インピンジメント症候群は、肩の腱や滑液包が肩峰と上腕骨の間で圧迫され、痛みや可動域の制限を引き起こす疾患です。
特に腕を上げる動作で症状が悪化します。
本記事ではインピンジメント症候群について解説します。
インピンジメント症候群とは
インピンジメント症候群は、肩関節の腱や滑液包が肩峰と上腕骨の間で圧迫されることで生じる痛みや機能障害を特徴とする状態です。
この疾患は、特に腕を上げる動作や反復的な肩の使用によって悪化することが多く、肩の可動域が制限されることもあります。
腱板(ローテーターカフ)や滑液包が炎症を起こし、慢性的な痛みや腫れが発生するため、日常生活やスポーツ活動に支障をきたすことがあります。
症状
インピンジメント症候群は、肩の痛みを引き起こす代表的な疾患の一つです。
特徴的な症状としては、以下のものが挙げられます。
- 肩の外側や上腕部の痛み
- 腕を上げる動作時の痛みの悪化
- 肩の可動域の制限
- 肩を上げる際の力の低下
- 夜間の痛み
- 肩を頻繁に使用する特定の動作時の痛み
- 肩の違和感
- 肩の腫れ
- 肩の凝り
それぞれ解説します。
肩の外側や上腕部の痛み
インピンジメント症候群では、肩関節だけでなく、痛みが上腕部にも広がることがあります。
この痛みは、肩の腱や滑液包が圧迫されることによって引き起こされ、炎症が広がると、肩の周辺にまで影響を及ぼします。
初期には軽い違和感として感じられることが多いですが、進行すると強い痛みに変わり、腕を動かすことが困難になることもあります。
また、腕を使う動作、特に腕を上げたり横に広げる際に痛みが増すことがあります。
適切な治療を行わないと、痛みが慢性化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。
腕を上げる動作時の痛みの悪化
インピンジメント症候群の特徴的な症状の一つとして、腕を上げる際に痛みが悪化することが挙げられます。
特に肩の関節部分で腱板が肩峰と上腕骨の間で挟まれ、炎症が起こることで痛みが増強します。
この痛みは特定の角度で特に強く感じられることが多く、頭上に腕を上げる動作や、物を取ろうとする際に困難を伴うことがあります。
痛みのために肩の動きを制限し、日常生活での簡単な動作さえも負担となり、活動が制限されることが多いです。
早期の治療介入が重要で、放置するとさらに症状が進行する可能性があります。
肩の可動域の制限
インピンジメント症候群において、肩の可動域が制限されることがよく見られます。
肩の腱や滑液包に炎症が起こると、痛みのために肩の動きを抑制しようとする傾向があり、結果的に肩関節の柔軟性が低下します。
腕を上げる、回す、または後ろに伸ばすといった動作が困難になるため、日常生活の様々な場面で支障が出ることがあります。
この動きの制限は、痛みや炎症が続くことで筋力低下や関節の硬直を引き起こし、症状が慢性化するリスクが高まります。
治療には、ストレッチやリハビリが効果的で、肩の可動域を回復させることが重要です。
肩を上げる際の力の低下
インピンジメント症候群では、肩を上げる際の筋力が低下することがあります。
これは、肩の腱板が炎症を起こし、その周囲の筋肉や腱の機能が損なわれるためです。
特に重い物を持ち上げる動作や、腕を長時間支える動作が困難になり、日常的な動作に支障をきたします。
また、腕を動かそうとしても力が入らず、疲れやすくなることもあります。
この筋力低下は、肩の可動域の制限とともに悪循環を引き起こし、肩の機能回復に時間がかかることが多いです。
リハビリによる筋力トレーニングが回復に重要な役割を果たします。
夜間の痛み
インピンジメント症候群のもう一つの特徴的な症状として、夜間に痛みが強くなることがあります。
特に寝返りを打った際や、横向きに寝た時に痛みが増し、睡眠の妨げとなることがあります。
これは、炎症を起こした肩関節や腱板が寝ている姿勢で圧迫されることによるものです。
