疼痛のリスクファクター – red flagとyellow flag

疼痛のリスクファクターをred flagとyellow flagに分けることで、重篤な疾患の存在を示唆する要素と心理社会的な要素を評価できます。
本記事では、この疼痛におけるred flagとyellow flagについて解説します。

腰痛のリスクファクターとして

そもそもこの”red flag”と”yellow flag”とは、腰痛のリスクファクターの解釈で用いられる用語です。

それぞれ…

  • red flag:早急に医療的措置が必要な兆候がある腰痛
  • yellow flag:心理的・社会的なもので起こる腰痛

…を意味します。

疼痛のリスクファクター

この腰痛に対する2つの”フラッグ”という考え方は、疼痛全般にも当てはめることができます。
以下に疼痛全般における”red flag”,”yellow flag”について解説します。

red flag

“red flags”は、外傷、感染、悪性腫瘍、神経症状など重篤な疾患の存在を示唆するリスクファクターを指します。
これらに対しては医学的な対処が必要になります。

例としては、外傷や感染、悪性腫瘍や神経症状などがあげられます。

yellow flag

一方、”yellow flags”は、心理社会的な要素に関連するリスクファクターを指します。
これは症状の発症や慢性化に関与します。

yellow flagの例について

さて、疼痛を慢性化させるリスクファクターである”yellow flag”は、具体的にはどんなものがあげられるでしょうか?
腰痛ガイドラインを参考に、ここでは…

  • 診断・治療
  • 疼痛の捉え方
  • 行動
  • 補償問題
  • 感情
  • 家族
  • 仕事

…から解説します。

診断・治療

疼痛のyellow flagsの一つとして、診断や治療に関連する問題があります。
これは、痛みに対する適切な診断が遅れたり、適切な治療法が見つからなかったりすることを指します。
痛みの原因やメカニズムを正確に特定し、それに基づいた効果的な治療計画を立てることが重要です。
また、患者自身が治療法への不安や疑念を抱いている場合もあります。

医師やリハビリセラピストとのコミュニケーションや情報提供を通じて、患者が治療に対して理解を深め、協力的な姿勢を持つことが求められます。

疼痛の捉え方

痛みの捉え方や認識は、疼痛のyellow flagsの重要な要素です。
これは、痛みに対する思考や信念、カタストロフィックな思考パターン(状況を極端に悪化させる思考)などを指します。
患者が痛みを否定的にとらえ、将来への悲観的な予測や不安を抱くことは、痛みの悪化や心理的ストレスを引き起こす可能性があります。

対応策ですが、心理教育や認知行動療法などを利用する場合があります。
患者が痛みをより健康的な視点から捉えられるようにサポートすることが重要ということです。

行動

疼痛のyellow flagsには、行動に関連する問題も含まれます。
痛みによって活動性や身体的動作に制限が生じ、過度の安静や過剰な身体への注意が現れることがあります。
これによって、筋力や柔軟性の低下、身体機能の喪失などが起こる可能性があります。

患者が適切な身体活動を維持し、日常生活動作や仕事への復帰を促すことが重要です。

補償問題

疼痛によって生じる身体的制限や機能の低下に対する補償の問題も、疼痛のyellow flagsの一部です。
例えば、痛みが日常生活動作や仕事に影響を与え、補償のための変更や調整が必要になることがあります。

患者が自身の身体的制約や機能低下に対処し、適切な補償策を見つけることが求められます。

感情

疼痛には感情の変化や影響も伴うことがあり、これも疼痛のyellow flagsの一部です。
痛みによって抑うつや不安が増加し、心理的な苦痛が生じることがあります。

心理療法や心理的サポートを通じて、患者が感情の調整や心理的な負荷の軽減を図ることが重要です。

家族

疼痛が家族やパートナー関係に与える影響も、疼痛のyellow flagsの一つです。
痛みによって家族内の関係性やサポートシステムに問題が生じることがあります。

家族の理解や協力、情報提供、カウンセリングなどを通じて、患者と家族の間で適切なコミュニケーションと支援が行われることが重要になります。

仕事

疼痛による職務への制約や仕事への影響も、疼痛のyellow flagsの一部です。
痛みによって仕事の遂行能力が低下し、勤務時間の制約や業務内容の変更が必要になることがあります。

作業療法士やジョブコーチなどの専門家の支援を通じて、患者が適切な職場調整や仕事への復帰をサポートされることが必要です。

疼痛を慢性化させるリスクを知ることは、疼痛予防にもつながるだろうね!
生活全般を支援するリハビリセラピストにとっては、求められる視点でしょうね!

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