医療情報システム – 種類・例・メリット・デメリット・課題・ガイドライン・資格などについて

医療情報システム - 種類・例・メリット・デメリット・課題・ガイドライン・資格などについて 用語

医療情報システムは、病院での診療記録、検査結果、患者情報を電子的に管理し、業務の効率化と医療の質向上を目指すシステムです。
本記事では医療情報システムの種類や具体例、メリットとデメリット、課題や問題点について。
さらには、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインや関する資格などについて解説します。


医療情報システムとは

医療情報システムは、病院で扱う医療データを効率的かつ正確に管理するためのコンピュータシステムです。
従来の手作業や口頭による情報管理では、管理や共有に多大な手間がかかり、人為的ミスの発生リスクが高いとされていました。
これに対し、医療情報システムの導入は、ヒューマンエラーの防止や情報共有の円滑化を可能にし、病院全体の業務効率を向上させることができます。
主な医療情報システムには、電子カルテ、オーダリングシステム、レセプトコンピュータシステム、PACS(医療用画像管理システム)、および検査システムがあり、それぞれが異なる医療データを専門的に管理します。

これにより、医療現場の質の向上とともに、患者へのサービスも一層充実したものとなります。

医療情報システムの種類や具体例

主な医療情報システム(具体例)としては…

  • 電子カルテシステム
  • オーダリングシステム
  • 検査システム
  • PACS(医療用画像管理システム)
  • レセプトコンピュータシステム
  • 調剤システム
  • ホスピタルマネジメントシステム(HMS)
  • 人事労務システム
  • 地域医療連携システム
  • DPCシステム
  • 遠隔医療システム

…などがあげられます。
それぞれ解説します。

電子カルテシステム

電子カルテシステムは、医師が診療記録として記録するカルテを電子化し、保存・管理するためのシステムです。
紙のカルテに比べて情報の検索や更新が容易であり、複数の医療従事者が同時にアクセス可能です。
これにより、患者の診療履歴を迅速かつ正確に把握でき、治療の質が向上します。
また、診療記録の電子化により、データの長期保存が可能となり、カルテの紛失リスクも軽減されます。

さらに、電子カルテシステムは他の医療情報システムと連携し、総合的な医療情報管理を実現します。

オーダリングシステム

オーダリングシステムは、検査、レントゲン撮影、調剤など、医師や看護師からの指示を電子データとして管理するシステムです。
このシステムにより、指示内容が確実かつ迅速に関連部門に伝達され、手作業による伝達ミスを防止します。
オーダリングシステムは、指示の履歴を保存し、追跡可能にするため、医療の透明性と信頼性を向上させます。
また、各部門の作業効率を最適化し、待ち時間の短縮や業務のスムーズな進行に寄与します。

さらに、オーダリングシステムと電子カルテシステムを連携させることで、患者の治療計画を統合的に管理できます。

検査システム

検査システムは、主に臨床検査データを保存・管理するためのシステムです。
血液検査や尿検査などの結果を電子的に記録し、医師や看護師が迅速にアクセスできるようにします。
このシステムにより、検査結果の伝達ミスや遅延を防ぎ、診療の効率化を図ります。
また、過去の検査結果を容易に参照できるため、患者の病歴や治療経過を総合的に把握することが可能です。

さらに、検査システムは電子カルテシステムと連携し、診療データの一元管理を実現し、総合的な医療提供に寄与します。

PACS(医療用画像管理システム)

PACS(Picture Archiving and Communication System)は、MRIやCTなどで撮影された医療画像を保管・管理・送信するためのシステムです。
このシステムにより、医療画像をデジタル形式で保存し、迅速かつ容易に検索・閲覧することができます。
PACSは、医師が異なる場所にいても画像を共有し、診断や治療計画の立案に利用することを可能にします。
また、画像の劣化や紛失リスクを減少させ、長期保存が可能です。

さらに、PACSは電子カルテシステムと連携し、画像と診療記録を統合的に管理することで、診療の質を向上させます。

レセプトコンピュータシステム

レセプトコンピュータシステムは、診療報酬明細書(レセプト)の作成を効率化するためのシステムです。
医療機関が提供した医療サービスに対する報酬を正確に算定し、保険者に請求するプロセスを自動化します。
このシステムは、レセプト作成に必要なデータを一元管理し、手作業による入力ミスを防止します。
また、レセプトの作成過程でエラーや不正を検出し、早期に修正できるため、請求業務の精度が向上します。