夜間の痛みは、日中よりも強く感じられることが多く、特に慢性的な肩の痛みが続く場合、生活の質に大きな影響を与える可能性があります。
夜間の痛みを軽減するためには、適切な枕や寝姿勢の工夫、痛みを抑えるための治療が有効です。
肩を頻繁に使用する特定の動作時の痛み
インピンジメント症候群では、腕を後ろに回したり、髪を結んだりといった肩を多用する特定の動作時に痛みが悪化します。
これは、肩の腱や筋肉が肩峰と上腕骨の間で圧迫されるためです。
特に肩を後方に動かす動作は、肩関節の構造上、腱板が挟まれやすくなるため、痛みが生じやすくなります。
このため、日常的な動作、例えば後ろのポケットに手を入れたり、背中を洗ったりする動作も困難になります。
この痛みを放置すると、肩の機能がさらに悪化する可能性があるため、早めの治療やリハビリが重要です。
肩の違和感
インピンジメント症候群では、肩に何かが引っかかっているような違和感を感じることがあります。
この症状は、腱板や滑液包が炎症を起こし、肩の関節内部で正常な動きが妨げられているために生じます。
特に腕を動かした際に、肩の中でゴリゴリとした音が鳴ることがあり、この感覚が動作時に不快感を伴います。
この違和感は、炎症が続くことで悪化し、動きの制限やさらなる痛みを引き起こすことがあります。
症状が進行する前に、肩のケアやリハビリを行うことが望まれます。
肩の腫れ
インピンジメント症候群が進行すると、慢性的な炎症によって肩関節周囲が腫れることがあります。
この腫れは、肩の腱や滑液包が圧迫され、炎症を起こすことで組織が肥厚し、関節周囲に腫れを伴います。
腫れが続くと、肩の動きが制限され、さらに痛みが増すことがあります。
また、腫れが原因で肩を動かす際に張り感や不快感が生じ、日常生活の中での活動が大きく制約されることもあります。
適切なリハビリや治療が、腫れを抑え、肩の機能を回復させるために必要です。
肩の凝り
インピンジメント症候群では、肩周囲の筋肉が緊張し、常に肩が凝っているような状態が続くことがあります。
この筋肉の緊張は、炎症による痛みから無意識に肩を動かさないようにする結果、肩周囲の筋肉が硬直し、血行不良を引き起こします。
肩の凝りは、肩こり特有の鈍痛や重い感覚とともに、肩の動きをさらに制限する要因となります。
また、肩の凝りが慢性化すると、姿勢の悪化や頭痛、首の痛みなど他の症状も引き起こされることがあります。
ストレッチやマッサージ、リハビリを通じて筋肉の緊張を解消することが重要です。
原因
インピンジメント症候群は、肩の痛みを引き起こす一般的な疾患ですが、その原因は多岐にわたります。
主な原因は以下の通りです。
- 繰り返しの肩の使いすぎ
- 肩の構造的な問題
- 姿勢の悪さ
- インナーマッスルの弱化
- 加齢
- 外傷
- その他の要因
それぞれ解説します。
繰り返しの肩の使いすぎ
インピンジメント症候群は、肩を繰り返し使うスポーツや仕事でよく見られます。
特に野球の投球動作や水泳、テニスのサーブなど、オーバーヘッド動作を頻繁に行うスポーツ選手が発症しやすいです。
また、塗装業や大工仕事など、腕を上げた状態を長時間続ける職業の人々もリスクが高いです。
繰り返しの動作によって肩の腱や滑液包に負担がかかり、炎症を引き起こしやすくなります。
このような肩の過度な使用は、腱板に対して慢性的な圧力をかけ、インピンジメント症候群の発症を促進します。
肩の構造的な問題
インピンジメント症候群は、肩の構造的な問題も大きな要因となります。
例えば、肩峰の形が生まれつき異常であったり、加齢に伴って変形することがあり、これが原因で腱板が挟まりやすくなります。
さらに、肩峰の下に骨棘と呼ばれる骨の突起が形成されると、肩の腱板や滑液包に圧力がかかりやすくなり、インピンジメントを引き起こします。
これらの構造的な問題は、肩の動きに制限をかけるだけでなく、慢性的な痛みや炎症を引き起こす要因ともなります。
