記憶力とは? – 定義・種類・分類について

記憶力とはどのような能力になるのでしょうか?
本記事では記憶力の定義、種類や分類について解説します。

記憶力とは?

記憶力とは、一般的には物事を記憶する能力のことを指します。
過去に体験したことや将来に必要な情報を覚えておくことができます。

記憶の分類と種類について

実際に記憶の概念としては様々あり、次のように分類されています。

分類 種類
時間 感覚記憶・短期記憶・長期記憶
即時記憶・近時記憶・遠隔記憶
内容 陳述記憶(宣言的記憶・顕在記憶):意味記憶・エピソード記憶
非陳述記憶(潜在記憶):手続き記憶・プライミング記憶・古典的条件付け・非連合学習

以下にそれぞれ解説します。

“時間”による分類

記憶は把持する時間によって心理学上では…

  • 感覚記憶
  • 短期記憶
  • 長期記憶

…の3種類に分けられます。
それぞれについて深掘りしていきます。

感覚記憶

“感覚記憶 (Sensory Memory)”とは、最も保持期間が短い記憶です。
各感覚器官に特有に存在し、瞬間的に保持されるのみで意識に上ることはないとされています(数秒程度)。
外界から入力された刺激情報は刺激の形式に応じて、まず感覚記憶として保持されます。
つまり、聴覚に刺激を受ければ音声として、資格に刺激を受ければ視像として把持されます。

そのうち注意を向けられた情報だけが、次の短期記憶・長期記憶として把持されます。
ちなみに感覚記憶は処理されなければすぐに失われてしまいます。

短期記憶

“短期記憶(Short-term memory)“とは、記銘後の保持期間が20-30秒程度の記憶になります。
多くの場合、最大7つ(+/-2)の独立したアイテムを保持することができます(マジカルナンバー)。

短期記憶は…

  • 言語的な要素:言語や数字など
  • 非言語的な要素:音楽や図形など

…を記憶するために必要な情報を処理するために使用されます。
短期記憶は、感覚記憶から始まり、瞬間的な処理に使用され、長期記憶に転送されるということです。

長期記憶

“長期記憶(Long-term memory)”とは、脳に記録され、長期間にわたって保持される記憶を言います。
短期記憶からの情報を繰り返し、加工して、長期間にわたって保持することができます。
また、人や場合によっては生涯把持されているものもあります。

メカニズムとしては、把持内容が何かしらの処理(復唱や符号化、既有の知識のネットワークへの摂取)などの処理を経ることによって長期間保持されるようです。
また、この長期記憶の容量については現在ではほぼ無限とされていますが、忘却は記憶そのものが自然と消滅することよりも、他の記憶の干渉によるものとされています。

長期記憶には「認知記憶、感情記憶、身体記憶」などのタイプがあります。
また、臨床神経学上では「即時記憶・近時記憶・遠隔記憶」の3種類に分けられます。

“内容”による分類

また、記憶はその内容によっても分類されます。
大きくわけると…

  • 陳述記憶
  • 非陳述記憶

…の2つに大別されます。

陳述記憶

“陳述記憶(declarative memory)”とは、言語や文字を使って記述できる記憶を指します。
例えば、人の名前や顔、場所や物の名前などがあげられます。
陳述記憶は、“宣言的記憶”や“顕在記憶”とも呼ばれます。
長期記憶に分類されることが多いようです。

さらにこの陳述記憶には…

  • エピソード記憶
  • 意味記憶

…に分けることができます。

エピソード記憶

“エピソード記憶”とは個人の生活上での体験や思い出などに関する記憶です。
特徴としては、その出来事を経験そのものとして記憶するだけでなく、それを経験した時の様々な付随情報(時間・空間的文脈、自己の身体的・心理的状態など)も記憶されていることがあげられます。
臨床心理学上では、記憶障害=エピソード記憶の選択的障害としています。
例:先週、家族と新しくできたレストランで夕食を食べたけど、すごい混雑していて落ち着かなかった。

意味記憶

“意味記憶”とは、言語やその意味、概念、社会常識といった世の中に関する組織化された記憶です。
特徴としては、意味記憶は生活上同じような経験を繰り返すことで形成されていきますが、その情報をいつ、どこで獲得したかといった付随情報の記憶は消失し、内容のみが記憶されるという点があげられます。
一般的に“知識”と呼ばれるものはこの“意味記憶”を指します。
例:「リンゴ」は赤くて手のひら程度の大きさで、甘酸っぱい果物の一種であり、青森県の名産品。英語ではapple。

非陳述記憶

“非陳述記憶(non-declarative memory)”とは、意識には浮上しないで、行動や反応として現れる記憶です。
これらは意識的な思考や決定を必要としないため、自然な行動や反応を生み出すことができます。

この非陳述記憶には…

  • 手続き記憶
  • プライミング効果
  • 古典的条件付け
  • 非連合学習

…などが含まれます。

手続き記憶

“手続き記憶”とは、練習によって身につける運動技能や知覚技能、認知技能、そして習慣といった記憶から構成されます。
特徴としては、一度形成された手続き記憶は自動的に機能し、長期間保たれるという点があげられます。
例:自転車の乗り方・自動車の運転・料理の調理方法・パソコンのタイピングetc

プライミング効果

“プライミング効果”とは、一度でも見たり聞いたり刺激を受けることで、次回での反応が促進されることを指します。

特徴としては、無意識の処理によって行われる点があげられ、大脳基底核-小脳系が重視される記憶の一種になります。
また、このプライミング効果は陳述記憶にもみられます。

古典的条件付け

“古典的条件付け”とは「パブロフの犬」で有名な、経験の繰り返しや訓練により本来は結びついていなかった刺激に対して、新しい反応(行動)が形成される現象をいいます。

非連合学習

“非連合学習”とは、一種類の刺激に関する学習であり、同じ刺激の反復によって反応が減弱したり(慣れ)、増強したり(感作)する現象をいいます。

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