動悸は、心臓の鼓動を通常より強く、速く、または不規則に感じる症状です。
ストレスや病気が原因となることがあり、場合によっては医師の診察が必要です。適切な対処で改善が期待できます。
本記事では動悸の定義、原因や治し方について解説します。
動悸とは
動悸とは、通常は意識することのない心臓の鼓動が、強く、速く、または不規則に感じられる状態のことを指します。
これは、ストレスや運動、カフェインの摂取など、心拍を一時的に増加させる原因によって引き起こされることが多く、通常は健康上の問題を示すものではありません。
ただし、動悸が頻繁に起こったり、息切れやめまいを伴う場合は、心臓や他の内臓の疾患が原因である可能性があり、医療機関での診察が必要です。
動悸は、心拍数の増加(頻脈)や減少(徐脈)、不整脈などの異常と関連しており、特に動悸が突然発生し長時間続く場合には、注意が必要です。
一般的な予防法としては、規則正しい生活や適度な運動、ストレス管理が挙げられ、日常の健康管理が動悸の予防に有効です。
動悸の自覚症状について
では、この動悸は身体的にはどのように現れるのでしょうか?
一般的には動悸の自覚症状には…
- 脈が飛ぶ
- 脈拍数の増加
- 心臓の拍動の自覚
- 脈の乱れ
…などがあります。
以下にそれぞれ解説します。
脈が飛ぶ
動悸の自覚症状の一つで、まばたきや呼吸などの一時的な身体的な動作によって脈が途切れるような感覚があります。
心拍が不規則になったり、心臓の興奮が引き起こされたりすることによって生じることがあります。
脈が飛ぶ感覚は、心臓のリズムに関連した問題や心房細動といった心臓の異常のサインかもしれません。
脈拍数の増加
動悸を感じると、自覚的に脈拍数が通常よりも速く感じられることがあります。
心臓の拍動が加速するため、胸の中で心臓の鼓動が強く感じられるかもしれません。
脈拍数の増加は、身体的または心理的なストレス、運動、過剰な摂取物質(カフェインや刺激性のある薬物)などによって引き起こされることがあります。
心臓の拍動の自覚
動悸を感じると、心臓の拍動を明確に自覚することがあります。
通常よりも心臓の拍動が強く感じられ、鼓動が胸に響くように感じられることもあります。
この症状は心拍数の増加や心臓の興奮に関連しており、不安や緊張、身体的な活動の増加、または心臓の異常が原因となることがあります。
脈の乱れ
動悸を感じると、脈が通常のリズムから乱れたり不規則になったりすることがあります。
心拍の間隔が一定でなくなり、心臓の拍動がスキップしたり追い越したりする感覚があります。
これは心房細動や不整脈などの心臓の異常の兆候として現れる場合があります。
脈の乱れが続く場合は、医療専門家に相談することが重要です。
動悸と関連する重篤な状況
動悸は、心臓に関連するだけに不安が高まりますが、7〜8割は心配のない動悸ともいわれています。
ただ、残りの2〜3割の中には命に関係する危険な病が隠れていることがあるので注意が必要です。
ここでは、動悸に関連する重篤な状況として…
- 心臓発作や不整脈の可能性
- パニック発作や不安障害との関連性
- 他の疾患との共存の可能性(糖尿病、高血圧など)
…について解説します。
心臓発作や不整脈の可能性
動悸は心臓発作(心筋梗塞)や不整脈の一つの症状として現れることがあります。
心臓発作は、冠状動脈の閉塞によって心筋が酸素不足になることで起こります。
また、不整脈は、心臓の電気的な異常により心拍が乱れる状態を指します。
特に、胸痛や息切れ、めまい、吐き気などの症状が伴う場合は、直ちに医師の診察が必要になります。
パニック発作や不安障害との関連性
動悸は、パニック発作や不安障害と密接に関連して現れることもあります。
このパニック発作は、突然の強い不安や恐怖、心拍増加などの症状が現れる急性の状態です。
