回外筋(かいがいきん)- 起始・停止・支配神経・血液供給・主な働きや作用

回外筋は前腕の筋肉で、手のひらを上に向ける回外運動を担当します。
本記事では回外筋について解説します。


回外筋の起始・停止

起始 上腕骨の外側上顆、橈骨側副靱帯、環状靱帯、尺骨回外筋稜
停止 橈骨近位3分の1の側面、後面、前面

回外筋の起始部としては…

  • 上腕骨の外側上顆
  • 橈骨側副靱帯
  • 環状靱帯
  • 尺骨回外筋稜

…があげられます。

ここから、筋肉は橈骨の近位(手首に近い部分)1/3をらせん状に包み込み、外側、後面、および前面の上部1/3に停止します。

また、回外筋は表層と深層の二つの部分で構成されており、それぞれの層は異なる方法で結合します。

回外筋の表層は腱線維によって生じていて、これは筋肉が腱により骨に接続される構造を指しているんだ!
一方深層では、筋肉がすでに形成されている部分の滑りから始まっているので、深層部が他の筋肉との境界で筋繊維が滑らかに移行している様子が想像されますね!

回外筋の神経支配

神経支配 後骨間神経(C7、C8)

回外筋は、橈骨神経の一つの枝である後骨間神経(posterior interosseous nerve)によって神経支配されることが特徴になります。
それぞれ解説します。

橈骨神経

脊髄のC5からC8およびT1の神経根から成る腕神経叢の一部で、上肢における重要な感覚と運動の神経の一つです。

後部骨間神経

橈骨神経が前腕に入る際に分岐し、主に前腕の後部の筋肉を神経支配します。
この神経は感覚機能はほとんど持っておらず、筋肉の動きを制御する役割が主です。

橈骨神経やその枝である後骨間神経の損傷は、手首や手の運動障害につながり得るから、この神経の機能状態は診断や治療の際に重要な指標となるんだ!
例えば、橈骨神経障害の評価では、前腕の筋肉群の機能試験が含まれることがありますね!

回外筋の血液供給

血液供給 橈骨反回動脈、後骨間動脈、後骨間反回動脈

回外筋の表層と深層は、2つの異なる供給源によって供給されます。

  • 表層:橈骨動脈からその橈骨反回枝を介して血液が供給されます
  • 深層:尺骨動脈によって供給され、その後部骨間および後部骨間反回動脈を介して供給されます

ここではもう少し踏み込んで解説します。

表層の血液供給

橈骨動脈は前腕の主要な血管の一つで、手首へ向かう途中で多くの枝を分けます。

加えて、橈骨反回枝は橈骨動脈から分岐する小さな血管で、主に回外筋の表層部分に血液を供給します。
この枝は、筋肉の表面近くを走り、筋肉の酸素と栄養の需要を満たすのに役立ちます。

深層の血液供給

尺骨動脈も前腕の主要な血管で、橈骨動脈と並行して走ります。

後骨間動脈および後骨間反回動脈は尺骨動脈から派生する重要な枝で、回外筋の深層部分に血液を供給します。
これらの血管は筋肉のより深い部分に位置し、筋肉全体の栄養状態と機能維持に寄与します。

特に、前腕の血管手術や損傷の評価においては、これらの血管がどのように関与しているかを把握し、保全することが求められるだろうね!
このような知識は、セラピストが患者さんの手術やリハビリテーションを効果的に行うために不可欠になりますね!

回外筋の主な働き

機能 近位橈尺関節:前腕回外

回外筋の主な働きは、前腕の回外です。

回外筋は、手首の近位橈尺関節で橈骨を横方向に回転させる機能を担います。
この動作により、手のひらが上を向く(回外運動)ようになります。

回外筋の動作の特性

回外筋は…

  • ゆっくりと何の抵抗もない回外
  • 素早く、強く、力強い回外

…といった動作スピードによって特性が変化することも特徴です。
それぞれ解説します。

ゆっくりと何の抵抗もない回外

この状況では、回外筋自体が主動力として機能し、手のひらをゆっくりと上に向けることができます。
例えば、ボウルからポップコーンを掴む際の単純な手の回転がこれに該当します。

素早く、強く、力強い回外

このような動作では、回外筋だけではなく、上腕二頭筋も重要な役割を果たします。
上腕二頭筋は特に肘が90度に屈曲している状態で最も効果的に前腕の回外を助けることができます。

例えば、ドライバーを回す動作やワインボトルからコルクを抜く際に見られます。

こういった筋肉の作用の特徴を把握しておくことは、セラピストが患者さんの動きを支援する際にも重要な知識になるといえるね!
単一の筋の機能だけではなく、どのように補助し合うのか?まで理解が必要でしょうね!

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