さらに、レセプトコンピュータシステムは他の医療情報システムと連携し、診療データの整合性を保ちます。

調剤システム

調剤システムは、処方箋をもとに処方薬を調剤するためのシステムです。
薬剤師が処方内容を確認し、正確かつ効率的に調剤を行うことができます。
このシステムは、処方箋の読み取りミスや調剤ミスを防止し、患者への薬剤提供を安全に行うことを目的としています。
また、調剤履歴を電子的に保存することで、薬剤の使用状況や投薬履歴を管理し、重複投与や薬剤相互作用のリスクを低減します。

さらに、調剤システムは他の医療情報システムと連携し、総合的な医療情報管理をサポートします。

ホスピタルマネジメントシステム(HMS)

ホスピタルマネジメントシステム(HMS)は、医療機関全体の経営を支援するためのシステムです。
患者数、診療件数、売上高などの経営データを分析し、経営状況の把握や経営戦略の策定に役立ちます。
このシステムにより、経営データの一元管理が可能となり、効率的な経営運営が実現します。
また、HMSは他の医療情報システムと連携し、より詳細な経営分析を行うことで、経営の最適化を図ります。

さらに、HMSは医療機関の経営改善に寄与し、持続可能な医療サービスの提供をサポートします。

人事労務システム

人事労務システムは、職員の採用、給与計算、人事考課などの業務を支援するシステムです。
このシステムにより、人事労務情報を電子化し、業務の効率化を図ることができます。採用活動や人事考課のプロセスを標準化し、透明性と公平性を確保します。
また、給与計算の自動化により、ミスを防ぎ、作業負担を軽減します。
さらに、人事労務システムは人材育成の強化にも寄与し、職員のスキルアップやキャリア開発を支援します。

近年では、AI技術を活用して、採用活動や研修プログラムの開発を支援する機能も導入されています。

地域医療連携システム

地域医療連携システムは、複数の医療機関が患者情報を共有し、連携して診療を行うためのシステムです。
このシステムにより、患者が複数の医療機関を受診した場合でも、一貫した医療を提供することができます。
患者情報を共有することで、重複した検査や診療の無駄を削減し、医療資源の効率的な利用を促進します。
また、地域医療連携システムは、地域全体での医療提供体制の強化に寄与し、患者の健康管理を総合的に支援します。

さらに、このシステムは電子カルテシステムと連携し、患者情報の一元管理を実現します。

DPCシステム

DPCシステムは、診断群別包括払い(DPC)制度に基づいて、医療機関の診療報酬を算定するためのシステムです。
このシステムは、医療機関の診療実績を分析し、診療報酬を正確に算定する役割を担っています。
DPCシステムにより、診療報酬の算定が効率化され、医療機関の収益管理が改善されます。
また、このシステムは診療データの統計分析を行い、診療の質向上や医療資源の最適化に寄与します。

さらに、DPCシステムとAI技術を組み合わせることで、経営分析や診療の質向上に役立てる取り組みも進められています。

遠隔医療システム

遠隔医療システムは、患者と医療従事者が離れた場所から診療を行うためのシステムです。
このシステムにより、地理的な制約を超えて医療サービスを提供することが可能となり、特に医療アクセスが限られた地域で有効です。
ビデオ通話やオンライン診療記録の共有により、患者は自宅からでも診療を受けることができます。
また、遠隔医療システムは、専門医の診断やセカンドオピニオンを求める際にも活用されます。

さらに、遠隔医療システムは医療リソースの効率的な配分を促進し、医療サービスの質とアクセスを向上させます。

大きくは診療支援システム、維持会計システム、経営システム、情報連携システムといった分け方がされるだろうね!
これらのシステムは、医療情報のデジタル化により、データ管理と共有を効率的に運用できるんですね!