また、不安障害は慢性的な不安や恐怖が日常生活に影響を与える状態です。
これらの状態では、動悸が発作的に現れることがあります。
心身のストレスや過度の不安が動悸を引き起こす可能性があります。
他の疾患との共存の可能性(糖尿病、高血圧など)
その他の動悸の自覚症状としては、糖尿病や高血圧などの他の疾患と関連して現れることがあります。
糖尿病は、血糖値の異常が血管や神経に影響を与えることで心血管系の問題を引き起こす可能性があります。
また、高血圧は血圧の持続的な上昇が心臓に負担をかけることで不整脈や心筋肥大を引き起こす可能性があります。
これらの疾患が存在する場合、心臓への負担が増加し、動悸が現れる可能性があります。
動悸の原因
動悸の原因は、心身に様々な要因が考えられます。
主な原因として…
- 不整脈
- 心不全
- 狭心症
- 心臓弁膜症
- 高血圧症
- 低血糖症
- バセドウ病
- 気管支喘息
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)
- 肺塞栓症
- 更年期障害
- 貧血
- ストレス
- 熱中症
- コーヒーやアルコール
…などがあげられます。
それぞれ解説します。
不整脈
不整脈とは、心臓の規則正しい拍動が乱れる状態を指し、心拍数が速くなったり遅くなったり、または不規則に拍動することが特徴です。
軽度の不整脈は無害で症状が現れないこともありますが、重度の場合、動悸、息切れ、胸痛、めまいなどを引き起こします。
原因としては、心臓の電気系統の異常や心臓の病気、ストレス、カフェインの過剰摂取などがあります。
特に心房細動や心室頻拍といった不整脈は、心不全や脳卒中のリスクを高めるため、早期の診断と治療が重要です。
治療には、薬物療法やカテーテルアブレーション、ペースメーカーの装着などが含まれます。
心不全
心不全は、心臓が十分な血液を体中に送り出せなくなる状態を指し、動悸や息切れ、足のむくみなどの症状を引き起こします。
急性心不全と慢性心不全に分けられ、急性の場合は突然の症状が現れ、生命を脅かすこともあります。
原因は心筋梗塞、弁膜症、長期間にわたる高血圧などさまざまで、心臓のポンプ機能が低下することが関係しています。
治療には、利尿薬やACE阻害薬などの薬物療法や、重症の場合はペースメーカーや心臓移植が検討されることがあります。
日常生活では、塩分制限や適度な運動が予防や症状の緩和に役立ちます。
狭心症
狭心症は、冠動脈が狭くなり、心臓への血流が不足することで胸痛や圧迫感が生じる病気です。
心臓が十分な酸素を得られなくなることで、動悸や胸の痛みを引き起こし、特に運動やストレスの際に症状が悪化します。
狭心症には、安静時に症状が出る「安静狭心症」と、運動やストレスで発症する「労作狭心症」があります。
冠動脈の動脈硬化が主な原因で、喫煙、高血圧、高コレステロールなどの生活習慣病がリスクを高めます。
治療には薬物療法や、重度の場合はバイパス手術やステント留置が行われます。
心臓弁膜症
心臓弁膜症は、心臓の弁が正常に開閉しなくなる病気で、動悸や息切れ、疲労感などの症状を引き起こします。
弁が狭くなる(狭窄)か、閉じる際に逆流する(逆流症)ことで、心臓のポンプ機能が低下し、血液の循環が悪化します。
主な原因として、加齢、リウマチ熱、先天性の異常、感染性心内膜炎が挙げられます。
軽症の場合は症状が出ないこともありますが、進行すると心不全や不整脈の原因になることがあります。
治療は、薬物療法や、重症の場合は弁の修復や人工弁の置換手術が必要です。
高血圧症
高血圧症は、血圧が慢性的に高い状態が続く病気で、心臓や血管に大きな負担をかけ、動悸や頭痛、めまい、息切れなどの症状を引き起こします。
