利き手交換の評価と訓練(食事) – 作業療法士の役割について

非利き手でもいから箸が使いたい…という要望は臨床で結構聞かれます。
本記事では食事における利き手交換について解説します。


食事における利き手交換について

食事において利き手交換をすることは、箸の使用が難しい場合や、片手が不自由な場合に有効な方法です。
特に箸の使用にこだわらなければ、スプーンなどの他の食具の使用や自助具の使用などでも可能となることが多いです。

作業療法士の役割

食事動作において、作業療法士は…

  • ポジショニング
  • セッティング
  • 自助具の検討
  • 食事形態
  • 介助方法

…などに介入する必要があります。
それぞれ解説します。

ポジショニング

食事の自立性を高めるための利き手交換の場合、適切なポジショニングは欠かせません。
非利き手の運動制御や筋力を向上させるための刺激も提供されます。

日常生活の継続性を保つためにも利き手交換が有用であり、作業療法士がスムーズな実行を支援する必要があります。

セッティング

もちろん食器の配置などのセッティングにも介入する必要があります。
食器の配置やセッティングは、利用者の食事を簡単かつ安全にするために重要な要素です。
例えば、箸やスプーンを利用する際に、身体の動きや利き手に合わせて配置することで利用者の食事をスムーズにします。

これにより、片麻痺や筋力の低下などの問題を抱える利用者の安全性を確保し、独立性を促進することができます。

自助具の検討>

また、自助具の検討も必要になります。
利き手交換における自助具の役割は、非利き手での動作をサポートし、練習や訓練を助けることです。
自助具は、身体的ガイドや視覚的フィードバックを提供することで、非利き手の動作を補完し、正確さや効率性を向上させる役割を果たします。

例えば、箸操作においては、身体的ガイド法や箸の形状を変えることで、非利き手での正しい持ち方や操作方法をサポートします。
また、視覚的フィードバックを提供するために、箸の先端にマーカーやセンサーを取り付けることで、動作の正確さや速度を確認することができます。

自助具は、非利き手の練習や訓練において重要な役割を果たすだけでなく、モチベーションや自信の向上にも寄与します。
利き手交換における自助具の適切な使用は、非利き手の動作能力の向上や日常生活の自立を促すことにつながります。

食事形態

意外と見落とされがちな要素が食事形態です。
食事形態は、箸の利き手交換によって変化する可能性があります。
例えば、利き手が変わることによって食事の速度や安定性が変わる可能性があります。

したがって、箸の利き手交換に関する研究を行う際には、食事形態も考慮することも重要になります。

介助方法

食事における利き手交換では、その介助方法についても考慮すべきかもしれません。
最初は患者本人のモチベーションや非利き手による操作の不慣れさなどからある程度しっかりとした介助が必要です。
そこから徐々に段階的に介助量を減らしていく”フェーディング”のアプローチが重要になります。

これらの介入によって、有効な情報を適切に提供し「個人-環境-課題」の相互関係の再組織化を図ることが必要なんだね!
利き手での箸の使用に対する希望って、結構強いですからね。

食事における利き手交換の評価方法

利き手交換で食事を訓練する際の評価方法は、いくつかの研究で使用されています。
ここでは、そのポイントとして…

  • 箸操作時間の測定
  • 箸の操作精度の評価
  • 箸の操作角度の評価
  • 箸の操作の難易度の評価

…について解説します。

箸操作時間の測定

訓練前後で利き手と非利き手で箸を使う時間を計測し比較することで、訓練効果を見ます。
時間の変化により、訓練がどれだけ効果的だったか評価します。

ちなみに箸の実用性に関する研究では、右手・左手のどちらにおいても、普通箸を用いたインゲン豆20個の移動が90秒以内で可能である必要があると報告されています

箸の操作精度の評価

利き手と非利き手での箸の操作精度を比較して、正確さや安定性を評価します。
研究では、どちらの手がより正確に操作できるかを評価し、訓練の影響を見ることがあります。

箸の操作角度の評価

箸を持つ角度の正確さを測定し比較します。
利き手と非利き手で箸を持つ際の角度が正しいかどうかを評価します。

訓練によって角度の違いがあるかを確認します。

箸の操作の難易度の評価

利き手と非利き手での箸の操作の難易度を比較し、訓練によってどれだけ操作がスムーズになったかを評価します。
難易度の低下が訓練の効果を示す指標の一つとされます。

これらの評価方法は、利き手交換の訓練効果を客観的に測るための手段として利用されるだろうね!
訓練の効果を評価するためには、箸操作速度や主観的評価などの指標を使用することが一般的でしょうね!

食事における利き手交換の訓練方法

では、実際に食事における利き手交換の訓練方法とはどのようなものがあげられるでしょうか?
ここでは…

  • 箸操作訓練
  • 箸先あわせ訓練
  • 手指巧緻動作訓練
  • 補助具を用いた訓練

…について解説します。

箸操作訓練

非利き手で箸を使って物体をつまむ訓練を行います。
訓練の内容は、物体のつまみ方や持ち方、移動方法などを繰り返し練習することです。

箸先あわせ訓練

箸の先端を合わせる訓練を行います。
これにより、正確なつまみ方や持ち方を習得することができます。

手指巧緻動作訓練

手指の巧緻性を向上させるための訓練を行います。
手指の動きや指先の操作を練習することで、利き手交換時の箸の操作がスムーズになります。

補助具を用いた訓練

身体的ガイドやフェイティング法などの補助具を使用して訓練を行います。
これにより、利き手交換時の箸の操作を支援することができます。

もちろん、患者さんの目的や能力、特徴などによって組み合わせる必要があるだろうね!
できる限り目の前の訓練内容が、患者さん自身に必要なことと感じてもらえるような工夫も重要でしょうね!

参考

1)右上肢片麻痺患者における普通箸の実用的な使用に関与する要因

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