深部感覚の一つである”振動覚”。
本記事では…
- 振動覚の定義
- 振動覚が消失すると起こる影響
- 振動覚が消失する原因疾患、障害
…について解説します。
振動覚とは?
振動覚とは、物体の振動刺激で起こる感覚で、機械感覚の一種です。
この振動覚は、骨や骨膜にある感覚受容器で感じます。
また、振動覚は遠隔感覚として利用できます。
そのため多くの動物で警戒行動に利用されたり、雌雄間で交信したりすることがあるようです。
振動覚が消失するとどうなる?
振動覚が消失すると、振動を感じることができなくなります。
振動覚は、深部感覚の一つで骨や関節の動きや位置を知るのに重要な感覚です。
そのため振動覚が低下や消失してしまうと、歩行が不安定になったり、立っているだけでもふらついたりする可能性があります。
振動覚が消失する原因
振動覚が消失する原因は様々ですが、神経系の病気や障害が多く関係しています。
例としては…
- 脳卒中
- 多発神経障害
- 糖尿病神経障害
- 重金属や有害物質の中毒
…などがあげられます。
以下にそれぞれ解説します。
脳卒中
中枢性の疾患である脳卒中によって、振動覚が消失する可能性があります。
脳卒中の場合、振動覚の消失は脊髄から脳幹や大脳に上行する感覚神経の経路に損傷が生じたことを示しています。
この”脊髄から脳幹や大脳に上行する感覚神経の経路”には主なものとして、”脊髄視床路”と”後索内側毛帯路”があげられます。
これらが関与する部位に損傷を受けた場合、振動覚に影響が現れる可能性があります。
多発神経障害
多発神経障害は全身の多くの末梢神経に同時に機能不全が起こる病気です。
感染症、毒性物質、薬剤、がん、栄養不良などが原因になります。
また、多発神経障害には遺伝的な要因のものもありますが、この場合も振動覚や位置覚などの深部感覚に障害が出るときがあります。
糖尿病神経障害
津尿病によっても振動覚へ影響を与える場合があります。
高血糖による神経細胞の変化や動脈硬化からくる神経細胞への血流不足が原因で、振動覚の低下や消失を引き起こします。
重金属や有害物質の中毒
有害物質を体内に取り込んでしまうことで、振動覚に影響を与える場合があります。
ヒ素、鉛、水銀などの重金属や有機リン系殺虫剤などの有害物質に曝露されると、末梢神経に損傷を与えて振動覚を低下させます。