General Joint Laxity Testは、体の主要な関節および脊椎の柔軟性を評価する方法です。
各関節の柔軟性を測定し、関節弛緩性の有無や程度を判断します。
本記事ではこの実施方法と採点方法について解説します。
General Joint Laxity Testとは
General Joint Laxity Test(全身関節弛緩性テスト)は、関節の柔軟性や弛緩性を評価するための重要な検査方法であり、主に整形外科やスポーツ理学療法で広く使用されています。
この検査では、Beightonスコアという9点満点の評価基準を用い、手関節、肘関節、膝関節、足関節、体幹など、全身の関節の可動域や安定性を確認します。
特に柔軟性が高いアスリートや特定の遺伝的要因を持つ人々において、関節の過度な弛緩性が靭帯損傷や脱臼などのリスク要因となるため、この検査の結果は重要な指標となります。
また、関節弛緩性の評価は、リスクの特定だけでなく、個々の柔軟性に基づいた適切なトレーニングプランや治療方針を立てる上でも役立ちます。
さらに、このテストは予防的観点からも有用で、潜在的な関節障害を早期に発見し、適切な介入を行うための基礎情報を提供します。


General Joint Laxity Testの目的
General Joint Laxity Testは、関節の柔軟性を測る検査ですが、この検査を行う目的は多岐にわたります。
ここでは…
- 関節の柔軟性の評価
- スポーツ障害の予防と診断
- 治療効果の評価
…について解説します。
関節の柔軟性の評価
関節の柔軟性を評価することで、個々の関節が正常な範囲で動作するかを確認します。
この検査は、関節過動症(関節が異常に柔らかい状態)や関節拘縮(関節が固まって動きにくい状態)の診断に役立ちます。
また、個人の柔軟性レベルを把握し、スポーツや日常生活における適切な運動指導やリハビリテーションプランを策定する基礎データとなります。
特に、柔軟性が高い人や低い人では必要な対応が異なるため、柔軟性の評価は個別化されたアプローチを可能にします。
これにより、関節の機能を維持しながら、健康的な生活や運動パフォーマンスの向上を目指すことができます。
スポーツ障害の予防と診断
General Joint Laxity Testは、スポーツにおける怪我のリスクを評価するために活用されます。
特に、関節の過度な柔軟性は特定のスポーツにおいて靭帯損傷や脱臼のリスクを高めるため、このリスク評価は非常に重要です。
また、過去にスポーツ障害を経験した人では、問題が発生した部位の関節柔軟性を確認することで再発防止の手助けとなります。
検査結果を基に、適切な筋力トレーニングやストレッチを取り入れることで、怪我のリスクを低減できます。
さらに、この検査はスポーツ理学療法の場で重要な役割を果たし、選手の安全なパフォーマンス向上を支援します。
治療効果の評価
治療やリハビリテーション後の関節機能の回復度を確認する目的でも、この検査は重要です。
関節の柔軟性が適切に改善されたかを測定することで、リハビリテーションプランの有効性を客観的に評価できます。
また、手術を受けた場合には、術後のリハビリ経過をモニタリングし、柔軟性回復度合いを記録します。
これにより、必要に応じて治療方針の修正が可能となり、患者の早期回復をサポートできます。
さらに、治療の進行状況を医療チーム全体で共有する手段としても、この検査の結果は重要な役割を果たします。