原因には、遺伝的要因、食塩の過剰摂取、運動不足、ストレス、喫煙、アルコールの過剰摂取などが含まれます。
高血圧は放置すると、心筋梗塞や脳卒中、腎不全などのリスクが高まり、早期発見と治療が重要です。
治療には、生活習慣の改善と薬物療法が基本で、特に食事管理や減塩、適度な運動が効果的です。
低血糖症
低血糖症は、血糖値が異常に低くなる状態を指し、主に糖尿病治療中の患者で見られることが多いですが、健康な人にも起こり得ます。
血糖値が下がりすぎると、体がエネルギー不足に陥り、動悸、めまい、ふるえ、集中力の低下、さらには意識喪失などの症状が現れます。
食事の摂取不足、過剰な運動、インスリンや糖尿病薬の過剰投与が原因となることが多く、早急な対応が必要です。
低血糖が頻繁に起こると、脳や心臓に悪影響を及ぼす可能性があるため、症状が現れた場合には即座に糖分を補給することが推奨されます。
予防には、規則正しい食事や適度な運動、薬の適切な管理が重要です。
バセドウ病
バセドウ病は、甲状腺が過剰に働き、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患で、動悸や体重減少、発汗過多、疲労感などの症状を引き起こします。
甲状腺ホルモンは新陳代謝を調整する重要な役割を果たしており、ホルモンが過剰になると体全体が過活動状態に陥ります。
自己免疫の異常が主な原因とされ、女性に多く発症する傾向があります。
バセドウ病は長期間放置すると、心臓や骨、筋肉に負担をかけることがあり、早期診断と治療が求められます。
治療法には、抗甲状腺薬、放射線療法、手術などがあり、患者の状態に合わせて選択されます。
気管支喘息
気管支喘息は、気道が炎症を起こし、狭くなることで呼吸困難や咳、動悸を引き起こす慢性疾患です。
喘息発作が起こると、呼吸が困難になり、酸素不足から心臓が過剰に働き、動悸が生じることがあります。
アレルギー、感染症、寒冷、運動、ストレスなどが発作の引き金となることが多く、喘息は子供から大人まで幅広い年齢層に見られます。
治療には吸入ステロイド薬や気管支拡張薬が使用され、日常的な予防措置としては、発作の引き金となるアレルゲンを避けることが重要です。
症状の重い場合は、医療機関での適切な管理と治療が必要です。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDは、慢性的な呼吸器疾患で、主に喫煙によって引き起こされる肺の病気です。
肺の機能が徐々に低下し、動悸、息切れ、慢性的な咳、痰の増加などが見られます。
気管支や肺の損傷が進行すると、酸素の取り込みが困難になり、体が酸素不足に陥り、心臓への負担が増加します。
治療には、禁煙、薬物療法、呼吸リハビリ、酸素療法が含まれますが、完治は難しく、早期発見と進行抑制が重要です。
生活習慣の改善と適切な管理で、症状の進行を遅らせることができます。
肺塞栓症
肺塞栓症は、肺の動脈に血栓が詰まることで起こる重篤な病気で、動悸や呼吸困難、胸痛が突然現れることがあります。
通常、血栓は足の静脈で形成され(深部静脈血栓症)、これが肺に移動して動脈を塞いでしまいます。
長時間の座位、手術後、血液凝固の異常が主なリスク要因です。
早期に治療しないと、命に関わることがあり、迅速な診断と治療が求められます。
治療には抗凝固薬や、重症例では血栓を溶かすための手術が行われることがあります。
更年期障害
更年期障害は、女性が閉経に近づく際に起こるホルモンの急激な変化によって引き起こされる症状群です。
ホルモンバランスの乱れにより、動悸やほてり、発汗、気分の浮き沈み、不安感などが見られます。
エストロゲンの減少が主な原因であり、心身に多岐にわたる影響を及ぼします。
更年期障害の症状は個人差が大きく、一部の人は軽度な症状しか経験しない一方で、日常生活に支障をきたすほどの症状を訴える人もいます。
