体性感覚の一つである”深部感覚”。
この深部感覚にも様々な種類があり、これらが障害されると日常生活を送ることが困難になります。
本記事では、この深部感覚の定義や種類、日常生活への影響について解説します。
深部感覚とは?
深部感覚とは、身体の空間での位置に関係した感覚です。
身体の各部位の位置関係を知る”位置覚”や、運動方向と速度を知る”運動覚”、身体に加わる抵抗を感じる”振動覚”があり”固有感覚”とも呼ばれます。
これらの感覚は脊髄の後索を通り大脳皮質の一次体性感覚野へと伝わります。
また、深部感覚は筋、腱、関節などの深部受容器からの信号によって起こり、深部反射や平衡感覚とも関係しています。
深部感覚の種類
深部感覚にはいくつかの種類があります。
- 位置覚
- 運動感覚
- 振動覚
以下にそれぞれ簡単に解説します。
位置覚
位置覚とは、自分の身体の各部がどういう相対的な位置にあるかを判断する感覚です。
深部感覚の一種で、関節、骨、靭帯、筋肉などの感覚を総合して感知します。
位置覚に障害があると、他動的に関節を動かしても、伸ばしているのか曲げているのかがわからなくなります。
運動感覚
運動感覚とは、身体の一部や全体の緊張や運動について感じる感覚のことです。
筋肉や関節、腱などにある受容器からの情報が運動感覚を作ります。
運動感覚は、目を閉じていても自分の体の位置や動きを知ったり、物の重さを感じたりするのに役立ちます。
振動覚
振動覚とは、振動を感じる感覚で、深部感覚の一つです。
振動覚の検査では、音叉により生じさせた振動を刺激として用い、患者が振動を感じるかどうか、感じる程度や時間を調べます。
また、振動覚は皮膚や骨に加えられる振動に反応する”Pacini小体”という受容体によって生じます。
振動覚は、神経障害や糖尿病などの疾患によって低下したり消失したりすることがあります。
深部感覚に異常があるときの日常生活への影響
位置覚、運動覚、振動覚などの深部感覚は身体の動作や姿勢の制御に関与しています。
つまり深部感覚に異常がある場合、日常生活にはさまざまな影響が及ぶ可能性がでてきます。
その影響ですが、ここでは…
- 運動の制約
- バランス障害
- 物体操作の難しさ
- 日常動作への影響
- 精密な作業の難しさ
- 安全性の低下
- 精神的な影響
…について解説します。
運動の制約
深部感覚の異常により、身体の位置や動きを正確に感知することが難しくなる可能性があります。
その結果、歩行やバランスの維持、身体の動作の制御が困難になることがあります。
日常的な移動や身体の操作に制約が生じる可能性があります。
バランス障害
深部感覚はバランスの調整に重要な役割を果たしています。
異常がある場合、立っている際のバランスを保つことが難しくなり、ふらつきやバランスの崩れが起こる可能性があります。
これにより、転倒やけがのリスクが増大するかもしれません。
物体操作の難しさ
深部感覚は物体の位置や硬さを感知するのに重要です。
異常があると、物体を掴む力の調整や適切な圧力のかけ方が難しくなる可能性があります。
日常的な物体操作や作業が困難になることが考えられます。
日常動作への影響
日常の基本的な動作にも影響が及ぶ可能性があります。
例えば、服を着る、食事をする、入浴するといった日常的な動作においても、深部感覚の異常が制約をもたらす可能性があります。
精密な作業の難しさ
深部感覚は細かい動作や精密な作業にも関与します。
異常があると、細かな部品の組み立てや手先を使った作業が難しくなる可能性があります。
このような影響は、手工芸や専門的な作業を行う人にも影響を及ぼすかもしれません。
安全性の低下
深部感覚の異常により、周囲の状況や障害物を正確に感知しにくくなることから、危険を避ける能力が低下する可能性があります。
日常生活での事故やけがのリスクが増加する可能性が考えられます。
精神的な影響
深部感覚の異常が継続すると、日常生活の制約や制限によってストレスや不安が増大する可能性があります。
また、自身の身体に対する信頼感や自己評価にも影響を及ぼすかもしれません。