肩甲挙筋(けんこうきょきん)- 起始・停止・支配神経・血液供給・主な働きや作用

肩甲挙筋(けんこうきょきん)- 起始・停止・支配神経・血液供給・主な働きや作用

肩甲挙筋は肩甲骨を操作し、肩と首の動きをサポートする重要な筋肉です。
本記事では肩甲挙筋について解説します。


肩甲挙筋の起始・停止

起始 椎骨C1-C4の横突起
停止 肩甲骨の内側縁(上角から肩甲骨棘の付け根まで)

肩甲挙筋の起始・停止

肩甲挙筋は首の第1から第4頸椎(C1~C4)の横突起から始まり、肩甲骨の上角から肩甲棘にかけての内側縁につながります。
この筋肉は背部の浅い層にあり、一部は頭板状筋、僧帽筋、胸鎖乳突筋の下に隠れていますが、下部は僧帽筋によって完全に覆われています。
ただし、肩甲挙筋の中央部分だけが露出しており、触診に最も適しています。

この露出部は、首の後ろの三角形の底部を形成するのにも重要なんだ!
また、肩甲挙筋は胸鎖乳突筋の深部から起始することがあり、頭板状筋や僧帽筋とも隣接しているんですね!

肩甲挙筋の支配神経

神経支配 C3およびC4の前枝、肩甲背神経(C5の枝)

肩甲挙筋は、主に頸椎の前枝であるC3とC4の脊髄神経からの神経支配を受けています。
さらに、腕神経叢からの一部である肩甲背神経(C5)もこの筋肉に神経支配を提供します。

これにより、肩甲挙筋は首と肩の動きをコントロールする重要な役割を担っています。

肩甲挙筋はこの二重の神経支配システムに支配されているんだ!
効率的に機能するための基盤を形成するに必要なシステムなんでしょうね!

肩甲挙筋の栄養血管

血液供給 頚横動脈および上行頚動脈(甲状頚動脈幹の枝)

肩甲挙筋は、主に…

  • 頸横動脈
  • 上行頸動脈

…の2つの動脈から血液供給を受けています。
それぞれ解説します。

頸横動脈

頸横動脈(Transverse cervical artery)は、首の前側の根元から発生し、首の側面を横切って後ろに位置する筋肉へと血液を供給する動脈です。
この動脈は首の柔軟性と動きを支える重要な筋肉、斜角筋、胸鎖乳突筋、肩甲舌骨筋などに挟まれながら走行します。

頸横動脈は、これらの筋肉を通過しながら後方にある筋肉群、特に僧帽筋や肩甲挙筋などへ血液を供給します。

上行頸動脈

一方、上行頸動脈(Ascending cervical artery)は、一般的には体の深部に位置し、腕神経叢(brachial plexus)や首、肩周りの筋肉へ血液を供給する小さな動脈です。
この動脈は、通常、無名動脈(brachiocephalic artery)から分岐する甲状腺下動脈(thyrocervical trunk)の一部として始まりますが、その起源は個人差によって異なることがあります。

肩甲挙筋への栄養や酸素を供給するのは、主に頸横動脈と上行頸動脈と覚えておけばよいだろうね!
どちらも肩こりの主な原因の筋につながっている血管なんですね!

肩甲挙筋の機能・作用・働き

機能 肩甲胸郭関節:肩甲骨を上内側に引き、関節窩を下方に回転させる
頸関節:首の側屈(同側)、首の伸展

肩甲挙筋の主な機能は、肩甲胸郭関節での肩帯の挙上と後方への引き寄せです。
同時に、重い荷物を持っている際に肩帯が下がるのを防ぐのにも役立ちます。
さらに、この筋肉は肩甲骨の安定化と、関節窩の下方回転にも参加します。

頸椎関節に作用する際には、肩甲挙筋の片側の収縮が同側の首の屈曲を引き起こし、両側の収縮は首の伸展に寄与します。
肩甲挙筋の動作は、僧帽筋、広背筋、菱形筋、大胸筋、小胸筋などの筋肉の動作によって促進されます。

肩甲挙筋は肩甲帯の動きを制御するだけでなく、首の動きにも重要な役割を果たしていて、特に重い物を持ったり、特定の方向に首を動かしたりする際に、その重要性が顕著になるんだ!
この筋肉と他の関連筋肉との協調によって、首と肩の広範な動きと安定が保証されるんですね!

関連文献

もしこの記事に修正点やご意見がございましたら、お手数ですがお問い合わせまでご連絡ください。 皆様の貴重なフィードバックをお待ちしております。
アバター画像

THERABBYを運営している臨床20年越えの作業療法士。
行動変容、ナッジ理論、認知行動療法、家族療法、在宅介護支援
ゲーミフィケーション、フレームワーク、非臨床作業療法
…などにアンテナを張っています。

1TOCをフォローする
タイトルとURLをコピーしました