治療法には、ホルモン補充療法や、生活習慣の改善が効果的です。
貧血
貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足し、体が十分な酸素を供給できなくなる状態です。
これにより、疲労感、動悸、息切れ、頭痛、めまいなどの症状が現れます。
鉄欠乏性貧血が最も一般的で、主に食事からの鉄分摂取不足や、出血、吸収不良が原因です。
特に女性は月経や妊娠に伴う鉄分不足で貧血になりやすいです。
治療には鉄分補給や食生活の改善が推奨され、重症の場合には鉄剤の投与が行われます。
貧血を予防するには、バランスの取れた食事や定期的な健康診断が大切です。
ストレス
精神的なストレスや不安は、自律神経を刺激し、心拍数の増加や動悸を引き起こすことがあります。
特に長期間のストレス状態では、交感神経が過剰に働き、心臓に負担がかかるため、動悸だけでなく、睡眠障害、頭痛、消化不良など多様な身体症状が現れます。
ストレスの原因は、仕事、人間関係、生活環境などさまざまですが、放置すると心身に悪影響を及ぼすため、適切なストレス解消法が必要です。
リラクゼーション法、適度な運動、趣味の時間を持つことがストレス管理に有効です。
熱中症
熱中症は、暑さによって体温調節がうまく機能せず、体内の水分や電解質のバランスが崩れることで発症します。
脱水状態になると血液が濃縮され、心臓に負担がかかり、動悸や息切れ、頭痛、吐き気などの症状が現れます。
重症の場合は意識障害やショック状態を引き起こし、命に関わることもあります。
予防には、こまめな水分補給や涼しい場所での休息が重要であり、特に高齢者や子供は熱中症のリスクが高いです。
熱中症の初期症状が見られた場合は、すぐに涼しい場所に移動し、水分と塩分を補給することが必要です。
コーヒーやアルコール
コーヒーやアルコールの過剰摂取は、心拍数を増加させ、動悸を引き起こすことがあります。
コーヒーに含まれるカフェインは中枢神経を刺激し、交感神経が活性化されることで心拍数が上がります。
アルコールも同様に、血管を拡張させ、心臓に負担をかけることがあります。
適度な量であれば健康に影響を与えませんが、過剰な摂取は動悸だけでなく、睡眠障害や不整脈の原因にもなります。
摂取量を管理し、適度に楽しむことが重要です。
動悸の検査、評価
動悸の診断のための検査、評価には次のようなものがあげられます。
- 心電図検査
- ホルター心電図検査
- 負荷試験
- 心臓超音波検査
- 血液検査
以下にそれぞれ解説します。
心電図検査
心電図は、心臓の電気活動を記録するための検査です。
動悸の診断と評価において、心電図検査は一般的に最初に行われます。
心電図を通じて、心拍のリズムや不整脈の有無、心臓の拍動パターンなどを評価することができます。
ホルター心電図検査
ホルター心電図検査は、心電図を長期間(通常は24〜48時間)にわたって記録する検査です。
この検査は、一時的な動悸の原因や不規則なリズムを特定するために使用されます。
患者は、携帯型の心電図モニターを装着し、日常生活を通して心電図データを記録します。
負荷試験
負荷試験は、身体的な負荷をかけながら心臓の反応を評価する検査です。
運動負荷試験や薬剤負荷試験などがあります。
負荷試験では、心拍数、血圧、心電図などが監視され、心臓の負荷に対する応答が評価されます。
これにより、動悸の原因や心臓機能の評価が行われます。
心臓超音波検査
心臓超音波検査(エコー検査)は、心臓の構造と機能を評価するための非侵襲的な検査です。
超音波を使って心臓の画像を作成し、心臓の弁や心筋の運動、血液の流れなどを観察します。
心臓超音波検査は、心臓病や心臓に関連した疾患を特定するために行われ、動悸の原因の特定にも役立ちます。
