革細工を作業療法で行う目的について 【アクティビティとしての治療的効果とは?】

アクティビティ

作業療法によるリハビリとしての革細工(レザークラフト)。
これは、クライアントに提供するアクティビティの一つになります。
でも…

  • 革細工でリハビリってどうするの?
  • 革細工を作業療法で行う目的って?
  • どんな治療効果があるの?

…と疑問に思うところもあると思います。

まずは作業療法士自身がしっかりとこの革細工による治療的効果を知ること。
そうすることで、改めて臨床や現場で役立たさせることができると思います。

そこで今回は、革細工を作業療法で行う目的について解説します。




革細工とは?

革細工(レザークラフト)とは…

  • 皮革を材料に用いて工芸をすること。また,その細工物
  • 皮革工芸(ひかくこうげい)、革工芸(かわこうげい)、革手芸(かわしゅげい)とも呼ばれてる

…と定義されます。

革細工と作業療法

革細工を作業療法でリハビリとして行うことはかなり昔から行われてきています。
養成校でもちゃんとカリキュラムとして行われています。


革細工の特徴について

では、ここからは革細工がいかに作業療法として有用かについて。
まず、革細工というアクティビティの特徴ですが次のようなものがあげられます。

  • 対象範囲が広いこと
  • 興味、関心を引きやすく動機づけが高い作業
  • 段階づけが比較的容易である
  • 作品としての見栄えがよい
  • 集中力を要する
  • 繰り返し動作が多い

以下にそれぞれ深堀してみます。

対象範囲が広いこと

革細工で制作する作品は小さいものから大きいものまで様々です。
例えば…レザーキーホルダーからレザーバッグ…のようにね。

そして老若男女を問わずに選べることも特徴かなと。
性別も年齢も問わない。
そういった意味でも対象範囲は広いですね。

興味、関心を引きやすく動機づけが高い作業

革細工って一般的に知られている趣味ではあるけど、実際にやったことない人の方が多い思います。
でもなんとなくはイメージが付く。
革製品だって、触ったことくらいはあるだろうから馴染みがないわけではない。

いわゆる「やっては見たいけど、ちょっと敷居が高そう」な趣味なのかなと。
そういう意味では、興味、関心は引きやすいアクティビティなのでしょうね。

段階づけが比較的容易である

革細工は作品の種類や使用する革の素材などの組み合わせ方も様々。
そして制作方法も様々です。
とりあえず簡単に作ることもできるし、ガチなレベルで行うこともできます。

応用が利くという点では、レベルも段階付けしやすいでしょうね。

作品としての見栄えがよい

革細工…かっこいいじゃないですか。
しかも手作りだったらなおさら。
ハンドメイドってことで一点物ですからね。

出来上がった作品の見栄えはインスタにアップする勢いです(笑)

集中力を要する

革細工は段階付けができるとはいえ、多少の集中力は必要です。
なんせ材料が革ですからね。
失敗ができないというプレッシャーもあります。

いい意味でのストレスをかけることもできるでしょうね。

繰り返し動作が多い

革細工って意外と同じ工程の繰り返しで成り立っています。
よく言えば、わかりやすい。
悪く言えば…飽きやすい?(笑)

革細工の治療的効果

さて、上記のような革細工の特徴を踏まえたうえで治療的効果について考えます。
作業療法における革細工は、あくまでもリハビリテーションとしての意味や目的を含んでいないと成立しませんからね。

革細工による治療的効果については次のとおりになります。
ここでは項目だけの紹介です。

身体機能面

  • 姿勢の保持
  • 目と手の協調
  • 両手の協調的操作
  • 手指の巧緻性
  • 物品の操作性

基本的な物品操作に必要な能力が求められます。
クライアントが革細工を行っているとき、作業療法士はこのような身体機能面への治療効果を意識する必要がありますね。

認知、精神機能面

  • 企画力
  • 注意力、集中力の持続
  • 作品完成による満足感や達成感

何をつくろうか?
どういう手順で作ろうか?
…という企画力が求められます。
そして制作中の集中力。
出来上がったときの満足感や成功体験。

革細工ひとつでこんな認知、精神機能面に効果を与えることが期待できます。

社会適応能力

  • 他者との交流手段
  • 趣味活動としての手段
  • 職業としての手段

革細工を通して作業療法士と交流する。
できあがった作品を家族や友人に自慢する。
他の人に教えてあげたり、次の作品に挑戦してみる。
…さらには革細工職人としてデビューしてしまう!

…作業療法での革細工というアクティビティで、ここまで社会適応に必要な能力を鍛えることが期待できます。

あくまで一部かもしれませんが、このような治療的効果が期待できます。
これらの項目を念頭に置いたうえで革細工という作業を提供することが必要となります。

まとめ

今回は、革細工を作業療法で行う目的について解説しました。
革細工って比較的伝統的というかオーソドックスな方法かもしれません。

だからこそ改めて作業活動に取り入れてみるのもいいのかもしれませんね。

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