サーブリッグ分析は、作業の基本動作を18の動素に分解し、効率化や無駄削減を図る手法です。
作業効率向上や安全性改善、品質安定化に役立ちます。
本記事ではこのサーブリッグ分析について解説します。
サーブリッグ分析とは?
サーブリッグ分析(Therblig Analysis)は、アメリカのフランク・B・ギルブレスが考案した動作研究手法です。
この分析は、作業の基本動作を18種類の要素に分解し、それぞれを「サーブリッグ」と呼び、記号化します。
作業効率を高めるために、どの動作が時間の無駄となっているかを明確にし、最適化することが目的です。
サーブリッグ分析の目的
サーブリッグ分析は、作業者の動作を細かく分析し、無駄な動きを排除することで、作業効率の向上や作業者の負担軽減を目的とする手法です。
より具体的には、以下の目的が挙げられます。
- 作業効率の向上
- 作業者の負担軽減
- 作業の標準化
- 作業改善のためのデータ収集
- 人件費削減
- 安全性の向上
- 製品品質の向上
それぞれ解説します。
作業効率の向上
サーブリッグ分析は、作業効率を向上させるために、各動作の無駄を特定し、排除することを目的としています。
各動作の時間を計測し、最適化を図ることで、作業時間の短縮が可能です。
また、動作の順序を最適化することで、作業の流れがスムーズになり、生産性が向上します。
これにより、標準作業時間を設定することができ、作業計画の精度を高めることが可能です。
全体として、効率的な生産管理を実現し、コスト削減につながります。
作業者の負担軽減
サーブリッグ分析は、作業者の負担を軽減することも目的としています。
動作の分析を通じて、疲労を引き起こす無駄な動作や不自然な姿勢を特定し、それを改善します。
また、作業環境を見直し、身体的負担を減らすことで、作業者の健康を守り、快適な作業環境を提供します。
これにより、作業者の生産性も向上し、長期的な働きやすさが確保されます。
結果として、職場全体のパフォーマンスが向上します。
作業の標準化
サーブリッグ分析は、作業手順の標準化にも大きく貢献します。各動作を明確にすることで、作業のバラつきを減らし、一貫した品質を維持することができます。
これにより、熟練度に関係なく一定の品質を保つことができ、新人教育の際にも効率的に作業手順を教えることが可能です。
標準化された作業手順は、作業効率の向上と品質の安定化に役立ちます。
また、改善点の検出が容易になり、品質管理もスムーズに行えます。
作業改善のためのデータ収集
サーブリッグ分析では、作業の各動作を詳細に記録し、データを収集します。
これにより、作業改善に必要な客観的なデータを提供し、根拠に基づいた改善策を実施することができます。
データ分析を通じて問題点を早期に発見し、迅速に対応することで、作業効率の低下や事故のリスクを防ぎます。
また、蓄積されたデータは、将来の作業効率化や設備投資の判断材料としても利用できます。
結果的に、継続的な改善プロセスを支援します。
人件費削減
サーブリッグ分析によって作業時間を短縮することは、人件費削減の一助となります。
無駄な動作を排除し、作業の効率を高めることで、必要な人員数が減少し、人件費の最適化が可能です。
また、効率的な人員配置も実現できるため、限られたリソースを最大限に活用することができます。
さらに、作業効率が上がることで、生産量も増加し、コスト削減に寄与します。
こうした効率化は、企業の経営安定にも大きく貢献します。
安全性の向上
サーブリッグ分析は、作業中の危険な動作を特定し、改善することで安全性の向上にも寄与します。
動作の細分化と分析を通じて、事故や怪我の原因となる非効率的または危険な動作を排除し、安全な作業環境を構築します。
特に、重い物を持ち上げる動作や、長時間同じ姿勢で作業することによる疲労のリスクが軽減されます。
これにより、作業者の健康と安全が守られ、職場全体のリスクが低減されます。
結果として、事故防止とともに労災の削減にもつながります。
製品品質の向上
サーブリッグ分析を通じて作業のばらつきを減らすことで、製品品質の安定化が図れます。
特に、一貫した作業手順が確立されることで、品質に影響を与える変動要因が削減され、製造工程でのミスが減少します。
また、効率的な作業フローによって製品のばらつきを減らし、顧客に安定した品質の製品を提供できるようになります。
これにより、顧客満足度が向上し、リピーターや新規顧客の獲得にもつながります。
品質管理の向上は、企業の競争力を高める重要な要素となります。
サーブリッグ分析の3つの種類
サーブリッグ分析は、作業を構成する基本動作を細かく観察・分析し、作業の効率化や改善を図る手法です。
この分析では、作業を構成する動作を17種類の基本動作(サーブリッグ)に分類し、それぞれの動作の時間や頻度などを計測します。
サーブリッグ分析で用いられる17種類の基本動作は、大きく3つの種類に分類されます。
- 第1類:動作の基本をなす要素
- 第2類:第1類の動作を遅らせる要素
- 第3類:作業が進んでいない状態を示す要素
それぞれ解説します。
サーブリッグ分析第1類
サーブリッグ分析の第1類は、作業を行う上で必要な基本動作を含む9つの動作要素に分類されます。
これらの動作は主に上肢を使用し、作業の遂行において非常に重要になります。
以下が第1類に含まれる動作要素です。
- 延ばす(Transport empty, TE):何も持たずに手を伸ばす動作。
- つかむ(Grasp, G):対象物を手でつかむ動作。
- 運ぶ(Transport Loaded, TL):物を持ったまま移動する動作。
- 位置を決める(Position, P):物の位置を調整する動作。
- 組み立てる(Assemble, A):物を組み合わせる動作。
- 分解する(Disassemble, DA):物を分解する動作。
- 使用する(Use, U):器具や装置を使用する動作。
- 放す(Release load, RL):物を手から放す動作。
- 調べる(Inspect, I):物のサイズや形状などを検査する動作。
サーブリッグ分析第2類
サーブリッグ分析の第2類は、主に感覚器官や頭脳を使用する5つの動作要素に分類されます。
これらの動作は、作業の遂行を遅くする傾向があるため、効率化を図る際にはできるだけ除くことが望ましいとされています。
以下が第2類に含まれる要素です。
- 探す(Search):操作対象物がどこにあるのかを目で探す動作。
- 見出す(Find):目で操作対象物を探し当てる動作。
- 選ぶ(Select):複数のものから目的としているものを選択する動作。
- 考える(Plan):作業を開始する前に考える動作。
- 用意する(Preposition, PP):物を使用後、次回使用するために位置を正す動作。
サーブリッグ分析第3類
サーブリッグ分析の第3類は、作業を行わない動作要素に分類される4つの動作を含みます。
これらの動作は、作業の効率を低下させるため、できるだけ排除することが望ましいとされています。
以下が第3類に含まれる要素です。
- つかみ続ける(Hold):物をつかんだまま保持する動作。
- 避けられない遅れ(Unavoidable delay, UD):自分ではどうにもならない遅れ。
- 避けられる遅れ(Avoidable delay, AD):自分の意思で防ぐことができる遅れ。
- 休む(Rest):作業を中断して休む動作。