システマティックインストラクションとは? 【 “モノ覚えが苦手”とされる相手への“教え方”】

学校でも職場でも必ずいるであろうちょっとゆったりマイペースな社員。
悪い子ではないんだけど…不器用なのかなにか仕事を任せるには少し不安。

「あの子は物覚えが悪いから」
「どうやって理解力が低い子に教えたらいいのかわからない」

…こんな経験、あるかと思います。

それが教育現場でも仕事でも、「誰かに何かを教える」ってことは非常に難しいことです。
ましてや理解力が低かったり、モノ覚えが苦手とされる相手の場合はなおさら…。
指導や教育に関して、「その人なりの方法」や「経験」に任せてしまうと非常に人によって差がでてしまい致命的とも言えます。

そこで今回は指導する、教育することを体系的にした手法である「システマティックインストラクション」について解説します。

本記事が(少し言い方が悪いですが)物覚えが悪い方へどうやって仕事を教えたらいいかわからない…と悩んでいる方の一助になれれば幸いです。

システマティックインストラクションとは?

ますは今回のテーマである「システマティックインストラクション」について。

システマティックインストラクションとは…
経験や思いつきで物事を教えるのではなく、相手の理解度に合わせて介入の度合いを順序だてて系統的に教える事
…とされています。

その場しのぎの方法や属人的なやり方で教えるのではなく、一定の基準を設けて教育しましょってことでしょうね。

対象

システマティックインストラクションの対象ですが、この手法は就労支援に関するジョブコーチや職業リハ関連で使用されるため…

  • 発達障害
  • 知的障害
  • 精神障害

…といった障害を有する人を対象にしています。
しかし、障害の有無で対象かどうかを判断するとするというよりは「作業手順が理解しにくい」「物覚えが悪い」といった状態の人に対しても効果的なようです。
そう考えると、非常に幅広い人を対象とすることができます。

効果

システマティックインストラクションは、指導や教育する人の経験や知識、方法などに関係なく“体系化”されている方法です。
その結果、指導、教育における人的な差異を軽減することができます。

つまり「Aさんの指導はいいけど、Bさんの指導はよくない」という状態を避けることができるとされています。

システマティックインストラクションの方法について

では、実際にシステマティックインストラクションとはどのような方法になるのでしょうか?
結論から言えば、次の“4つの指示方法の階層”という考え方を軸にしているようです。

  • 1.言語指示
  • 2.ジェスチャー
  • 3.見本の提示
  • 4.手添え

この4つは1が介入度が一番低い指示です。
逆に4.が一番高い介入度となります。

では、以下にそれぞれ解説します。

言語指示

“言語指示”はシステマティックインストラクションでも一番介入度が低い指示方法です。

また、この言語指示はさらに…

  • 直接言語指示
  • 間接言語指示

…の2段階に細分化されます。

実例としてあげるなら…

  • 直接言語指示:「ロープを取ってください」「蓋をあけてください」
  • 間接言語指示:「次はなんですか?」「それを取ってください」

…こんな感じです。

間接言語指示は「あれ」「それ」といった指示詞を利用した指示。
直接言語指示は対象の名前をはっきり含めている指示。
もちろん、直接言語指示のようが介入度が低い指示方法になりますね。

ジェスチャー

次の段階の指示方法は“ジェスチャー”になります。

このジェスチャーはさらに…

  • 動作を見せる
  • 指差し

…の2段階に細分化されます。

「動作を見せる」のは、指示者が直接どう行うかをデモ的に見せること。
「指差し」は、指示者が指を指すのみでデモ的な動作を含まないこと。
…すみません、そのまんまですね(笑)

もちろん動作をみせるのほうが、介入度が低い指示方法になります。

見本の提示

3段階目の指示方法は“見本の提示”となります。
見本の提示はさらに…

  • 同時モデリング
  • 先行モデリング

…に細分化されます。

実例としてあげるなら…

  • 同時モデリング:一緒にやって見せる
  • 先行モデリング:実際に先にやってみせる

…こんな感じです。

もちろん見本を見せながら一緒に行う指示方法である同時モデリングのほうが、介入度は低くなります。

手添え


最後の指示の段階としては“手添え”になります。

この手添えはさらに…

  • 直接手添え
  • シャドーイング

…に細分化されます。

実例としてあげるなら…

  • 直接手添え:指導者が手を添えて、正しい動きをするよう誘導する手法
  • シャドーイング:直接身体には触れないで、数cm離して指導者が手を添える手法

…になります。

直接手添えの方が、介入度は低いことになりますね。

まとめ

本記事では、覚えが苦手とされる相手へ体系的に教える方法である、システマティックインストラクションについて解説しました。

作業の指示や教育において、ただ闇雲に経験則で教えることは相手によっては非常に非効率的になってしまいます。
そこでこのシステマティックインストラクションと呼ばれる体系化された手法を用いて、段階的に教えていくことを試してみてもよいかもしれませんね。

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