
  • 病棟機能
  • 部門機能
  • 文書管理
  • 職員間情報共有
  • 他システムとの連携

…について解説します。

患者管理

電子カルテの患者管理機能では、患者の基本情報、既往歴、アレルギー情報などを一元管理します。
これにより、医療従事者は患者の情報を迅速かつ正確に把握できるため、適切な診療が可能となります。
また、過去の診療記録や検査結果も簡単に参照できるため、治療計画の策定やフォローアップがスムーズに行えます。
さらに、患者のプライバシー保護のためにアクセス権限の設定ができ、情報のセキュリティも確保されています。

このように、患者管理機能は、質の高い医療サービス提供の基盤となる重要な役割を果たしています。

外来機能

電子カルテの外来機能は、受付や問診、予約管理、オンライン診療など、多岐にわたる外来サービスをサポートします。
受付業務では、患者の来院時に迅速に対応できるよう、事前予約や問診票のオンライン入力が可能です。
これにより、待ち時間の短縮や受付の効率化が実現します。
さらに、オンライン診療機能を利用することで、遠隔地にいる患者や移動が困難な患者にも医療サービスを提供することができます。

外来機能は、患者の利便性向上と医療機関の業務効率化を実現するための重要な機能です。

診療録の作成

電子カルテは、診療記録の作成、薬歴や検査結果の参照、テンプレートの使用など、多機能な診療録作成機能を提供します。
診療記録の作成では、テンプレートを使用することで迅速かつ正確な記録が可能となり、医療従事者の負担を軽減します。
また、薬歴や検査結果を簡単に参照できるため、患者の状態を総合的に把握し、適切な治療方針を決定できます。
さらに、過去の診療記録との比較や経過観察も容易で、患者の健康管理を効果的にサポートします。

診療録作成機能は、質の高い医療サービスを提供するための基盤となる重要な役割を果たします。

オーダー機能

電子カルテのオーダー機能では、処方箋の発行、検査のオーダー、手術や入退院の管理など、多岐にわたる業務をサポートします。
処方箋の発行機能により、薬剤の適切な処方が迅速に行われ、患者への治療がスムーズに進みます。
検査のオーダー機能では、必要な検査を簡単に指示でき、結果も迅速に参照できます。
また、手術や入退院の管理機能により、医療機関内のリソースを最適化し、患者の治療計画を効率的に進めることが可能です。

オーダー機能は、医療従事者の業務効率を高め、患者の治療プロセスを円滑にするための重要な機能です。

病棟機能

電子カルテの病棟機能は、入院患者の管理、看護記録、ケアプランの作成など、入院患者のケアを総合的にサポートします。
入院患者の管理機能では、患者の病室やベッドの配置、入退院のスケジュールなどを一元的に管理し、病棟の運営を効率化します。
看護記録機能により、看護師は患者の状態やケア内容を迅速に記録し、他の医療従事者と情報を共有できます。
さらに、ケアプランの作成機能では、患者ごとに適切な治療やケアを計画し、個別のニーズに対応したケアを提供できます。

病棟機能は、質の高い入院ケアを実現するための重要な機能です。

部門機能

電子カルテの部門機能は、各種検査の予約や実施状況の管理、関連書類の作成など、医療機関内の様々な部門の業務をサポートします。
これにより、検査のスケジュール管理が効率化され、患者の待ち時間を短縮できます。
さらに、検査結果の自動入力や共有が可能となり、医療従事者が迅速に結果を把握して次の診療ステップに進めることができます。
関連書類の作成機能では、検査結果報告書や検査依頼書の自動生成が可能で、業務の効率化とミスの防止に寄与します。

部門機能は、医療機関全体の業務効率を高め、患者への迅速かつ適切な医療サービス提供を支えます。

文書管理

電子カルテの文書管理機能は、同意書や診断書などの文書作成、ラベルやリストバンドの印刷を可能にします。
これにより、各種文書の作成が迅速かつ正確に行えるため、患者への対応がスムーズになります。
同意書や診断書のテンプレートを使用することで、標準化された文書を簡単に作成でき、記入ミスを防ぐことができます。
また、ラベルやリストバンドの印刷機能により、検体の識別や患者の識別が確実に行われ、医療安全の向上に寄与します。