医療情報システムのメリット

医療情報システムの導入には以下のようなメリットがあります。

  • 効率的な情報管理
  • 情報共有の容易さ
  • ヒューマンエラーの減少
  • 業務効率の向上
  • コスト削減

それぞれ解説します。

効率的な情報管理

医療情報システムの導入により、データの電子化が進み、効率的な情報管理が実現します。
電子化されたデータは紙の記録よりも検索や更新が容易であり、必要な情報を迅速に見つけ出すことができます。
これにより、診療の現場で求められる情報に即座にアクセスできるため、患者対応が迅速かつ的確になります。
また、電子データは長期間にわたって正確に保存されるため、情報の紛失や劣化のリスクが大幅に減少します。

さらに、情報管理の効率化は医療従事者の業務負担を軽減し、業務の質を向上させる効果があります。

情報共有の容易さ

医療情報システムを通じて、医師、看護師、薬剤師などの医療スタッフ間で情報を迅速かつ容易に共有することが可能です。
これにより、患者の診療に関する情報が瞬時に共有され、チーム全体での意思決定がスムーズに行えるようになります。
例えば、電子カルテシステムを使用することで、診療記録や検査結果を複数の医療従事者が同時に閲覧できるため、連携が強化されます。
また、情報の共有が迅速であるため、緊急時の対応もスピーディーに行うことができます。

さらに、正確な情報共有により、診療の質が向上し、患者満足度の向上にも寄与します。

ヒューマンエラーの減少

医療情報システムは、手作業によるミスを大幅に減少させる効果があります。
例えば、電子カルテシステムを導入することで、手書きカルテに比べて読み取りミスが大幅に減少し、正確な情報が医療従事者間で共有されます。
また、オーダリングシステムを使用することで、検査や投薬の指示が確実に伝達され、指示の漏れや間違いが減ります。
さらに、レセプトコンピュータシステムによって診療報酬の請求業務が自動化され、計算ミスや入力ミスが防止されます。

これにより、患者の安全が確保され、医療の信頼性が向上します。

業務効率の向上

医療情報システムの導入により、情報の入力、検索、共有が効率化され、医療スタッフの業務効率が大幅に向上します。
これにより、医療従事者は時間を節約し、患者へのケアにより多くの時間を割くことができます。
例えば、電子カルテシステムを使用することで、診療記録の入力が迅速に行われ、必要な情報をすぐに検索できるため、診療のスピードが向上します。
また、オーダリングシステムにより、検査や投薬の指示が迅速に伝達され、業務の流れがスムーズになります。

さらに、業務効率の向上は医療機関全体の生産性向上にも寄与します。

コスト削減

医療情報システムの導入は、長期的に見ると、さまざまなコストの削減につながります。
まず、紙の消耗品コストや物理的なストレージスペースのコストを大幅に削減できます。
電子カルテやPACSなどのシステムを使用することで、紙のカルテや画像フィルムの保管スペースが不要になり、関連する保管費用が削減されます。
また、手作業によるミスの減少や業務効率の向上により、無駄な作業時間やリソースの削減が可能です。
さらに、情報の電子化により、データのバックアップや復元が容易になり、災害時の情報喪失リスクが低減されるため、予防的なコストも削減されます。

これにより、医療機関全体の運営コストが軽減され、持続可能な医療提供が実現します。

これらのシステムは、医療情報のデジタル化により、データ管理と共有を効率的に運用できるんだ!
今後のDX化を推進するには必須のシステムになるでしょうね!

医療情報システムのデメリットと課題

では、逆に医療情報システムにおけるデメリットとそれに伴う課題とはなにがあげられるでしょうか?
ここでは…

  • 初期投資と維持費用
  • 操作の難易度
  • システムの信頼性
  • データセキュリティとプライバシー
  • 法規制の遵守

…について解説します。

初期投資と維持費用

医療情報システムの導入には、初期投資と維持費用が高額になる場合があります。
システムの購入や設置にかかる費用だけでなく、カスタマイズやアップグレードには追加のコストが発生します。
特に、既存のシステムとの互換性を保ちながら新システムを導入する場合、その調整にはさらに高い費用がかかることがあります。
また、システムの運用や保守には専門知識が必要であり、技術者の雇用やトレーニングコストも無視できません。

