Confusion Assessment Method(CAM)は、せん妄を迅速に診断するための臨床ツールで、特に注意力障害や思考の混乱を評価します。
本記事ではその方法や注意点について解説します。
The Confusion Assessment Method(CAM)とは?
Confusion Assessment Method(CAM)は、せん妄を診断するためのクリニカルなツールです。
この方法は、特に病院や介護施設で、急性の認知変化や精神状態の変動を迅速に評価するのに役立ちます。
CAMの主な診断特徴
Confusion Assessment Method(CAM)の主な特徴としては…
- 急性発症で状態が変動する
- 注意力の欠如
- 思考の混乱
- 意識レベルの変化
…があげられます。
それぞれ解説します。
急性発症で状態が変動する
せん妄は通常、急激に発症し、患者の精神状態がベースラインから大きく変化します。
この特徴は、特に数時間から数日にわたって観察されることが多いです。
日内変動とは、患者の状態が1日のうちで異なる時間帯によって変わることを指し、特に朝は比較的落ち着いているが、夕方から夜にかけて症状が悪化する「サンダウニング」という現象がよく見られます。
この急激な変化と変動性は、せん妄の重要な診断指標であり、他の認知症と区別するための鍵となります。
注意力の欠如
せん妄を持つ患者は、しばしば注意力が著しく低下しています。
これには、会話に集中できない、周囲の活動に対して注意を払うことができない、または簡単な指示をフォローすることが困難であるという症状が含まれます。
注意力の欠如は、日常生活においても患者の安全性や自立性に直接影響を与えるため、医療従事者はこの症状に特に注意を払います。
この特徴を確認するためには、患者に数を逆から数えさせるなどのテストが行われることがあります。
思考の混乱
思考の混乱は、せん妄の患者において非常に一般的な症状です。
患者はとりとめのない話をしたり、会話が支離滅裂であったり、話の流れが不明瞭で非論理的であることがあります。
時には、予想外の話題への急な転換や、現実と虚構の区別がつかなくなることもあります。
これらの症状は、患者が日常生活での対話や意思疎通を困難にしており、治療計画の立案において考慮する必要があります。
意識レベルの変化
せん妄における意識レベルの変化は、患者が「意識清明」の状態から離れることを指します。
これには、過度の眠気や逆に過度の覚醒状態、または意識の朦朧とした状態が含まれることがあります。
意識レベルの変化は、せん妄の診断において非常に重要な要素であり、患者の観察と評価において特に注意が必要です。
この症状は、患者の安全と適切な医療介入の両方に影響を与える可能性があるため、迅速かつ正確な評価が求められます。
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CAMの診断アルゴリズム
Confusion Assessment Method(CAM)の診断アルゴリズムの手順としては…
- 急性の発症と日内変動の確認
- 注意力障害の評価
- 追加の診断基準の評価
- 診断の確定
…となります。
それぞれ解説します。
急性の発症と日内変動の確認
患者や介護者から情報を収集し、患者の精神状態の変化が急激かつ不規則であるかどうかを評価します。
注意力障害の評価
簡単なテスト(例えば、数字の逆唱)を使用して、患者の注意力がどれほど障害されているかを評価します。
追加の診断基準の評価
急性の発症と注意力の障害が確認された場合、追加で思考の混乱または意識レベルの変化が存在するかどうかを評価します。
診断の確定
上記の基準1と2に加えて、基準3または4のいずれかが確認されれば、せん妄の診断が成立します。
CAMはその診断の精度が高いため、多くの臨床現場で広く採用されているけど、これらの評価は医療従事者による詳細な観察と患者への適切なクエスチョニングが必要なんだ!
また、他の認知障害や精神医学的条件との鑑別診断を行うために、総合的な医療評価が重要となりますね!
CAMの注意点
Confusion Assessment Method(CAM)を使用する際の注意点としては…
- 精神疾患の既往
- 言語理解力
- 視覚・聴覚障害
- 薬物使用
…があげられます。
それぞれ解説します。
精神疾患の既往
精神疾患の既往がある患者では、せん妄の評価が複雑になることがあります。
これは、既存の精神疾患の症状がせん妄の症状と重なるためです。
医療従事者は、これらの患者の状態を評価する際には、その精神疾患の歴史と現在の症状を慎重に考慮し、せん妄の診断を下す前に他の可能性を排除する必要があります。
また、これらの患者の場合、治療方針を決定する際にも既往症の管理が重要となります。
言語理解力
言語理解力が低い患者では、CAMの質問に対する正確な回答が得られにくいため、誤診のリスクが高まります。
特に多言語を使用する環境や高齢者施設では、言語障壁が診断の障害となることがあります。
医療提供者は通訳サービスを利用するか、視覚的または書面によるコミュニケーション手段を用いることで、患者の理解を助け、より正確な診断を行うことが必要です。
視覚・聴覚障害
視覚や聴覚に障害がある患者では、せん妄の評価が困難になります。
これは、視覚や聴覚が情報の取得に重要であるため、これらの感覚が損なわれていると、患者が診察の内容を理解しにくくなるからです。
このような場合、医療提供者は非言語的なコミュニケーション手段を用いるか、補助技術を活用して患者の理解を支援し、正確な情報収集を行う必要があります。
薬物使用
特定の薬物、特に中枢神経系に影響を与える薬物を使用している患者では、せん妄の評価が難しくなることがあります。
これは、薬物が認知機能に暫定的な影響を与えるため、せん妄の症状を誤って引き起こすか、既存のせん妄を悪化させる可能性があるからです。
そのため、医療提供者は患者の薬物履歴を詳細に把握し、薬物の影響を考慮に入れた上で診断を行うべきです。
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