文書管理機能は、医療機関内の情報管理を効率化し、医療従事者の業務負担を軽減する重要な役割を果たします。

職員間情報共有

電子カルテの職員間情報共有機能は、院内メール、掲示板、患者情報の共有などをサポートし、医療従事者間のコミュニケーションを円滑にします。
院内メールや掲示板を利用することで、情報伝達が迅速に行われ、重要な通知や連絡事項を全職員がタイムリーに受け取ることができます。
患者情報の共有機能により、担当医師や看護師が必要な情報をリアルタイムで把握し、連携を強化できます。
これにより、チーム医療が効果的に実践され、患者へのケアが一貫して提供されます。

職員間情報共有機能は、医療機関内の協力体制を強化し、質の高い医療サービスの提供を支える重要な機能です。

他システムとの連携

電子カルテは、診察券の発行、待ち時間表示システム、自動精算システムなどと連携し、患者サービスの向上と医療機関の運営効率化を図ります。
診察券の発行機能では、受付時に迅速に診察券を発行し、患者の識別や受付業務を効率化します。
待ち時間表示システムと連携することで、患者は自身の診察順番や待ち時間をリアルタイムで確認でき、待ち時間のストレスを軽減できます。
自動精算システムとの連携により、会計業務がスムーズに行われ、患者の会計待ち時間を短縮します。

他システムとの連携機能は、医療機関全体のサービス向上と運営効率の向上に貢献します。

これらの機能により、電子カルテは医療機関の運営を大幅に改善し、患者への医療サービスの質を向上させるための強力なツールとなっているんだ!
医療機関は業務の効率化、情報共有のスムーズ化、ヒューマンエラーの低減など、多くのメリットを享受できるでしょうね!

電子カルテ(EHR)のメリット

電子カルテを導入することによるメリットは多岐にわたります。
主なメリットとして…

  • 情報管理・活用の即時性
  • 間違いを未然に防ぐ
  • 業務の効率化
  • 紙カルテの保管スペースを減らす
  • 分院設立時や他の医療機関との共有が容易

…があげられます。
それぞれ解説します。

情報管理・活用の即時性

電子カルテの最大のメリットの一つは、情報管理と活用の即時性です。
電子カルテは、患者の診療情報や検査結果をリアルタイムで共有し、更新することができます。
これにより、医療従事者は最新の情報に基づいて迅速かつ正確な意思決定を行うことができ、患者への適切な治療やケアが可能となります。
また、情報の検索や参照が容易なため、過去の診療記録や検査結果を迅速に確認し、治療の経過を把握することができます。

このように、電子カルテの即時性は、医療の質向上と患者安全の確保に大きく貢献します。

間違いを未然に防ぐ

電子カルテは、手書きのカルテに比べて読み間違いや記入ミスを大幅に減らすことができます。
手書きのカルテでは、文字の判読ミスや記入漏れが発生しやすく、これが原因で医療ミスが生じるリスクがあります。
電子カルテでは、入力時に自動的にチェック機能が働き、不正確な情報や記入漏れを防止します。
また、標準化されたテンプレートを使用することで、情報の記録が統一され、誤解や混乱を防ぐことができます。

このように、電子カルテは医療ミスのリスクを低減し、患者の安全を向上させるための重要なツールです。

業務の効率化

電子カルテは、医療スタッフの業務効率を大幅に向上させることができます。
診療記録の作成や管理、検索が容易になるため、医師や看護師はより迅速に必要な情報にアクセスでき、診療業務を効率的に進めることができます。
これにより、医療従事者はより多くの時間を患者ケアに充てることができ、患者へのサービスの質が向上します。
また、電子カルテは他の医療システムと連携することで、処方箋の発行や検査のオーダーなどの業務も自動化され、さらなる効率化が図られます。

電子カルテの導入は、医療現場の業務プロセスを改善し、医療の質を高める重要な手段です。

紙カルテの保管スペースを減らす

電子カルテの導入は、物理的な保管スペースの削減に大きく貢献します。
紙のカルテは膨大な量になり、保管場所を確保するために大きなスペースが必要となります。
電子カルテを使用することで、これらの物理的なカルテをデジタルデータとして保存できるため、スペースの節約が可能です。
また、紙カルテの保管や管理にかかるコストも削減でき、医療機関の経済的負担を軽減します。
さらに、電子カルテはバックアップ機能を備えており、データの安全性と可用性が高まるため、情報の保護と迅速なアクセスが可能になります。