長期的な視点で見ると、これらの費用は医療機関の財政に大きな負担を与える可能性があります。

操作の難易度

新しい医療情報システムを導入する際、医療スタッフがそのシステムを学び使いこなすまでには時間とトレーニングが必要です。
特に、コンピュータ操作に不慣れなスタッフにとって、新しいシステムの操作は大きなハードルとなります。
導入初期には、操作ミスやシステムに関する疑問が多発し、一時的に業務効率が低下する可能性があります。
また、トレーニング期間中は通常業務との両立が求められ、スタッフにとって負担となることがあります。

こうした問題を解決するためには、適切なトレーニングプログラムの実施や継続的なサポート体制の整備が必要です。

システムの信頼性

医療情報システムの信頼性は、医療サービスの質に直接影響を与えます。
システムのダウンタイムや技術的な問題が発生すると、診療記録や検査結果へのアクセスが制限され、患者の治療に支障をきたす可能性があります。
さらに、停電や自然災害などの緊急事態に対する対策が不十分だと、システムが正常に機能しないリスクもあります。
これらのリスクを軽減するためには、信頼性の高いシステムを選定し、定期的なメンテナンスやバックアップ体制の強化が不可欠です。

また、非常時の対応計画を策定し、スタッフに周知徹底することも重要です。

データセキュリティとプライバシー

医療情報システムにおいて、患者の個人情報を電子化することはデータ漏洩のリスクを伴います。
電子データは外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩に対して脆弱であり、適切なセキュリティ対策が求められます。
具体的には、データ暗号化、アクセス制御、監視システムの導入などが挙げられます。
また、システムの運用においても、スタッフに対するセキュリティ教育や厳格なポリシーの策定が必要です。

これにより、患者のプライバシーを保護し、信頼性の高い医療サービスを提供することが可能となります。

法規制の遵守

医療情報システムは、患者のプライバシーを保護するための法律(例:個人情報保護法)に準拠している必要があります。
システムの設計段階から法規制を考慮し、データの収集、保存、利用に関する適切な管理体制を整えることが求められます。
また、法規制は国や地域によって異なるため、グローバルに運用されるシステムでは各地の法規制を遵守するための調整が必要です。

さらに、法規制は時々刻々と変化することがあるため、常に最新の規制に対応できるよう、システムのアップデートやスタッフの教育を継続的に行うことが重要です。

これらの課題を克服するためには、システムの選択、導入、運用の各段階で慎重な計画と実行が必要なんだ!
また、医療スタッフのトレーニングやシステムのセキュリティ対策も重要な要素となるでしょうね!

医療情報システムの安全管理に関するガイドライン

医療情報システムの安全管理に関するガイドラインは、医療情報システムの適切な取扱いや安全管理について示したもので、以下のような主要なガイドラインがあります。

  • 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版(令和5年5月)
  • 医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン
  • 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.1版(令和3年1月)
  • 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.2版(令和4年3月)

それぞれ解説します。

医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版(令和5年5月)

「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版(令和5年5月)」は、医療情報システムの安全管理に関する基本的な考え方や具体的な対策を示しています。
このガイドラインは、医療機関が情報システムを安全に運用するための枠組みを提供し、患者のプライバシーとデータの保護を強化することを目的としています。
具体的には、概説編、経営管理編、企画管理編、システム運用編の各編に分かれ、それぞれの分野でのベストプラクティスを示しています。
別添、特集、Q&A等の参考資料も提供されており、具体的な事例や対策が詳述されています。

これにより、医療機関は自施設の実情に応じた安全管理体制を構築しやすくなっています。

医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン

「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」は、医療情報を取り扱う情報システムやサービスの提供事業者が遵守すべき安全管理について示しています。
このガイドラインは、システム提供事業者が医療機関に提供するサービスや製品が安全かつ信頼性の高いものであることを保証するための基準を定めています。
具体的な内容としては、データの暗号化、アクセス制御、監視システムの導入など、情報セキュリティに関する詳細な要件が含まれています。
また、システム提供事業者が医療機関と協力してセキュリティインシデントに対応するためのプロトコルも規定されています。

これにより、医療機関とシステム提供事業者の双方が連携し、医療情報の安全管理を強化することが可能となります。

医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.1版(令和3年1月)