血液検査
血液検査は、動悸の原因を評価するために一般的に行われる一連の検査です。
血液検査によって、貧血や甲状腺機能異常、電解質の異常など、動悸に関連する可能性のある異常値が検出されることがあります。
また、血液検査は他の潜在的な疾患や病状を特定するためにも使用されます。
動悸の治し方
動悸の治し方は、その原因によって異なります。
まずは、前提としてその原因に対してしっかりと対応する必要があります。
そのうえでの対処法としては…
- 深呼吸をする
- 安静にする
- ツボを押す
- ハーブティーを飲む
- アロマオイルを使う
- 生活習慣を見直す
…などがあげられます。
それぞれ解説します。
深呼吸をする
深呼吸は、動悸を抑えるための即効性のある方法で、交感神経の興奮を抑えて副交感神経を優位にする効果があります。
特に息を吐き切ることに集中することで、体の緊張がほぐれ、心拍数が安定します。
まず、肩の力を抜き、リラックスした姿勢で鼻からゆっくりと息を吸い、次に口から時間をかけて吐き出します。
数回行うことで心拍のペースが自然に落ち着き、動悸が軽減されることが多いです。
日常的に深呼吸を取り入れることで、ストレスや緊張を軽減し、動悸の予防にもつながります。
安静にする
動悸が起こった際には、無理をせず、座ったり横になって体を休めることが大切です。
心臓が過度に働く状態を避けるために、身体を安静に保つことで、心拍数がゆっくりと落ち着きます。
特に、手や腕の位置が高すぎないようにし、リラックスした姿勢を取ることが重要です。
リラックスすると、副交感神経が働きやすくなり、動悸の症状が改善されることが多くなります。
また、安静にすることで心臓にかかる負担が減り、動悸が自然に治まるのを待つことができます。
ツボを押す
ツボを押すことは、東洋医学の一環として、動悸を和らげる効果があるとされています。
特に手首にある「神門」や、腕にある「郄門」というツボが動悸に対して有効です。
これらのツボを軽く押すことで、気の流れが整えられ、心臓の負担が軽減されると考えられています。
指でゆっくりと円を描くように押すことで、リラックス効果が高まり、心拍数の安定を促すことができます。
ツボ押しは手軽にできるため、動悸が出たときにすぐに試せる方法です。
ハーブティーを飲む
ハーブティーには、心を落ち着かせる効果があり、動悸を和らげるために役立ちます。
特にラベンダーやカモミールは、リラックス効果が高く、心拍数を落ち着かせるのに効果的です。
ハーブティーを飲むことで体がリラックスし、神経の緊張が緩和され、動悸が徐々に治まることがあります。
また、カフェインを含まないため、心臓に負担をかけることなく安心して飲むことができます。
ハーブティーを飲む習慣をつけることで、ストレスを軽減し、動悸の予防にもつながります。
アロマオイルを使う
アロマオイルは、香りによってリラックス効果を得る方法で、動悸を抑えるためにも有効です。
特にラベンダーやスイートオレンジなどのリラックス効果が高い香りが、心を落ち着け、心拍数を安定させる効果があります。
アロマオイルを手のひらに垂らして香りを吸い込むか、アロマディフューザーを使うことで、部屋全体に香りを広げてリラックスできる空間を作ることができます。
香りの効果により、ストレスや不安が軽減され、動悸が自然に治まることが期待できます。
生活習慣を見直す
動悸を根本的に改善するためには、日常の生活習慣を見直すことが重要です。
規則正しい睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけることで、心臓の健康が保たれ、動悸の予防に役立ちます。
また、ストレス管理も動悸を防ぐ上で非常に重要で、適度なリラックスや趣味の時間を持つことが推奨されます。