電子カルテの導入は、スペースとコストの削減に加えて、データ管理の効率化にも寄与します。

分院設立時や他の医療機関との共有が容易

電子カルテは、医療機関間での情報共有を容易にし、連携を強化するための強力なツールです。
分院設立時や患者が他の医療機関に転院する際も、電子カルテを利用することで、患者情報の連続性が保たれ、一貫したケアを提供できます。
また、電子カルテは地域医療ネットワークや医療連携システムと統合されることが多く、患者の診療情報を迅速かつ安全に共有できます。
これにより、複数の医療機関が連携して患者の治療に当たることが可能となり、医療サービスの質が向上します。

電子カルテの情報共有機能は、患者の移動や転院時のスムーズな情報引継ぎを実現し、医療の質を高める重要な役割を果たします。

これらのメリットにより、医療機関はより高品質なサービスを提供し、患者満足度を向上させることが期待されるんだ!
また、医療情報のデジタル化は、将来的には医療のさらなる革新につながる可能性もありますね!

電子カルテ(EHR)のデメリット

電子カルテの導入には多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。
ここでは…

  • 導入コスト
  • 情報漏洩のリスク
  • システム障害のリスク
  • 操作の習得
  • 運用体制の変更

…について解説します。

導入コスト

電子カルテ(EHR)のデメリットとしてまず挙げられるのは、初期導入に高額な費用がかかることです。
システムの購入やインフラの整備、スタッフの教育など、導入初期には多額の投資が必要となります。
また、システムの維持・更新にも定期的なランニングコストが発生し、これが医療機関の財政負担となります。
特に中小規模の医療機関では、導入コストの高さが導入の障壁となることが多いです。
さらに、費用対効果を確実にするためには、適切な運用と継続的なメンテナンスが不可欠であり、これがさらなるコストの増加を招くことがあります。

総じて、電子カルテの導入コストは医療機関にとって大きな経済的課題です。

情報漏洩のリスク

電子カルテはデジタルデータであるため、ハッキングやウイルス攻撃などのサイバーリスクに常に晒されています。
医療データは非常に機密性が高く、情報漏洩が発生すると患者のプライバシーが侵害されるだけでなく、医療機関の信用も大きく損なわれます。
したがって、強固なセキュリティ対策が不可欠であり、定期的なセキュリティチェックやシステムの更新が求められます。
また、内部からの情報漏洩リスクも無視できず、医療スタッフによる適切なデータ管理とアクセス権限の設定が必要です。
これらの対策には追加のコストとリソースが必要となり、運用上の負担が増えることがあります。

情報漏洩のリスクは、電子カルテの利用における重大なデメリットです。

システム障害のリスク

電子カルテはデジタルシステムであるため、停電やシステムダウンなどの技術的トラブルが発生すると、アクセスができなくなるリスクがあります。
これにより、診療情報への即時アクセスが妨げられ、診療の遅延や混乱が生じる可能性があります。
特に緊急時にシステム障害が発生すると、迅速な対応が求められる医療現場において深刻な影響を及ぼします。
このため、電子カルテシステムには高い信頼性と安定性が求められ、バックアップ体制の確立や定期的なシステムメンテナンスが必要です。
また、システム障害発生時の緊急対応策を策定しておくことも重要です。

システム障害のリスクは、電子カルテのデメリットとして常に考慮すべき課題です。

操作の習得

電子カルテシステムは多機能かつ複雑であり、医療スタッフが操作に慣れるまでには時間と労力がかかることがあります。
特に、ITに不慣れなスタッフにとっては、新しいシステムの導入は大きな負担となります。
このため、操作習得のための教育やトレーニングが必要となり、これにも時間とコストがかかります。
また、操作ミスやシステムの誤使用が発生する可能性があり、これが医療業務の効率や安全性に悪影響を及ぼすことがあります。
さらに、スタッフのスキル向上には継続的な教育とサポートが不可欠であり、これが医療機関の運用コストを増加させる要因となります。

操作の習得は、電子カルテ導入における重要なデメリットです。

運用体制の変更

電子カルテを導入することで、医療機関の既存の業務フローを変更する必要がある場合があります。
従来の紙カルテからデジタルカルテへの移行は、業務プロセス全体の再構築を伴うことが多く、スタッフの抵抗や混乱を招くことがあります。
特に、長年にわたって確立された業務手順を変更することは、大きな労力と時間を要します。
さらに、新しい運用体制に適応するためには、継続的な教育とサポートが不可欠であり、これも追加のコストとリソースが必要です。
また、運用体制の変更によって一時的な業務効率の低下が発生する可能性があり、これが患者サービスに影響を与えることも考えられます。

運用体制の変更は、電子カルテ導入に伴うデメリットとして慎重に検討すべき課題です。

これらのデメリットを理解し、適切な対策を講じることが重要なんだろうね!
そうすることで、電子カルテシステムの導入がよりスムーズに行われ、その利点を最大限に活用することができるでしょうね!