General Joint Laxity Testの方法
このGeneral Joint Laxity Testでは、以下の方法で関節の弛緩性があるかどうかを検査します。
- 母指が前腕につく
- 肘の過伸展≧15度
- 背中で指を握ることができる
- 膝の過伸展≧10度(反張膝)
- 足の背屈角度≧45度
- 立位体前屈で、手掌が床につく
- 立位で股関節を外旋し、つま先が180度開く
それぞれ解説します。
母指が前腕につく
母指(親指)が前腕に触れることができるかどうかは、関節の柔軟性を評価するための重要な指標です。
母指が前腕に触れるためには、母指の基節関節と中節関節、そして手首の柔軟性が必要です。
多くの場合、関節弛緩性が高い人はこの動作を容易に行うことができます。
このテストは、手根管症候群などの手の疾患の診断にも利用されることがあります。
関節弛緩性が高いと、関節の過度の動きにより痛みや不安定性が生じやすくなります。
そのため、母指が前腕に触れることができる場合は、特にスポーツ選手やダンサーにおいて、関節の安定性を維持するための適切なトレーニングが必要となることがあります。
肘の過伸展≧15度
肘の過伸展が15度以上あるかどうかを評価することは、関節の柔軟性を測るためのもう一つの方法です。
肘が通常の範囲を超えて後方に伸びることを過伸展と呼び、一般的には関節弛緩性が高い人に見られます。
このテストでは、肘関節の周囲の筋肉や靭帯の柔軟性と強度が重要な役割を果たします。
過度の肘の過伸展は、スポーツ活動や日常生活において関節の不安定性を引き起こす可能性があります。
特に投擲競技や体操など、肘に大きな負担がかかるスポーツでは、過伸展による怪我のリスクが高まるため、適切な予防策が求められます。
背中で指を握ることができる
両手を背中で握り合うことができるかどうかは、肩関節の柔軟性を評価するためのテストです。
肩関節の柔軟性は、日常生活の動作やスポーツ活動において重要です。
例えば、背中で指を握ることができる場合、肩甲骨周囲の筋肉や関節包の柔軟性が高いことを示します。
しかし、関節弛緩性が高すぎると、肩の不安定性や脱臼のリスクが増加することがあります。
このテストは、肩の柔軟性だけでなく、肩甲骨の可動性や筋力のバランスも評価することができます。
肩の柔軟性を高めるためには、ストレッチや適切なエクササイズが有効です。
膝の過伸展≧10度(反張膝)
膝の過伸展が10度以上ある場合、膝関節の柔軟性が高いと評価されます。
反張膝とも呼ばれるこの状態は、膝が通常の範囲を超えて後方に伸びることを意味します。
膝の過伸展は、関節の安定性に影響を与える可能性があり、特にスポーツ選手やダンサーにとっては重要な評価項目です。
過度の膝の過伸展は、膝関節の靭帯や筋肉に負担をかけ、怪我のリスクを高める可能性があります。
このテストは、膝の柔軟性だけでなく、関節の安定性を評価するための一つの方法として利用されます。
膝の過伸展を防ぐためには、筋力トレーニングやストレッチが効果的です。
足の背屈角度≧45度
足首の背屈角度が45度以上あるかどうかを評価することは、足首の柔軟性と機能性を測るための重要な指標です。
足首の背屈は、歩行やランニング、ジャンプなどの日常的な動作において重要な役割を果たします。
関節弛緩性が高い人は、この動作を容易に行うことができますが、過度の柔軟性は関節の不安定性を引き起こす可能性があります。
このテストでは、足首の柔軟性だけでなく、ふくらはぎの筋肉やアキレス腱の柔軟性も評価されます。
足首の背屈角度を適切に保つためには、定期的なストレッチやエクササイズが必要です。
立位体前屈で、手掌が床につく
立位体前屈で手掌が床に触れることができるかどうかを評価することは、全身の柔軟性を測るための重要なテストです。
特に、腰椎、股関節、ハムストリングス、ふくらはぎの柔軟性が求められます。
この動作が可能であれば、これらの部位の柔軟性が高いことを示しています。
柔軟性が高いことは、日常生活の動作やスポーツ活動において有利ですが、過度の柔軟性は筋肉や関節の安定性に影響を与える可能性があります。
このテストは、ストレッチやヨガのようなエクササイズによって柔軟性を高めるための指標としても利用されます。
柔軟性を保つことは、怪我の予防や身体のバランスを維持するために重要です。
立位で股関節を外旋し、つま先が180度開く
立位で股関節を外旋し、つま先が180度開くことができるかどうかを評価することは、股関節の柔軟性と可動性を測るためのテストです。
股関節の外旋は、特にダンサーや体操選手など、特定のスポーツやパフォーマンスにおいて重要な動作です。
このテストが成功するためには、股関節の柔軟性、股関節周囲の筋肉の柔軟性、そして骨盤の安定性が必要です。
股関節の外旋が可能であれば、股関節の柔軟性が高いことを示しますが、過度の柔軟性は関節の安定性を損なうリスクもあります。
このテストは、股関節の柔軟性を評価するための一つの方法であり、柔軟性を維持または向上させるためのストレッチやエクササイズが推奨されます。


General Joint Laxity Testの採点方法
General Joint Laxity Testは、関節弛緩性を評価するための方法として、7つの主要な関節および脊椎の柔軟性を測定します。
このテストでは、手首、肘、肩、膝、足首、脊椎、股関節の各部位ごとに特定の動作が可能かどうかを確認し、各パラメータが満たされた場合にスコアが与えられます。
手首、肘、肩、膝、足首の5つの関節については、左右それぞれの動作を評価し、片側ごとに0.5点のスコアを付けます。
一方、脊椎および股関節については、左右の区別なく1点が付与されるため、これらの関節はより高いスコアを獲得することができます。
総得点は最大で7点となり、各関節の柔軟性と可動性の評価を通じて、関節弛緩性の全体像を把握することが可能です。

