ペイン・オ・メーター – 痛みの評価ツールとアプリ版

講座

痛みの評価方法は様々ありますが、本記事では1996年に開発された”ペイン・オ・メーター(Pain-O-Meter)”について解説します。

ペイン・オ・メーターとは?


ペイン・オ・メーター(Pain-O-Meter)は、急性および慢性疼痛患者の痛みの評価と管理を改善するために開発された痛みの評価ツールです。
このツールは1996年にGaston-Johanssonによって提案されました1)
ペイン・オ・メーターは、痛みの強さを測定し、患者がその痛みを適切に管理するための手段を提供するために設計されています。

ペイン・オ・メーターの特徴

ペイン・オ・メーターの特徴ですが…

  • 視覚的なアナログスケール
  • 感覚的および感情的な単語の記述子のリスト
  • 自己管理ツール

…があげられます。
以下にそれぞれ解説します。

視覚的なアナログスケール

ペイン・オ・メーターには、10 cmの視覚的なアナログスケールが含まれています1)
患者はこのスケール上で自分の痛みの強さを示すことができます。
スケールの一方の端は「痛みのない状態」を示し、もう一方の端は「最も激しい痛み」を示します。

感覚的および感情的な単語の記述子のリスト

ペイン・オ・メーターには、痛みの感覚的な特徴や感情的な側面を表現するための単語のリストが含まれています1)
患者はこれらの記述子を使用して、痛みの性質や感じ方を詳しく説明することができます。

自己管理ツール

このツールは、患者自身が痛みの評価を行い、その情報をもとに医療専門家と共に痛みの管理計画を立てるのに役立ちます1)
患者が自身の痛みを適切に理解し、伝える手段を提供します。

ペイン・オ・メーターの方法

ペイン・オ・メーターを使用して痛みの評価を行う流れとしては…

  1. ツールの準備と説明
  2. 痛みの評価
  3. 感情的な記述子の使用
  4. 記録と報告
  5. 痛みの管理プランの調整
  6. 定期的な評価とフォローアップ

…になります。
以下にそれぞれ解説します。

ツールの準備と説明

患者に対してペイン・オ・メーターの使い方を説明し、ツールがどのように機能するかを理解してもらいます。
ツールのアナログスケールや感情的な記述子について説明し、患者が痛みを適切に評価できるようにすることが重要です。
*感情的な記述子:痛みの感じ方や情緒的な側面を言葉で表現する言い回しや単語のこと

痛みの評価

患者は、自分の現在の痛みの強さをアナログスケールを使用して評価します。
スケールの一方の端は「痛みのない状態」を示し、もう一方の端は「最も激しい痛み」を示します。
患者はスケール上で自身の痛みの位置を選び、その位置に対応する数字を記録します。

感情的な記述子の使用

患者は感情的な記述子のリストを使用して、痛みの性質や感じ方を詳しく説明することができます。
例えば、「鈍痛」「じんわりとした痛み」など、痛みを表現する単語を選択します。

記録と報告

患者が痛みの評価を行った結果を記録します。
これにより、痛みの変化や進行をトラッキングし、医療専門家と共有するためのデータが得られます。
報告は医療チームとのコミュニケーションに役立ちます。

痛みの管理プランの調整

痛みの評価結果に基づいて、医療専門家は患者の痛みの管理プランを調整することがあります。
これには、薬物療法や非薬物療法などが含まれます。
ペイン・オ・メーターの評価結果は、痛みの進行をモニタリングし、適切な対応を行うための重要な情報源となります。

定期的な評価とフォローアップ

患者の痛みの状態は時間とともに変化する可能性があります。
定期的な評価とフォローアップを通じて、痛みの変化を追跡し、必要に応じて管理プランを更新することが重要です。

ペイン・オ・メーターの信頼度

ペイン・オ・メーターは、信頼性や妥当性の面でテストと再テストが行われ、その評価方法が確立されています1)

ペイン・オ・メーターのアプリ版


スペイン、ロビラ・イ・ビルジリ大学の研究者グループが開発したスマートフォンアプリ「Painometer」は、疼痛の評価を補助するためのツールです2)
このアプリは、疼痛の強度を評価するために有効性の高い尺度(Faces Pain Scale-Revised[FPS-R]、Numerical Rating Scale-11[NRS-11]、Coloured Analogue Scale[CAS]、Visual Analog Scale[VAS])を組み込んでいます。
研究グループは、このアプリの有用性や受容性に関する調査を行いました。

調査の主な内容は以下の通りになります。

参加者

医療従事者24人と非医療従事者30人がアプリを使用して調査に参加しました。
参加者の平均コンピューター使用歴は約10年でした。

試行と改善

初回の試行では、アプリの使用に関する問題が報告されました。
解決策として、説明書の追加やフォーマット・レイアウトの変更が提案されました。
これに基づいて2回目の試行が行われ、問題が改善されたことが報告されました。

評価の結果

Painometerアプリは、疼痛の強度評価の精度を向上させる有用なツールであることが示されました。
また、ユーザーフレンドリーなデザインであることや、医療従事者と非医療従事者の両方にとって受け入れられるアプリであることが強調されました。

この研究により、Painometerアプリは疼痛の評価において有用で、使用者から高い受容性を示すことが確認されました。
このアプリは、痛みの強度を評価し、適切な痛み管理をサポートするツールとして活用されています。

ダウンロード(Google Play):Painometer

参考

1)Measurement of pain: the psychometric properties of the Pain-O-Meter, a simple, inexpensive pain assessment tool that could change health care practices.
2)Development and testing of painometer: a smartphone app to assess pain intensity.

関連文献

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