日本における電子カルテの現状

日本における電子カルテの現状は、以下のような特徴があります。

  • 普及率の増加
  • デジタル医療の基盤化
  • 医療情報の標準化
  • システムの集約化
  • データ活用の推進
  • 国際比較

それぞれ解説します。

普及率の増加

日本における電子カルテの普及率は年々増加しており、2020年時点で一般病院の電子カルテ普及率は57.2%に達しています。
特に400床以上の大規模病院では91.2%という高い普及率を示しており、大病院を中心に電子カルテの導入が進んでいます。
しかし、全体的には普及率はまだ半分程度に留まっており、小規模な診療所やクリニックでは電子カルテの普及が遅れているのが現状です。
この遅れの原因として、導入コストの高さや運用に伴う技術的な課題が挙げられます。

電子カルテの普及をさらに促進するためには、小規模医療機関向けのサポート体制やインセンティブが必要です。

デジタル医療の基盤化

日本政府はデジタル医療の基盤化を積極的に推進しており、オンライン資格確認システムの導入や全国医療情報プラットフォームの創設などの計画が進行中です。
これらの取り組みにより、患者の診療情報や保険情報がリアルタイムで共有され、医療サービスの質向上と効率化が図られます。
オンライン資格確認システムは、患者が医療機関を受診する際に、保険資格や診療情報を即時に確認できる仕組みで、診療受付のスムーズ化や医療費の適正化に寄与します。
また、全国医療情報プラットフォームは、地域を超えて医療情報を統合・共有するための基盤となり、患者の移動や転院時にも一貫した医療サービスを提供することが可能となります。

これらの施策は、デジタル医療の基盤強化と医療サービスの革新を目指すものです。

医療情報の標準化

電子カルテ情報の標準化や医療情報の二次利用に向けた取り組みが日本でも進められています。
しかし、臨床的な情報の標準化や電子カルテの運用には依然として課題が残っています。
標準化が進むことで、異なる医療機関間での情報共有が円滑に行われ、患者の治療における一貫性が確保されます。
医療情報の標準化は、国際的な基準に合わせたシステムの開発やデータの互換性を高めることが求められます。
また、標準化されたデータを活用することで、医療の質向上や研究開発の加速が期待されます。

これらの取り組みを推進するためには、政府や医療機関、ITベンダー間の協力が不可欠です。

システムの集約化

日本における電子カルテシステムは、病院向けには一部の大手ベンダーによって集約化が進んでいます。
しかし、診療所やクリニック向けの電子カルテベンダーは非常に多く、統一性に欠ける状況です。
これにより、異なるシステム間でのデータ互換性が低く、情報共有の障害となっています。
大手ベンダーによるシステム集約化は、安定性や信頼性の向上に寄与しますが、多様なニーズに対応するための柔軟性が求められます。
また、小規模医療機関向けのベンダーも統合や協力を進め、互換性のあるシステム開発を促進することが重要です。

システムの集約化は、効率的な情報管理と一貫した医療サービスの提供に不可欠な要素です。

データ活用の推進

日本では、データヘルス集中改革プランや次世代医療基盤法に基づき、医療情報のデジタル化とデータ活用の推進が進められています。
これにより、膨大な医療データを活用して医療の質を向上させ、新たな医療技術や治療法の開発が期待されています。
データヘルス集中改革プランは、医療データの収集・分析を行い、国民の健康増進や医療費の削減を目指すものです。
次世代医療基盤法は、個人情報保護を確保しながら、医療データの二次利用を促進するための法的枠組みを提供します。

これらの取り組みは、医療分野におけるイノベーションを推進し、患者に対する高度な医療サービスの提供を実現するための基盤となります。

国際比較

日本は電子政府達成度で世界14位にランクインしており、医療情報のデジタル化においても国際的な動向に注目が集まっています。
他国と比較しても高いレベルのデジタル医療基盤を持つ日本は、さらにその地位を強化するために努力を続けています。
電子カルテの普及やデジタル医療の基盤化においては、欧米諸国の先進事例から学びつつ、独自の取り組みを推進しています。
また、国際標準に準拠した医療情報の標準化を進めることで、グローバルな医療情報の共有と連携が可能となります。
日本は今後も国際的な医療デジタル化の潮流に対応しつつ、先進的な医療サービスの提供を目指していく必要があります。

