FIM(排尿管理)- 評価のポイント・項目・具体例・注意点・点数・採点方法など

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FIM(機能的自立度評価表)の排尿管理は、患者の排尿に関する自立度を評価する項目で、「尿を出したいときに出し、出したくない時に出さない」能力を測定します。
本記事ではFIM(排尿管理)評価のポイント、項目、具体例などについて解説します。


FIMにおける排尿管理の評価について

FIM(機能的自立度評価表)の排尿管理は、患者の日常生活における自立度を評価するための重要な指標です。
具体的には、「尿を出したいときに出し、出したくないときに出さない」という能力を評価し、括約筋をタイミングよく緩めることができるかを採点します。
この評価には、完全自立から全介助までの7段階があり、完全自立(7点)は道具を使わずに失禁せずに排尿をコントロールできる状態、一方で全介助(1点)は排尿動作の25%未満しか自分で行えず、毎日失禁して介助者に伝えることもできない状態を示します。

FIMの排尿管理では、排尿前後の「衣服の上げ下げ」や「排尿後の清潔保持」などの動作は「トイレ動作」の項目で評価され、排尿自体の管理能力に焦点を当てています。
この評価は、道具の使用や介助の程度、失禁の頻度などによって細かく分けられており、患者がどの程度の介助を必要とするかを明確にするために用いられます。

FIM(排尿管理)の評価対象の項目

FIM(排尿管理)の評価対象は「尿を出したいときに出し、出したくないときに出さない」という能力になります。
具体的には…

  • 膀胱のコントロール
  • 道具の使用
  • 失禁の頻度

…になります。
それぞれ解説します。

膀胱のコントロール

FIMの排尿管理では、膀胱のコントロール能力が重要な評価対象です。
これは、患者が尿意を感じたときに適切に排尿し、不要なときには排尿を抑制する能力を指します。
具体的には、患者が膀胱の括約筋を随意に制御し、失禁せずに排尿を管理できるかどうかが評価されます。
完全自立とみなされる7点は、道具や他人の助けを一切必要とせず、自分の意思で完全に排尿をコントロールできる状態を示します。

これに対し、失禁が頻繁に起こる場合や、自力での排尿コントロールが難しい場合は、評価点が低くなります。

道具の使用

排尿管理の評価には、患者がどの程度道具を使用して自立しているかも含まれます。
尿びん、カテーテル、オムツ、パットなどの道具を使用することで、患者が自立した排尿管理を行えるかが評価されます。
また、膀胱抗痙縮剤などの内服薬や投薬を利用して排尿をコントロールできる場合も、道具の使用に含まれます。
患者がこれらの道具を正しく準備、装着、使用し、使用後の片付けまでを自分で行えるかどうかが重要です。

これにより、患者が日常生活でどの程度自立しているかを具体的に把握できます。

失禁の頻度

失禁の頻度もFIMの排尿管理評価において重要な指標です。
失禁の頻度は、月に1回未満、週に1回未満、1日に1回未満、毎日失禁しているが介助者に伝えることができる、毎日失禁しており、介助者に伝えることができないなど、具体的な頻度によって評価が分かれます。
失禁が月に1回未満であれば比較的自立していると評価される一方で、毎日失禁している場合は自立度が低いと見なされます。

これにより、患者がどの程度の介助を必要としているかが明確になります。

なおさっきも触れたけど、排尿の前後における「衣服の上げ下げ」「排尿後会陰部を清潔にする」などは「トイレ動作」の項目で採点するんだ!
これらの項目は排尿管理の評価対象ではないんですね!

FIM(排尿管理)の採点基準

FIM(排尿管理)の採点基準と具体例については次の通りになります。

7点 (完全自立)

患者は道具や他人の助けを一切必要とせず、安全かつ随意に膀胱をコントロールし、失禁しない状態です。
例: 患者は日中も夜間も失禁することなく、自分の意思で適切なタイミングでトイレに行き排尿を行います。

6点 (修正自立)

患者は尿びん、カテーテル、オムツ、パットなどの道具を使用して自立している。または、膀胱抗痙縮剤などの内服薬を使用して自立しています。準備、装着、使用後の片付けなどを自分で行います。
例: 患者はカテーテルを使用して自力で排尿管理を行い、カテーテルの準備や片付けも自分で行います。

5点 (監視・準備)

患者は監視または準備、指示・促しが必要ですが、ほとんど自立しています。失禁することが月に1回未満です。
例: 患者は時々介助者からトイレに行くよう促されますが、基本的には自分でトイレに行き、月に1回未満の失禁です。

4点 (最小介助)

患者は排尿動作の75%以上を自分で行いますが、介助が必要です。失禁することが週に1回未満です。
例: 患者はトイレでの衣服の上げ下げに介助が必要ですが、実際の排尿は自分で行い、週に1回未満の失禁です。