骨棘は特に中高年に多く見られ、インピンジメントのリスクを高めます。
姿勢の悪さ
姿勢の悪さもインピンジメント症候群の発症に寄与する要因の一つです。
特に猫背姿勢は、肩を内側に巻き込むような形になり、肩関節に過剰な負担をかけます。
また、肩をすくめる癖がある場合、肩甲骨が不安定になり、腱板が正常に動かなくなることがあります。
このような姿勢の悪さが長期間続くと、肩周りの筋肉に不均衡が生じ、肩関節の動きが制限され、インピンジメントのリスクが増します。
適切な姿勢を保つことで、肩の負担を減らすことが可能です。
インナーマッスルの弱化
肩甲骨周囲の筋肉、いわゆるインナーマッスルが弱くなると、肩関節の動きが不安定になりやすくなります。
これにより、肩の腱板が肩峰と上腕骨の間で挟まれやすくなり、インピンジメントが発症することがあります。
特に、肩を安定させる筋肉であるローテーターカフの弱化は、肩の動き全体に影響を与えます。
この筋肉の弱化は、特定の運動不足や過度の肩の使用が原因となることが多いです。
インナーマッスルを強化するエクササイズは、インピンジメントの予防と治療に効果的です。
加齢
インピンジメント症候群の原因として、加齢による腱板の変性が大きな役割を果たします。
年齢を重ねると、肩の腱や滑液包が弱くなり、柔軟性が低下しやすくなります。
これにより、腱板が肩峰と上腕骨の間で挟まれやすくなり、慢性的な痛みや炎症が発生します。
また、加齢に伴い骨棘が形成されやすくなるため、さらにインピンジメントのリスクが高まります。
加齢による腱の変性は不可避ですが、日常的な運動や適切なケアによってリスクを軽減することが可能です。
外傷
肩の外傷、特に骨折が原因でインピンジメント症候群を発症することがあります。
肩を骨折した後、腱や筋肉に負担がかかり、正常な肩の動きを取り戻すのが困難になる場合があります。
また、外傷後の回復過程で骨が正常な形に戻らない場合、腱板や滑液包が肩の骨に挟まれるリスクが増します。
このような外傷による肩の機能不全は、インピンジメントを引き起こす要因となります。
外傷後は、早期のリハビリと適切な治療を行うことが重要です。
その他の要因
インピンジメント症候群の他の要因として、関節リウマチや上腕神経叢の圧迫など、炎症性疾患や神経の圧迫が挙げられます。
関節リウマチは関節に炎症を引き起こし、肩の動きを制限し、腱板に負担をかけることがあります。
また、上腕神経叢が圧迫されることで、肩の筋肉に力が入りにくくなり、肩の動きが制限される場合もあります。
これらの要因が複合的に作用することで、インピンジメント症候群のリスクが高まり、症状が悪化する可能性があります。
早期の診断と治療が、症状の進行を防ぐ鍵となります。
診断
インピンジメント症候群の診断は、医師が患者さんの症状や病歴を詳しく聞き取り、身体検査を行い、さらに画像検査などを組み合わせることで行われます。
診断方法としては…
- 問診
- 身体検査
- X線検査
- MRI(磁気共鳴画像法)
- 超音波検査
…について解説します。
それぞれ解説します。
問診
インピンジメント症候群の診断において、最初に行われるのは問診です。
問診では、患者が肩を酷使するスポーツや仕事をしているかどうか、痛みがいつから始まったのか、どの動作で痛みが悪化するのかなどを詳しく確認します。
特に、痛みが出るタイミングや場所、夜間に痛みが増すかどうかが重要な情報です。
また、過去に肩の怪我や手術を受けたことがあるかどうかも聞き取り、他の要因による痛みの可能性を排除します。
これらの情報は、インピンジメント症候群の正確な診断を下すための基礎データとなります。
身体検査
問診の後、実際に肩の動きや痛みの部位を確認する身体検査が行われます。
身体検査では、肩の可動域を調べ、特定の角度や動作で痛みが強まるかどうかを確認します。
また、痛みの出るポイント(圧痛点)を指で押して確認し、痛みの原因となっている部位を特定します。