国際比較の視点は、日本の医療デジタル化の現状と課題を理解する上で重要な要素です。

これらの情報から、日本における電子カルテの普及とデジタル化は進んでいるものの、まだ完全には普及していない状況であり、今後もさらなる推進が期待されているんだ!
また、医療情報の標準化やデータ活用の推進など、今後の発展に向けた取り組みが重要となっていますね!

世界における電子カルテの現状

世界における電子カルテの現状は、国によって大きく異なります。
ここでは…

  • アメリカ
  • イギリス
  • シンガポール
  • スウェーデン
  • 中国
  • インド
  • アフリカ

…における電子カルテの現状について解説します。

アメリカ

アメリカでは、病院の規模によって電子カルテ(EHR)の普及率は異なりますが、全体で約8割の普及率を誇っています。
これは2009年に成立したHITECH法により、電子カルテ導入のための財政支援が行われ、多くの医療機関がEHRを導入しました。
この政策的支援により、2020年時点のEHR普及率は約80%に達しています。

アメリカは、高い水準のEHR普及を実現し、医療の質向上や患者の安全性向上に大きく貢献しています。

イギリス

イギリスは電子カルテの普及率が100%近くに達しており、医療ITの先進国として広く知られています。
2016年には、国民健康サービス(NHS)において電子カルテの導入が完了し、全国的に統一されたシステムが整備されました。
これにより、地域医療ネットワークを通じた医療サービスが充実し、医療情報の共有がスムーズに行われています。
電子カルテの普及により、医療の質向上や患者の健康管理が大幅に改善されました。

イギリスの成功事例は、他国にとっても大きな参考となっています。

シンガポール

シンガポールでは、EMR(電子医療記録)の導入がほぼ100%達成されており、最新の患者情報にアクセスして適切な診療を行う環境が整っています。
2011年に全国的な電子カルテシステムが導入され、普及率は98%に達しています。
しかし、EHR(電子健康記録)への接続はまだ10%未満に留まっており、完全な統合には至っていません。
シンガポール政府は、さらなるEHR普及を目指し、継続的なシステム改善と医療情報の統合を推進しています。

シンガポールの取り組みは、地域の医療IT環境の整備において重要なモデルとなっています。

スウェーデン

スウェーデンでは、電子カルテと同じ役割を持つEMRの普及率が90%以上に達しており、地域ごとに整備された医療サービスが提供されています。
2010年に全国的な電子カルテシステムが導入され、普及率は99%以上に達しています。
これにより、医療従事者は迅速に患者情報にアクセスでき、一貫した治療が提供されています。
スウェーデンのEMRシステムは、地域間での情報共有を円滑にし、医療の質向上に寄与しています。

スウェーデンの高い普及率とシステムの統一は、他国の電子カルテ導入における優れた事例となっています。

中国

中国では、2009年に国家衛生委員会が電子カルテ導入を推進し、普及率は徐々に上昇しています。
2020年時点の普及率は約50%に達しており、大規模な医療機関を中心に導入が進んでいます。
しかし、地域格差やインフラの問題から、地方の小規模医療機関では普及が遅れています。
中国政府は電子カルテの普及をさらに促進するために、インフラ整備や医療従事者の教育を強化しています。

中国の取り組みは、広大な国土と多様な医療ニーズに対応するための重要なステップです。

インド

インドでは、政府が電子カルテ導入を推進していますが、インフラ整備や医療従事者の教育など多くの課題が存在します。
2020年時点の普及率は約20%と低迷しており、特に地方部での導入が進んでいません。
これにより、情報の共有や一貫した医療サービスの提供が困難な状況です。
政府は電子カルテの普及を促進するために、様々な支援策を講じていますが、長期的な取り組みが必要とされています。

インドの電子カルテ普及には、インフラの改善と教育の充実が不可欠です。

アフリカ

アフリカにおける電子カルテ導入の状況は国によって様々ですが、多くの国で導入が進んでいないのが現状です。
インフラの整備不足や資金の制約、医療従事者の教育不足など、多くの課題が存在します。
特に、リモート地域や貧困層においては、電子カルテの導入が遅れています。
しかし、いくつかの国では国際援助やNGOの支援を受けて、電子カルテシステムの導入が進められています。

アフリカの電子カルテ普及には、国際的な支援と地域特有の課題に対応した取り組みが必要です。

電子カルテを推進している国々では、電子カルテやEMRの導入により、医療の効率化、医療ミスの削減、患者情報の迅速な共有などが実現されているんだ!
また、医療情報の標準化やデータの二次利用に向けた取り組みも進められているんですね!