生活習慣を改善することで、動悸が起こりにくい体質を作り、心臓への負担を減らすことが可能です。
動悸に対する薬について
動悸に対する薬にはいくつかの種類があります。
主な薬としては…
- β遮断薬
- カルシウム拮抗薬
- 抗不整脈薬
- ジギタリス製剤
- 抗不安薬
- 漢方薬
…などがあげられます。
それぞれ解説します。
β遮断薬
β遮断薬は、心拍数を減少させ、心臓の負担を軽減する効果があり、動悸の治療に広く用いられています。
β遮断薬は、交感神経の作用を抑えることで心拍を遅くし、心臓が過剰に働くのを防ぎます。
これにより血圧が下がり、心臓がリラックスした状態になり、動悸や不整脈が軽減されます。
不整脈や高血圧、狭心症などの疾患が原因で生じる動悸に特に効果的です。
また、長期的に服用することで、心臓の健康を維持し、再発防止にもつながりますが、医師の指示に従って使用することが重要です。
カルシウム拮抗薬
カルシウム拮抗薬は、血管を拡張させ、血圧を下げることで心臓の負担を軽減します。
カルシウムの流入を抑えることで、血管の緊張を緩和し、血液の流れをスムーズにし、心拍数を安定させます。
これにより、特に高血圧や狭心症が原因の動悸に効果があります。
カルシウム拮抗薬は、心臓の収縮力を抑制するため、心臓が過度に働くのを防ぎ、安定した心拍を保つ助けとなります。
副作用としては、頭痛や顔の紅潮が見られることがありますが、適切な投与量を守ることで安全に使用できます。
抗不整脈薬
抗不整脈薬は、心拍のリズムを整えるために使用され、不整脈による動悸を治療するために不可欠な薬です。
不整脈は心臓の電気系統の異常によって引き起こされることが多いため、抗不整脈薬はこれを調整し、心臓が規則的に拍動するようにします。
これにより、異常な心拍数が正常に戻り、動悸や息切れ、胸の痛みなどの症状が軽減されます。
抗不整脈薬にはさまざまな種類があり、患者の状態に応じて適切な薬が選ばれます。
医師の指導のもとで使用することが重要であり、薬の効果と副作用を慎重に管理する必要があります。
ジギタリス製剤
ジギタリス製剤は、心臓の収縮力を強化し、心拍数を調整する効果があります。
心不全や不整脈の治療に広く用いられ、動悸の原因となる心臓機能の低下を改善するために使用されます。
ジギタリス製剤は、心臓が効率的に血液を送り出せるようにするため、動悸や息切れの症状を緩和するのに効果的です。
心拍数を調整することで、心臓の働きを安定させ、動悸の原因となる心臓の異常を軽減します。
しかし、過剰摂取による中毒のリスクがあるため、慎重な投与管理が必要です。
抗不安薬
抗不安薬は、ストレスや不安が原因で動悸が生じる場合に使用され、心を落ち着かせる効果があります。
ストレスによって交感神経が刺激されると、心拍数が上昇し、動悸が発生することがあります。
抗不安薬は、神経をリラックスさせることで心拍を安定させ、動悸を緩和します。
特にパニック障害や過度の不安が原因となっている場合に有効で、短期的な使用で動悸を軽減するのに役立ちます。
ただし、依存性のリスクがあるため、長期使用は医師の管理下で慎重に行う必要があります。
漢方薬
漢方薬は、自然の成分を用いて動悸を緩和する伝統的な治療法で、救心®や牛黄カプセル®、ユンケル心臓薬®などが代表的です。
これらの薬は、心臓の負担を軽減し、心拍数を安定させる効果があります。
漢方薬は、体全体のバランスを整えることで、動悸だけでなく他の症状も改善する効果が期待できます。
特に、ストレスや疲労が原因で発生する動悸に対して有効とされています。
漢方薬は副作用が比較的少ないとされていますが、長期間の使用や他の薬との併用については専門家の指導を受けることが重要です。
動悸がひどいときは何科に受診?