3点 (中等度介助)

患者は排尿動作の50〜75%を自分で行いますが、残りは介助が必要です。失禁することが1日に1回未満です。
例: 患者は排尿の準備や片付けに介助が必要ですが、排尿自体は自分で行い、1日に1回未満の失禁です。

2点 (最大介助)

患者は排尿動作の25〜50%を自分で行いますが、毎日失禁しており、介助者に伝えることができます。
例: 患者は毎日失禁しますが、トイレに行くタイミングを介助者に伝えることができ、排尿動作の一部を自分で行います。

1点 (全介助)

患者は排尿動作の25%未満しか自分で行えず、毎日失禁しており、介助者に伝えることができません。
例: 患者は毎日失禁しており、トイレに行くタイミングを介助者に伝えることができないため、全ての排尿管理を介助者に依存しています。

このように、FIMの排尿管理の採点基準は、患者の自立度を詳細に評価し、適切な介助やリハビリテーション計画を立てるための重要な指標となるんだ!
その際の注意点にも留意しないといけませんね!

FIM(排尿管理)評価の注意点

FIM(排尿管理)評価の際の注意点ですが、ここでは…

  • 排泄の前後のズボンの上げ下ろしは評価に含まない
  • 空振りは減点しない
  • 排尿誘導は介助と判断する
  • 失禁をしても自分で片付けて介助が必要なければ、FIMでは失敗ではないと解釈する
  • 道具の片づけが可能なら修正自立(6点)と判断する

…について解説します。

排泄の前後のズボンの上げ下ろしは評価に含まない

FIM(Functional Independence Measure:機能的自立度評価表)の排尿管理の評価では、排泄の前後におけるズボンの上げ下ろしは評価に含まれません。
この動作は「トイレ動作」の項目で評価されるため、排尿管理の評価基準には影響しません。
患者がトイレでのズボンの上げ下ろしに介助を必要とするかどうかは、別途評価されるべき事項です。
したがって、排尿自体の管理能力のみが排尿管理の評価対象となります。

これにより、評価がより具体的かつ明確になります。

空振りは減点しない

FIMの排尿管理評価において、空振り(トイレに行ったが排尿しなかった場合)は減点の対象とはなりません。
評価対象はあくまで「尿を出したいときに出し、出したくないときに出さない」能力であり、空振りはこの能力の欠如とは見なされません。
患者がトイレに行ったが排尿しなかった場合でも、排尿自体の管理が適切に行われていると判断されます。

これにより、評価が患者の排尿管理能力に焦点を当てたものとなり、不必要な減点を避けることができます。

排尿誘導は介助と判断する

排尿管理の評価において、介助者が患者に対して排尿を促すこと(排尿誘導)は介助と見なされます。
例えば、介助者が患者にトイレに行くタイミングを教えたり、排尿を促したりする場合、それは患者が自立して排尿を管理できていないことを示します。
このため、排尿誘導が必要な場合、患者の評価点は自立度に応じて低くなります。

これにより、評価は患者の真の自立度を反映するものとなります。

失禁をしても自分で片付けて介助が必要がなければ、FIMでは失敗ではないと解釈する

FIMの排尿管理評価では、失禁をしたとしても、患者が自分で片付けを行い、介助が不要であれば失敗とは見なされません。
重要なのは、患者が失禁後の処理を自分で行えるかどうかです。
この能力がある場合、排尿管理の評価点は高く維持されます。
したがって、失禁そのものが評価を左右するのではなく、失禁後の対応能力が評価されることになります。

これにより、評価は患者の実際の自立度をより正確に反映します。

道具の片づけが可能なら修正自立(6点)と判断する

排尿管理において、患者が道具を使用して自立している場合、使用後の片づけが自分でできれば修正自立(6点)と判断されます。
例えば、尿びんやカテーテル、オムツ、パットなどを使用した場合、その準備から使用後の片づけまでを自分で行えることが評価されます。
この能力がある場合、道具を使用していても自立度は高く評価されます。

これにより、道具の使用が必要であっても、患者の自立度を正確に評価することが可能となります。

これらの注意点は、FIMの排尿管理評価をより正確かつ公平に行うための重要な指針となるんだ!
評価者はこれらのポイントを理解し、患者の排尿管理能力を適切に評価することが求められますね!

もしこの記事に修正点やご意見がございましたら、お手数ですがお問い合わせまでご連絡ください。 皆様の貴重なフィードバックをお待ちしております。
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THERABBYを運営している臨床20年越えの作業療法士。
行動変容、ナッジ理論、認知行動療法、家族療法、在宅介護支援
ゲーミフィケーション、フレームワーク、非臨床作業療法
…などにアンテナを張っています。

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