FIM(機能的自立度評価表)の「階段」項目は、患者が4〜6段または12〜14段の階段を自立して昇降できるかを評価し、リハビリテーションの進行度や介護計画の立案に役立ちます。
本記事ではFIM(階段)評価のポイント、項目、具体例などについて解説します。
FIMにおける階段の評価について
FIM(機能的自立度評価表)の階段項目では、患者が12〜14段または4〜6段の階段を昇降できるかを評価します。
この評価は、介助の必要度に応じて1点から7点の7段階で行われ、7点は介助者なしで自立している場合、1点は全介助が必要な場合に該当します。
具体的には、補助具の使用や最小介助から全介助までの状況に応じた詳細な基準が設けられており、これにより患者の自立度を正確に評価し、リハビリテーションの効果を判定することが可能です。
FIM(階段)の評価対象の項目
FIM(階段)の評価対象の項目としては…
- 4~6段の階段昇降
- 12~14段の階段昇降
…があげられます。
それぞれ解説します。
4〜6段の階段昇降
FIM(機能的自立度評価表)の「階段」の項目では、4〜6段の階段昇降が評価対象となります。
これは、一般的な家庭環境や公共施設でよく見られるスキップフロア(中二階)に相当します。
この評価は、患者が日常生活で遭遇する可能性のある階段昇降の状況を反映しています。
患者が4〜6段の階段を自立して昇降できるか、またはどの程度の介助が必要かを評価します。
具体的な採点基準は、7点(完全自立)から1点(全介助)までの7段階で、患者の自立度に応じて点数が付けられます。
例えば、杖や手すりなどの補助具を使用して自立して階段を昇降できる場合は6点、25%以下の最小介助があれば可能な場合は4点となります。
12〜14段の階段
FIMの「階段」の項目では、12〜14段の階段昇降も評価対象となります。
これは、一般的な建物で1階分の階段に相当します。
この評価は、患者が日常生活で遭遇する可能性のある階段昇降の状況を反映しています。
患者が12〜14段の階段を自立して昇降できるか、またはどの程度の介助が必要かを評価します。
具体的な採点基準は、7点(完全自立)から1点(全介助)までの7段階で、患者の自立度に応じて点数が付けられます。
例えば、監視または準備、助言があれば12〜14段の階段を昇降できる場合は5点、75%以下の介助があれば昇降できる場合は2点となります。
FIM(階段)の採点基準
FIM(階段)の採点基準と具体例については次の通りになります。
7点:完全自立
患者は介助者なしで自立して階段を昇降できます。
例: 患者が何の補助具も使わずに12〜14段の階段を上り下りできる。
6点:補助具を使用して自立
患者は杖や手すり、装具などの補助具を使用して自立して階段を昇降できます。
例: 患者が手すりを使って4〜6段の階段を昇降できる。
5点:監視または準備、助言があれば自立
患者は監視や準備、助言があれば階段を昇降できます。
例: 患者が介助者の見守りや指示があるときに12〜14段の階段を昇降できる。
4点:最小介助(25%以下)
患者は最小限の介助があれば階段を昇降できます(介助者が25%以下の力で助ける)。
例: 患者が介助者に軽く支えられながら4〜6段の階段を昇降できる。
3点:中等度の介助(25%以上)
患者は中等度の介助があれば階段を昇降できます(介助者が25%以上の力で助ける)。
例: 患者がしっかりと支えられながら12〜14段の階段を昇降できる。
2点:最大介助(75%以下)
患者は最大限の介助があれば階段を昇降できます(介助者が75%以下の力で助ける)。
例: 患者が介助者の大部分の助けを借りて4〜6段の階段を昇降できる。
1点:全介助
患者は全介助が必要で、2人以上の介助者が必要です。
例: 患者が2人の介助者に支えられながら12〜14段の階段を昇降する。
FIM(階段)評価の注意点
FIM(階段)評価の注意点としてここでは…
- 入院中は階段昇降を行わない場合
- 明らかに危険性が高い状況
…について解説します。
入院中は階段昇降を行わない場合
入院中のクライアントが階段昇降を必要としない状況下や、安全のために階段昇降が禁止され、エレベーターのみのフロア間移動を行っている場合、FIMの評価において注意が必要です。
こうした状況では、階段の項目を1点にしてしまいがちですが、階段の項目については必ずテストを行って評価します。
つまり、階段昇降の能力を実際に評価し、その結果に基づいて点数を付ける必要があります。
このアプローチは、患者がどの程度自立して階段を昇降できるかを正確に反映するために重要です。
明らかに危険性が高い状況
しかし、患者の状況が明らかに危険であり、階段昇降のテストを行うことが安全面から見て不適切な場合もあります。
このような場合、テストをせずに1点と評価します。
例えば、患者が重篤なバランス障害を抱えていたり、骨折のリスクが高い場合などが該当します。
この基準により、患者の安全を最優先に考慮しながら評価を行うことができます。
患者の安全を確保するためには、専門家の判断が不可欠です。