高次脳機能障害の一つである”注意障害”とはどのようなものでしょうか?
本記事では注意障害の定義や種類について解説します。
注意障害とは?
注意障害とは、注意が散漫になったり、落ち着いて物事に取り組むことが困難になるといった障害です。
注意障害は、脳の損傷引き起こされることが多く、高次脳機能障害の一つとされています。
また加齢によっても生じる場合があります。
注意障害の種類
- 持続的注意の障害
- 選択的注意の障害
- 配分性注意の障害
- 転換性注意の障害
- 方向性注意の障害
…などがあります。
以下にそれぞれ解説します。
持続的注意の障害
持続的注意の障害とは、一つの事象に対して集中して取り組む力の障害です。
症状の例としては…
- 集中力が続かない
- 頻繁にミスをする
- 考え事をするとすぐに疲れる
- 注意が散漫になっている
- 頭がいつもぼんやりしている
- 小さな妨害でもすぐに気が散ってしまう
- 課題に集中し続けられない
- 人の話を最後まで聞けない
- 会話についていけない
- 話している相手と焦点を合わせられない
…などがあげられます。
時間経過とともに課題に対する反応が低下することが特徴です。
選択的注意の障害
選択的注意の障害とは、複数の情報の中から必要な情報を正しく選ぶために払われる注意に障害が起こることです。
症状の例としては…
- 適切な商品を多くの商品から見つけられない
- 物音がすると、そちらに注意が引かれて続けられなくなる
- 隣の人の作業が気になり、自分のことをせずに隣の人に口出しする
…などがあげられます。
選択的注意の障害では、妨害・干渉刺激の中から正解の標的刺激を選択することが困難となり、ほかの刺激に惑わされ易くなることが特徴です。
配分性注意の障害
配分性注意の障害とは、複数の作業を同時に行う際に必要となる注意の機能が低下することです1)。
症状の例としては…
- 電話をしながらメモを取れない
- 料理中に他のことをしていて鍋を焦がしてしまう
- 野菜を切っている最中でも、お湯が沸いたり、電子レンジが鳴ったりする合図に気づいて対応できない
…などがあげられます。
配分性注意の障害があると、一方の課題から他方の課題に柔軟に注意を振り向けることができなくなることが特徴です。
転換性注意の障害
転換性注意障害は、特定の対象に強く固執し、他の対象に注意を速やかに切り替えられなくなる障害です。
この障害の症状には次のようなものが例としてあげられます。
- 他のことに注意が散り、目的に沿った行動ができない
- 一つの作業から別の作業に切り替えられない
- 同じ行動を繰り返したり、同じことを何度も言ってしまう
- 目的と関係のない情報に影響を受けやすく、取捨選択が難しくなる
- 休憩時間が終わっても遊ぶのをやめられない
- 何かに取り組んでいる最中でも声をかけられても気づくことができない
- 情報が混ざりやすい
転換性注意とは、状況に応じて注意を別の対象に切り換える能力のことを指します。
方向性注意の障害
方向性注意の障害とは、視界の一部を見落とす症状のことです。
脳の損傷により視覚情報を処理することができず、見えている半分の空間を認識できないことが特徴です。
方向性注意の障害は、半側空間無視のメカニズムの中核をなすものとされており、一側性脳血管障害によって起こることが多いようです。