胸郭出口症候群の検査の一つである”ルーステスト”。
本記事ではこの検査の目的、方法、注意点について解説します。
ルーステストとは?
ルーステスト(Roos test)は、主に胸郭出口症候群(Thoracic Outlet Syndrome, TOS)の診断に用いられる検査方法です。
このテストは、特に腕神経叢や血管が胸郭出口の近くで圧迫されている場合に有用です。
1人で行うこともできる検査です。
方法・やり方
ルーステストの方法は…
- 腕を開いて肩まで挙上し、手が上になるように肘を直角に曲げる
- 手を握って開くという動作を繰り返す
- 3分継続する
…になります。
それぞれ解説します。
腕を開いて肩まで挙上し、手が上になるように肘を直角に曲げる
このステップでは、患者は両腕を横に開き、肩の高さまで挙げ、肘を90度に曲げて手のひらが天井を向くようにします。
この姿勢は、腕神経叢と周辺の血管に対する圧力を増加させ、胸郭出口症候群の症状を誘発する可能性があります。
肩や腕にこのような特定の姿勢を取らせることで、通常は隠れている症状が顕在化することが期待されます。
手を握って開くという動作を繰り返す
患者は上記の姿勢を保持したまま、手を握りしめてから開く動作を繰り返します。
この動作は、腕や肩の筋肉に持続的な動きを要求し、神経や血管への圧迫を持続的にテストします。
この運動によって、胸郭出口にある神経や血管が圧迫されている場合、症状が顕著になることがあります。
この動作を腕を上げたまま3分継続できない場合、陽性と判断する
テストの重要な部分は、患者がこの動作を3分間継続できるかどうかを見ることです。
この期間中に、患者が痛み、しびれ、弱さ、疲労感などの症状を示した場合、それは胸郭出口症候群の存在を示唆する可能性があります。
このテストは、特に腕の使用によって誘発される症状を持つ患者にとって有用です。
3分間の継続が困難な場合、それは潜在的な神経または血管の問題を示唆する重要な指標となります。
注意点
ルーステストの実施に際して注意すべき点として…
- 適切な姿勢を確認すること
- 患者の症状の監視をすること
- 過剰な圧迫を避けること
…があげられます。
以下にそれぞれ解説します。
適切な姿勢を確認すること
ルーステストは患者が正しい姿勢を取っていることを確認することが重要です。
肩まで腕を挙げ、肘を90度に保ち、手のひらが上を向くようにする必要があります。
姿勢が不適切だと、テストの結果が正確でなくなる可能性があります。
患者の症状の監視をすること
テスト中は患者の症状を密に監視することが重要です。
痛み、しびれ、腕の弱さ、または不快感がある場合は、検査を中断する必要があります。
過剰な圧迫を避けること
このテストは胸郭出口症候群の診断に有用ですが、不必要な圧迫やストレスを患者に与えるべきではありません。
患者に無理をさせないように注意する必要があります。