フェイススケール(face scale)

疼痛の評価方法として、フェイススケール(face scale)があります。
本記事では、このフェイススケールの方法や注意点などについて解説します。

フェイススケールとは

フェイススケール(face scale)は、痛みの評価スケールの一種です。
痛みが全くなく、とても幸せな表情から、これ以上考えられないほど強い痛みを表す表情まで6種類の顔面の表情を選択させることで痛みの強度を表す方法になります。

フェイススケールの特徴

フェイススケールの特徴としては次のようなものがあげられます。

  • 痛みの強さを顔の表情で表現する評価方法
  • 言語的な理解力が乏しい人にも使える
  • ペインクリニックや麻酔科などで用いられる

以下にそれぞれ解説します。

痛みの強さを顔の表情で表現する評価方法

フェイススケールは、痛みの強度を顔の表情で示す評価方法です。
幸せな表情から強い痛みを示す表情まで、6つの顔の表情を選択します。
この方法は、痛みのレベルを視覚的に表現するため、患者が直感的に自身の痛みを評価することができます。
表情を通じて痛みの強さを表現することで、他の人に痛みの程度を伝える手段となります。

言語的な理解力が乏しい人にも使える

フェイススケールは、言語的な理解力が乏しい人にも利用されることがあります。
言語による痛みの表現が困難な場合や、コミュニケーションの制約がある場合でも、顔の表情を選択することで痛みの程度を示すことができます。
特に小児や高齢者などの特定の人々にとって、フェイススケールは便利で使いやすいツールとなります。

ペインクリニックや麻酔科などで用いられる

フェイススケールは、ペインクリニックや麻酔科などの医療現場で頻繁に使用されます。
疼痛の評価や治療において、痛みの程度を客観的に把握することが重要です。
フェイススケールは、患者の痛みを評価し、状況を把握するための手段として効果的です。
特に痛み管理や麻酔の適切な調節が必要な場合に、フェイススケールは有用なツールとして利用されます。

フェイススケールの使い方と評価方法

フェイススケールを行うには、まず痛みの強さについて表情が書かれた評価用紙を用いて患者にみせます。
そして、患者に現在の痛みがどの表情に近いか、視覚的に応えてもらう…という評価方法です。

フェイススケールの適用範囲と応用例

フェイススケールは、表情を見て視覚的に応えることができるため、子供や高齢者など、言語的な理解力が乏しい人にも適用できるとされています。

フェイススケールのメリット、デメリット

フェイススケールの信頼性と妥当性

急性期の痛みに対してはVASと同様の信頼性が認められています。
しかし、慢性痛に対しては信頼性が低いと言われています。
また、フェイススケールには感情が含まれやすいという欠点もあるため、再現性に乏しいという難点があります。

フェイススケールの注意点について

フェイススケールの注意点としては、次のようなものがあげられます。

  • 痛みの強度を定量化できない
  • 痛みの原因や性状などを把握できない
  • 表情によっては感情が影響する可能性がある

以下にそれぞれ解説します。

痛みの強度を定量化できない

フェイススケールは、痛みの強度を顔の表情で表現しますが、具体的な数値で痛みの強度を定量化することはできません。
表情の選択肢は一定の範囲で示されますが、それぞれの表情がどれだけの痛みを表しているのか厳密には示されていません。
つまり、表情のスケール間において痛みの強度が等間隔ではありません。
そのため、異なる人々が同じ表情を選択しても、その痛みの程度は個人差や主観的な要素によって異なる場合があります。

痛みの原因や性状などを把握できない

フェイススケールでは、痛みの原因や性状について詳細な情報を把握することはできません。
痛みはさまざまな要因によって引き起こされることがあり、その背後には病気やけがなどの特定の原因が存在する場合もあります。
しかし、フェイススケールでは単に痛みの強度を表情で示すだけであり、痛みの原因や性状を明確に把握することはできません。

表情によっては感情が影響する可能性がある

フェイススケールでは、顔の表情を使用して痛みの強度を表現します。
しかし、表情は感情と密接に関連しており、痛みだけでなく他の要素も表情に反映される可能性があります。
感情的な状態や心理的な要素が表情に影響を与える場合、痛みの評価において正確な反映を得ることが難しくなる可能性があります。
これにより、痛みの評価結果が感情的な状態によって歪められる可能性があります。

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