「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.1版(令和3年1月)」は、第6.0版に更新される前のバージョンであり、医療情報システムの安全管理に関する基本的な考え方や具体的な対策を示していました。
このガイドラインは、情報セキュリティの脅威が増大する中で、医療機関が安全管理を徹底するための枠組みを提供しました。
内容としては、情報システムの設計から運用、廃棄に至るまでの全ライフサイクルをカバーし、具体的なリスク管理策を提示していました。
特に、情報の機密性、完全性、可用性を維持するための対策が重視されていました。

第5.1版は多くの医療機関で参照され、基準として広く受け入れられていましたが、技術の進化と新たな脅威への対応を強化するため、第6.0版に更新されました。

医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.2版(令和4年3月)

「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.2版(令和4年3月)」もまた、第6.0版に更新される前のバージョンであり、医療情報システムの安全管理に関する基本的な考え方や具体的な対策を示していました。
第5.2版は、第5.1版の内容をさらに充実させ、より詳細な安全管理策を追加しました。このバージョンでは、特にクラウドサービスの利用やリモートワークの増加に対応するためのセキュリティ対策が強化されました。
また、インシデント対応の迅速化やセキュリティ教育の重要性も強調され、医療機関が情報セキュリティの最新動向に適応するための指針が提供されました。

第5.2版も医療現場で広く活用されましたが、技術の進化と新たなリスクに対応するため、第6.0版への更新が行われました。

これらのガイドラインは、医療情報システムの適切な取扱いや安全管理についての基本的な考え方や具体的な対策を示しているんだ!
医療情報システムの導入や運用にあたっては、これらのガイドラインを参考にすることが重要ですね!

医療情報システムに関する資格

医療情報システムに関する資格として…

  • 医療情報技師
  • 診療情報管理士
  • 情報処理技術者

…があげられます。
それぞれ解説します。

医療情報技師

医療情報技師は、医療分野と情報分野の両方の知識を持つ技術者を認定する資格で、日本医療情報学会が認定しています。
この資格は、医療機関における情報システムの運用・管理や医療情報の適切な取り扱いを担う専門家を育成することを目的としています。
試験科目は「医学・医療系」「情報処理技術系」「医療情報システム系」の3科目から成り立っており、全ての科目で合格点をクリアしなければなりません。
これにより、医療情報技師は幅広い知識と専門的なスキルを持ち、医療機関のITインフラを支える重要な役割を果たします。

医療現場において、患者情報の保護やシステムの安全性を確保するための技術的な対応が求められる中、医療情報技師の需要はますます高まっています。

診療情報管理士

診療情報管理士は、診療情報の管理を専門とする資格で、一般社団法人日本病院会が認定しています。
この資格は、医療情報技師とは異なり、受験資格が設けられており、一般社団法人日本病院会指定の大学か専門学校の卒業、または同法人の通信教育を受講し、認定試験に合格することが必要です。
診療情報管理士は、診療記録の整理・保管、データの分析、医療の質向上のための情報提供など、多岐にわたる業務を担当します。
また、診療情報の電子化や医療機関間の情報共有においても重要な役割を果たします。

医療情報の正確性と信頼性を確保し、患者のプライバシーを守るための専門知識とスキルを備えているため、医療機関にとって欠かせない存在です。

情報処理技術者

情報処理技術者は、情報分野の代表的な資格で、経済産業省が認定しています。
この資格は、パソコンの仕組みからソフトウェアの開発、ネットワーク構築、情報セキュリティ対策まで、幅広い知識と技術が要求されます。
情報処理技術者は、IT業界全般で幅広く活躍することができ、医療分野においてもシステムの導入・運用やデータの管理において重要な役割を果たします。
医療機関では、情報処理技術者がネットワークの設計・構築、データベースの管理、セキュリティ対策の実施などを担当し、システムの安定稼働とデータの安全性を確保します。

また、技術の進化に伴い、情報処理技術者は常に最新の技術トレンドやセキュリティリスクに対応するための知識を更新し続ける必要があります。

医療情報技師は、医療機関のITインフラを支えるために必要な幅広い知識とスキルを持ち、医療現場での情報システムの導入・運用・保守を担当するんだ!
これには、電子カルテシステムの運用、患者情報の管理、医療データの保護などが含まれますね!