さらに、インピンジメント症候群の診断に特化したNeerテストやHawkins-Kennedyテストといった特殊な検査を行い、肩の腱や滑液包に炎症や圧迫が生じているかを評価します。
これにより、診断の確度が高まります。
X線検査
身体検査に加えて、X線検査は骨や関節の異常を確認するために行われます。
X線検査では、肩関節の骨の形状や、肩峰の下に骨棘(骨の突起)が形成されているかを評価します。
また、肩峰や鎖骨の異常、骨折の有無、石灰沈着がないかを調べることで、骨の構造に問題がないかを判断します。
インピンジメント症候群の場合、骨棘や変形が腱板や滑液包を圧迫し、痛みや炎症を引き起こしていることが確認できる場合があります。
MRI(磁気共鳴画像法)
X線検査では確認できない軟部組織の状態を詳しく調べるために、MRI検査が用いられます。
MRIは、腱板や滑液包、肩周囲の筋肉や靭帯など、軟部組織の詳細な画像を提供します。
インピンジメント症候群の場合、腱板の断裂や炎症、滑液包の腫れ、筋肉や靭帯の損傷などが確認でき、症状の原因をより正確に把握できます。
特に、手術が必要かどうかを判断する際に、MRI検査は非常に有用です。
超音波検査
インピンジメント症候群の診断には、超音波検査も有効です。
超音波検査は、リアルタイムで肩の軟部組織の動きや状態を評価することができ、特に腱板や筋肉の損傷の有無を確認するのに適しています。
また、関節内に液体が蓄積している場合や、腱板が腫れている場合、石灰が沈着しているかどうかも超音波で確認することができます。
さらに、超音波検査は非侵襲的で患者に負担が少なく、動作中の肩の状態を観察できるため、痛みがどの動作で生じるかを即座に確認することが可能です。
リハビリテーションにおける評価・検査
インピンジメント症候群のリハビリテーションにおける評価および検査方法としては…
- Neerテスト
- Hawkins-Kennedyテスト
- Yocumテスト
- Speedテスト
- Lift-offテスト
- Gerber lift-offテスト
- Posterior Impingement Sign
…があげられます。
それぞれ解説します。
Neerテスト
Neerテストは、肩を内旋させた状態で腕を前方に上げ、肩の痛みが出るかを確認する検査です。
このテストでは、肩峰と腱板が圧迫されるため、インピンジメント症候群による痛みが出やすくなります。
痛みがある場合は、肩関節のインピンジメントを示唆し、腱板や滑液包の炎症が原因と考えられます。
Hawkins-Kennedyテスト
Hawkins-Kennedyテストは、肩を90度に屈曲させ、内旋させた際に痛みが出るかを確認する検査です。
この動作により肩峰の下で腱板や滑液包が圧迫され、インピンジメントがあれば痛みが誘発されます。
特にインピンジメント症候群の中期・後期において、陽性となりやすい検査です。
Yocumテスト
Yocumテストは、肩を内旋させた状態で腕を上方に上げ、肩に痛みが出るかを確認します。
これは肩関節に負荷をかけることで、腱板や滑液包の炎症を確認するためのテストです。
痛みが誘発された場合、インピンジメントの可能性が高まります。
Speedテスト
Speedテストは、上腕二頭筋の長頭腱を評価するために行われ、肩を屈曲させた状態で手のひらを上に向けた姿勢で腕を挙げ、痛みが出るかを確認します。
この検査では、上腕二頭筋腱が炎症を起こしている場合に痛みが出やすく、インピンジメント症候群や腱の問題を示唆することがあります。
Lift-offテスト
Lift-offテストは、肩甲下筋の機能を評価するための検査で、背中に手を当てた状態で手を後方に押し出し、その際の痛みや筋力の低下を確認します。
肩甲下筋が弱くなっている場合、腕を後ろに持ち上げることが困難となり、インピンジメントや腱板損傷が疑われます。
特に肩甲下筋の断裂や炎症の評価に用いられます。
Gerber lift-offテスト