動悸がひどいときは、まず以下の科を受診することをお勧めします。
- 循環器内科
- 一般内科
- 内分泌内科
- 精神科・心療内科
それぞれ解説します。
循環器内科
動悸の原因が心臓や血管に関係している場合、循環器内科での診察が最も適切です。
循環器内科では、心電図や心エコー、ホルター心電図といった検査を行い、心臓の拍動や血液の流れに異常がないかを確認します。
心不全や不整脈、狭心症など、動悸を引き起こす心臓疾患が発見されることも多く、早期診断が重要です。
また、検査結果に基づき、必要に応じてβ遮断薬やカルシウム拮抗薬などの薬物治療が行われます。
循環器内科での診断と治療は、心臓に関連する動悸の根本的な原因を突き止め、適切な対処法を提供します。
一般内科
動悸の原因が特定できない場合や、他の身体的な症状が同時に現れている場合、まずは一般内科で総合的な診察を受けることが推奨されます。
一般内科では、動悸だけでなく、発熱や呼吸困難、体重減少などの他の症状も考慮し、全身の健康状態を評価します。
基本的な検査として血液検査、胸部レントゲン、心電図などが行われ、動悸の原因が内科的な疾患に関連しているかどうかを確認します。
必要に応じて、さらに専門科(循環器内科や内分泌内科)への紹介が行われ、詳細な検査が進められます。
一般内科は、動悸の原因を幅広く調査する最初のステップとして重要な役割を果たします。
内分泌内科
動悸が甲状腺機能の異常、特にバセドウ病や甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患に関連している場合、内分泌内科での診察が必要です。
甲状腺ホルモンは心臓の働きに直接影響を与えるため、ホルモンの過剰分泌が動悸や心拍数の増加を引き起こすことがあります。
内分泌内科では、血液検査を通じて甲状腺ホルモンのレベルを測定し、異常が見つかれば、ホルモンバランスを整える治療が行われます。
治療法には抗甲状腺薬や放射線療法、場合によっては手術が含まれます。甲状腺の健康を保つことは、動悸の治療と予防において非常に重要です。
精神科・心療内科
動悸の原因がストレスや不安、パニック障害といった精神的な要因である場合、精神科や心療内科での診察が適しています。
強い緊張や不安は、自律神経を刺激し、心拍数を上げるため、動悸を引き起こすことがあります。
精神科では、患者の心理状態を評価し、必要に応じて抗不安薬や抗うつ薬を処方します。
また、カウンセリングや認知行動療法など、心のケアを通じてストレス管理や不安の軽減を目指します。
心療内科では、心身のつながりに着目し、身体症状と精神的なストレスの関係を総合的に診察するため、ストレスが原因の動悸に効果的な治療を提供します。
動悸の予防
動悸の予防としてはどんなものがあるのでしょうか?
ここでは…
- 健康的な体重を維持する
- タバコの煙を避ける
- 定期的に体を動かす
- 高血圧を下げる
- 心臓に良い食事をする
- コレステロール値をコントロールする
…について解説します。
健康的な体重を維持する
健康的な体重を維持することは、心臓の負担を軽減し、動悸のリスクを減らすのに役立ちます。
過体重や肥満は、心臓に余分なストレスをかけ、高血圧や心臓病のリスクを高める可能性があります。
定期的な運動とバランスの取れた食事により、体重を健康的な範囲に保つことが重要です。
適切な体重管理には、食事の量を調整し、栄養価の高い食品を選ぶことが含まれます。
具体的には体重を10%減らすことが推奨されています。
これには、植物ベースの食事や定期的な運動、睡眠障害やストレスの管理も含まれます1)。
タバコの煙を避ける
喫煙は心臓に悪影響を及ぼし、動悸のリスクを高める主要な要因です。
タバコの煙に含まれる化学物質は血圧を上昇させ、心臓病のリスクを増加させます。
また、受動喫煙も同様に有害です1)。
タバコの煙を避けることは心臓病や他の健康問題のリスクを大幅に減らすことができます。