医療情報システム基盤整備体制充実加算とは

「医療情報システム基盤整備体制充実加算」は、診療報酬改定における一項目で、医療情報システムの導入と運用に関する体制を整備している医療機関に対する評価を行うものでした。
この加算は、電子カルテやオンライン資格確認システムなど、医療情報システムのインフラ整備を推進するためのインセンティブとして機能しました。
これにより、医療機関はデジタル技術を活用して、診療の効率化や患者情報の管理を改善し、医療の質を向上させることが期待されていました。

しかし、2024年度(令和6年度)の診療報酬改定において、この加算は「医療情報取得加算」に名称が変更されました。
この変更は、オンライン資格確認システムの導入が原則義務化されたことを踏まえ、評価の焦点を体制整備から初診時や再診時の診療情報・薬剤情報の取得・活用に移すためのものでした。

具体的には、「医療情報取得加算1」で初診時に3点、「医療情報取得加算2」で初診時に1点、「医療情報取得加算3」で再診時に2点、「医療情報取得加算4」で再診時に1点の加算が設けられました。
これらの加算は、医療情報を十分に取得し、それを活用して診療を行うことを算定要件としています。

また、新たに「医療DX推進体制整備加算」という評価も設けられ、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)に対応する体制を確保している医療機関が評価されるようになりました。
これにより、医療機関はより積極的にデジタル技術を取り入れ、医療の質と効率を向上させるための取り組みが促進されます。

ただし、これらの加算を受けるためには、厚生労働大臣が定める施設基準を満たす必要があるんだ!
具体的な基準や要件については、正式な告示や通知を確認することが重要でしょうね!

医療情報取得加算とは

「医療情報取得加算」は、診療報酬改定における一項目で、医療情報システムを活用して患者の診療情報や薬剤情報を取得・活用することを評価するものです。
これは、医療機関が電子情報処理組織やオンライン資格確認システムを用いて、患者の診療に必要な情報を迅速かつ正確に取得し、それを診療に役立てるためのインセンティブとして設けられました。

これにより、医療機関はデジタル技術を積極的に活用し、医療サービスの質を向上させることが期待されています。

具体的な算定要件と点数は以下の通りです。
初診時における「医療情報取得加算1」は、月に1回3点で、施設基準を満たす医療機関が十分な情報を取得した上で初診を行った場合に算定されます。

また、「医療情報取得加算2」は月に1回1点で、電子資格確認により患者の診療情報を取得した場合、または他の医療機関から患者の診療情報の提供を受けた場合に算定されます。
再診時の加算としては、「医療情報取得加算3」が3月に1回2点で、施設基準を満たす医療機関が十分な情報を取得した上で再診を行った場合に算定され、「医療情報取得加算4」は3月に1回1点で、電子資格確認により患者の診療情報を取得した場合、または他の医療機関から患者の診療情報の提供を受けた場合に算定されます。

これらの加算を受けるためには、医療機関が以下の施設基準を満たす必要があります。
まず、電子情報処理組織を使用した診療情報請求を行っていることが求められます。

次に、オンライン資格確認を行う体制を有していることも重要な要件です。
さらに、オンライン資格確認を行う体制が整っていること、および受診した患者に対して受診歴、薬剤情報、特定検診情報など必要な診療情報を取得・活用して診療を行うことを、当該医療機関の見やすい場所やウェブサイトに掲示していることが求められます。

医療情報取得加算 - 目的・算定加算・取得基準などについて
患者の診療情報や薬剤情報を取得し、診療活用することを評価する制度で、医療の質向上と効率化を目指す医療情報取得加算について解説します。
これらの要件を満たす医療機関は、「医療情報取得加算」を算定することができるんだ!
ただし、医療情報システム基盤整備体制充実加算の時と同様、具体的な基準や要件については、正式な告示や通知を確認することが重要でしょうね!

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THERABBYを運営している臨床20年越えの作業療法士。
行動変容、ナッジ理論、認知行動療法、家族療法、在宅介護支援
ゲーミフィケーション、フレームワーク、非臨床作業療法
…などにアンテナを張っています。

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