電子カルテの今後

電子カルテの今後についてですが、次のような展望が考えられます。

  • 普及率の増加
  • デジタルヘルスへの統合
  • 市場の微増
  • オンプレミス型からクラウド型への移行
  • 地域医療との連携強化

それぞれ解説します。

普及率の増加

今後、電子カルテ(EHR)の普及率は中小規模の医療機関においても進むと予想されます。
特に、クラウド型電子カルテの導入が加速していることがその主な要因です。
クラウド型電子カルテは、初期費用やメンテナンスの負担を大幅に軽減するため、より多くの医療機関で採用される可能性が高いです。
これにより、小規模な診療所やクリニックでも、コストを抑えつつ電子カルテの導入が可能となります。

普及率の増加は、医療の質向上と業務効率化に寄与し、患者へのサービス提供を改善することが期待されます。

デジタルヘルスへの統合

電子カルテは、オンライン診療、個人健康記録(PHR)、マイナポータル、治療アプリ、医療AIなどの他のデジタルヘルス要素と融合し、相互に発展していくことが期待されています。
これにより、医療情報の一元管理が進み、患者の健康管理がより効率的かつ包括的に行えるようになります。
例えば、オンライン診療の際に電子カルテを利用することで、医師は患者の詳細な診療記録にアクセスし、適切な診断と治療を行うことができます。
また、医療AIとの連携により、診断支援や予後予測が精度向上し、医療の質がさらに向上します。

デジタルヘルスとの統合は、患者と医療従事者双方にとって大きなメリットをもたらします。

市場の微増

電子カルテ市場の動向として、病院向け電子カルテの市場は2025年以降縮小する可能性がありますが、クラウド型電子カルテや電子処方箋システム、診療/検査予約システムなどの市場は大幅に伸長すると予想されています。
病院向け電子カルテ市場の縮小は、大規模病院への導入がほぼ完了していることが一因です。
一方、クラウド型電子カルテ市場は、小規模医療機関への普及や新規導入が進むことで拡大が見込まれます。
さらに、電子処方箋システムや診療/検査予約システムの普及により、医療機関の業務効率化が進むことが期待されます。

市場の微増は、新しい技術やサービスの導入によって実現されるでしょう。

オンプレミス型からクラウド型への移行

クラウド型電子カルテ市場は拡大を続けており、今後もその傾向は加速すると予測されています。
クラウド型システムは、導入コストが低く、メンテナンスも簡便であるため、特に小規模医療機関にとって魅力的です。
一方で、オンプレミス型電子カルテ市場は縮小に転じると見られており、既存のシステムからクラウド型への移行が進むと考えられます。
クラウド型システムの普及により、医療情報のアクセス性と共有性が向上し、医療サービスの質が向上します。

また、クラウド型システムはデータのバックアップやセキュリティ対策が強化されているため、情報保護の観点からも安心です。

地域医療との連携強化

電子カルテを活用して地域医療や介護施設との連携を強化する動きが今後さらに進むと予想されます。
患者情報を電子カルテで一元管理することで、地域の医療機関や介護施設との情報共有が円滑に行われ、包括的なケアが提供されます。
例えば、地域医療ネットワークを通じて、患者の診療情報やケアプランを共有することで、異なる医療機関や施設間での連携が強化されます。
これにより、患者が転院や退院後も一貫したケアを受けられるようになります。
また、在宅医療や訪問看護においても、電子カルテを利用することで、医療従事者間のコミュニケーションが円滑に行われ、質の高いケアが提供されます。

地域医療との連携強化は、患者のQOL向上と医療の効率化に大きく貢献します。

これらの展望を踏まえると、電子カルテは医療現場における情報管理の中心的な役割を担い続けるとともに、新たなデジタルヘルスの波に乗り、医療サービスの質の向上と効率化に寄与していくことが期待されるんだ!
また、医療機関間の情報共有や連携の強化により、患者中心の医療がさらに進展するでしょうね!

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