定期的に体を動かす
定期的な運動は、心臓の健康を維持し、動悸のリスクを減らすのに有効です。
運動は、心臓の筋肉を強化し、血流を改善し、全体的な身体の健康を促進します。
週に数回の中程度から激しい運動(例:ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳)は、高血圧や高コレステロールを減少させるのに役立ちます1)。
また、ストレスを軽減し、健康的な体重を維持するのにも効果的です。
高血圧を下げる
高血圧は心臓に余分な負担をかけ、動悸のリスクを高める要因です。
高血圧を管理するには、塩分の摂取量を減らし、アルコールの摂取を控えめにし、定期的に運動を行うことが重要です1)。
また、ストレス管理と十分な睡眠も高血圧のコントロールに役立ちます。医師の指導のもと、必要に応じて高血圧の薬を服用することも一つの方法です。
心臓に良い食事をする
心臓に良い食事をすることは、動悸の予防に重要な役割を果たします。
これには、飽和脂肪、トランス脂肪、砂糖、塩分を控えめにし、フルーツ、野菜、全粒穀物、良質なタンパク質を多く摂ることが含まれます 2)。
これらの食品は心臓の健康を促進し、動脈硬化や高血圧を予防するのに役立ちます。
また、オメガ3脂肪酸を多く含む食品(例:サーモン、アマニ油)を摂取することも、心臓病リスクを減らすのに有効です。
コレステロール値をコントロールする
高コレステロールは動脈の壁にプラークを形成し、心臓病のリスクを高めます。
バランスの取れた食事、定期的な運動、健康的な体重の維持は、コレステロールレベルをコントロールするのに役立ちます。
特に飽和脂肪とトランス脂肪の摂取を減らすことが重要です 2)。
医師の指導のもとで、必要に応じてコレステロールを下げる薬を使用することも有効な方法です。
動悸がするときの寝方について
動悸を感じている時、どのように寝るのが良いか悩んでいる方も多いと思います。
寝姿勢によって、心臓への負担が変わり、症状が楽になる可能性があります。
ここでは、そのポイントとして…
- 上半身を少し高くする
- 横向きで寝る
- 胎児のポーズ
…について解説します。
上半身を少し高くする
動悸が起こったときに上半身を高くすることで、心臓への血液の戻りがスムーズになり、心臓への負担を軽減できます。
これは、仰向けで寝ていると重力の影響で心臓に多くの血液が戻り、心拍数が増加して動悸が悪化することがあるためです。
上体を少し起こすことで、心臓がリラックスした状態を保ちやすくなり、動悸が緩和されることが期待できます。
具体的には、枕を2つ重ねたり、タオルやクッションを上半身の下に挟んで少し角度をつけると効果的です。
このようにして、体をリラックスさせ、夜間の動悸を和らげることが可能です。
横向きで寝る
横向きで寝ることも動悸があるときに推奨される寝方です。
横向きの姿勢では、心臓が圧迫されにくく、特に呼吸が楽になることで、心拍数が安定しやすくなります。
右向き、左向きどちらでも問題はありませんが、心臓の位置を考慮し、少し体を開くようにして圧迫を避けるのがポイントです。
心臓の負担を軽減するためには、枕やクッションを体の隙間に挟み、体のバランスを保つのも効果的です。
横向きで寝ることで呼吸が楽になり、心臓への負担が軽減されるため、動悸が和らぐ可能性があります。
胎児のポーズ
胎児のポーズで寝ることは、動悸を和らげるためのリラックス効果が高い寝方です。
膝を曲げてお腹に抱きかかえるような姿勢を取ることで、体が自然に丸くなり、安心感とリラックス効果を得られます。
この姿勢は、筋肉が緩み、呼吸が楽になるため、心拍数が落ち着きやすくなり、動悸の症状を緩和するのに役立ちます。
特に、ストレスや不安が原因で動悸が生じている場合、この姿勢はリラックスを促し、心身のバランスを整える助けになります。
寝る際には、無理のない範囲で膝を軽く曲げ、深呼吸を意識しながら胎児のポーズを取ると効果的です。