ポジショニングを行う際に、どのようにクライアントの身体をサポートするか?という視点が求められます。
大きくわけると直接的、間接的サポートの2種類になるのですが、それぞれメリット・デメリットがあるためしっかりと理解していないといけません。
そこで今回は…
- 身体サポートとは?
- 直接的サポートのメリット、デメリット
- 間接的サポートのメリット、デメリット
- バンカー法について
…これらの項目について解説します。
身体サポートについて
身体サポートとは…
クッション等を用いて身体を支持すること
…の意味として扱われます。
つまり、身体各部(頭頚部、上肢・下肢、体幹、骨盤)の荷重をマットレスやクッション等で受けることで荷重支持面をつくり、アライメントや姿勢の調整を行うことになります。
ポジショニングを適切に行うには、この身体サポートについてしっかりと知っておく必要があります。
身体サポートの種類について
ポジショニングにおける身体サポートには大きく分けて次の2種類があります。
- 直接的サポート
- 間接的サポート
以下に詳しく解説します。
直接的サポートについて
ポジショニングにおける“直接的サポート”とは…
クッションやピ口一等を身体に直接的にあてがうことで身体をサポー卜し、体位変換及び保持、身体各部のアライメントを整え姿勢を調整すること
…とされています。
メリット
直接的サポートのメリットとしては次のとおり。
- 骨突出部や関節拘縮の状況に合わせてクッションやピロー等を選択して姿勢を調整できる
- 身体各部の細かな凹凸に合わせてクッシヨンを添わせることができる
- 円背や関節拘縮があるためにマットレス面だけでは全身の荷重を支持できない場合、クッション等で荷重を支持できる
デメリット
直接的サポートのデメリットとしては次のとおりになります。
- クッショションやピ口一等を身体にあてがう際に皮膚に圧迫やズレが生じやすい
- 褥瘡の発生や安眠を妨害されやすい
- クッシヨン自体が、姿勢の崩れ(滑り)を生みだしやすい
- 体圧分散マットレスとの接触面が減少する
間接的サポートについて
ポジショニングにおける“間接的サポート”とは…
マットレスの下からクッションやピ口一等を差し込むことで、直接身体に触れずに間接的に体位変換及び保持、身体各部の姿勢を調整すること
…とされます。
バンカー法とも呼ばれるサポート技術が、この間接的サポートに当てはまります。
メリット
間接的サポートのメリットとしては次のとおりになります。
- ポジシヨ二ング時に発生する圧迫やズレを受けにくい
- 疼痛の発生や安眠を妨害されにくい
- クッションやピ口一等の表材や中身の材質や形状による身体への影響が少なく、姿勢が崩れ(滑り)にくい
- 体圧分散マットレスの性能を阻害しない
デメリット
間接的サポートのデメリットとしては次のとおりになります。
- マットレスの下側に設置するため、クッションやピロ一等の存在に気づきにくく、入れっぱなしにされやすい
- 交代制や多職種のケア現場では、必ず間接サポー卜への共通理解や共有ルールを定める必要がある
- 褥瘡リスクに対応する体圧分散マットレスとの併用が前提となる
バンカー法とは?
間接サポートの方法であるバンカー法とは…
体圧分散マットレスの下にクッション等を差し込む間接的な身体サポー卜技術
…になります。
ただし単にこのバンカー法は単独で行うのではなく、直接的サポートと組み合わせることで、褥瘡防止や姿勢保持、安楽性の向上といったポジショ二ング本来の目的をより効果的に実現できると考えたほうがよいとされています。
バンカー法の目的とポイントについて
ここでは、このバンカー法の目的と実際に行う際のポイントについて解説します。
まずバンカー法の目的としては次の3つになります。
- 褥瘡予防
- 姿勢保持
- 安楽性の向上
以下に詳しく解説します。
褥瘡予防
褥瘡予防を目的にバンカー法を行うことは、体圧分散マットレスの性能を阻害せずにすむというメリットがあります。
体とマットレスの間にクッション等を敷く必要ばないので、体圧分散マットレスの性能がそのまま活かすことができます。
また、マットレスを介して体位変換できるので、直接サポートに比べ介護負担を軽減できるということも褥瘡予防につながるメリットとしてあげられます。
姿勢保持
バンカー法は直接サポートに比べて側臥位での身体のズレやすべりを防止しやすいとされています。
側臥位の姿勢をとると、重力方向へ身体が滑りやすくなります。
その防止のためにも、反対側のマットレスにクッション等を差し込んで、身体を受け止めズレや滑りを防止する必要があります。
加えて、ベッドギャッヂアップの際にマットレスの下にクッション等を差し込むことで“ランバーサポート”をつくることができます。
これはベッドギャッヂアップをした際、骨盤の後傾を防止する作用に働きます。
これによってベッドギャッヂアップでの食事がしやすくなるという効果も狙うことができます。
つまり、バンカー法を応用しベッド上での姿勢保持を支援することは、ベッド上でのADL能力の向上にもつながります。
安楽性の向上
姿勢を保持する際に不安定さや不快感がある状態は、心理的不安感の増強や、筋緊張の増加の要因となり得ます。
バンカー法を応用することで、身体のズレや滑りをなるべく抑えるととで不安定感が解消され筋緊張が緩和する効果が期待できます。
また、身体支持面の鉱大やアライメント修正により、姿勢が安定し不安感が解消され、心理的安定やリラックスに繋がり、楽に呼吸ができる場合もあります。
呼吸リハビリテーションの一環として、こういったバンカー法によるポジショニングは知っておく必要があります。
まとめ
今回は、ポジショニングにおける身体サポートについて直接的、関節的サポートの視点で解説しました。
褥瘡予防や安楽な姿勢を保持するためには、このポジショニングに関する知識が必要です。
それぞれのメリット、デメリットを把握したうえで、臨床で活用できるようにしないといけません。