Gerber lift-offテストは、Lift-offテストと同様に肩甲下筋の機能を評価する検査です。
背中に手を置き、手を後方に持ち上げる動作を行い、その際の痛みや動作不良を確認します。
肩甲下筋が機能不全を起こしている場合、肩の可動域が制限されるため、このテストで異常が見つかります。
Posterior Impingement Sign
Posterior Impingement Signは、肩を外旋させて腕を挙げた際に肩の後方に痛みが出るかどうかを評価するテストです。
主に投球動作やスポーツによって後方のインピンジメントが疑われる場合に行われ、痛みが出た場合は、肩後方の腱板や軟部組織の損傷が原因である可能性があります。
治療法
インピンジメント症候群の治療法は、症状の程度や原因によって異なりますが、一般的には以下の方法が採用されます。
- 安静
- 物理療法
- 運動療法
- 体幹トレーニング
- 手術
- 薬物療法
安静
インピンジメント症候群の初期治療では、まず肩を安静に保つことが重要です。
肩の過度な使用や負担を減らすことで、炎症や腱板への圧迫を軽減し、自然治癒を促進します。
安静期間中は、特に肩を上げたり、過度に使用する動作を避けることが推奨されます。
適切な休息を取ることで、症状の悪化を防ぎ、後のリハビリや運動療法の効果を高める基礎を作ります。
肩を過剰に使わないことで、治癒の進行を助け、痛みが軽減されます。
物理療法
インピンジメント症候群に対しては、物理療法が広く用いられています。
温熱療法は、肩周囲の筋肉をリラックスさせ、血行を促進することで炎症を緩和し、痛みを和らげます。
また、超音波療法は組織の修復を促進し、腱や滑液包の炎症を軽減します。
電気療法は、痛みの軽減と筋肉の収縮を促し、筋肉の回復をサポートする効果があります。
これらの物理療法は、リハビリテーションの一環として、肩の回復を加速させ、治療効果を高めるために重要な役割を果たします。
運動療法
運動療法は、インピンジメント症候群の治療において非常に重要な要素です。
肩周りの筋肉を強化し、肩甲骨周囲の筋肉のバランスを改善することで、肩関節の安定性を高めます。
特にストレッチは、肩関節の柔軟性を回復させ、可動域を広げるために役立ちます。
筋力強化運動では、肩甲骨や肩のインナーマッスルを鍛え、肩の負担を軽減し、痛みの予防や再発防止に効果的です。
運動療法は、段階的に行われ、肩の機能回復を目的としています。
体幹トレーニング
インピンジメント症候群の治療には、体幹トレーニングも含まれることがあります。
体幹(コア)の筋力を強化することで、姿勢の改善が図られ、肩関節への負担を軽減できます。
特に猫背や肩をすくめる姿勢はインピンジメントの原因となるため、体幹を強化し、正しい姿勢を維持することで、肩周りの筋肉や関節のバランスが整います。
これにより、インピンジメント症候群の症状を予防し、治療を効果的に進めることができます。
手術
保存的治療で症状の改善が見られない場合、手術が考慮されることがあります。
インピンジメント症候群に対する手術の一つは関節鏡手術で、肩峰下除圧術では肩峰の一部を削り、腱板と肩峰の間に十分な空間を作ることで、腱板の圧迫を防ぎます。
烏口肩峰靭帯切離術は、肩甲骨と肩峰の間にある靭帯を切断し、肩関節の可動域を広げてインピンジメントを改善します。
また、腱板が断裂している場合は、腱板修復術が行われ、腱板の再生を促進します。
薬物療法
インピンジメント症候群の症状を緩和するために、薬物療法も用いられます。
消炎鎮痛剤は、肩関節の炎症を抑え、痛みを軽減するために処方されます。
また、ステロイド注射は強力な抗炎症作用があり、炎症や痛みを短期間で緩和するのに非常に効果的です。
これらの薬物療法は、症状がひどい場合に用いられ、リハビリや運動療法を補完する役割を果たします。
ヒアルロン酸注射も局所的に行われ、肩関節の潤滑を改善し、痛みを和らげる効果があります。