INV改訂版精研式パーソナリティ・インベントリーは、クレッチマー理論に基づく、性格特性を評価する心理検査ツールです。
本記事ではこの目的や特徴、方法などについて解説します。
INV 改訂版精研式パーソナリティ・インベントリーとは?
INV 改訂版精研式パーソナリティ・インベントリーは、クレッチマーの精神医学的性格類型に基づいて開発された性格評価ツールです。
この検査は、分裂質(S)、循環質(Z)、テンカン質(E)、ヒステリー(H)、神経質(N)の5つの性格類型から被験者の性格特性を判断することを目的としています。
質問項目は50問あり、「あまりない」から「非常にある」までの4段階で回答する形式をとっています。
クレッチマーの精神医学的性格類型とは?
クレッチマーの精神医学的性格類型とは、ドイツの精神医学者であるクレッチマーが提唱した理論で、体型と性格特性との関連に基づいています。
彼は、精神病患者の体型による性格の違いを発見し、1921年の著書『体格と性格』で「分裂気質」「循環(躁鬱)気質」「粘着気質」の3つの特性に分類した性格論を展開しました。
目的
INV 改訂版精研式パーソナリティ・インベントリーの主な目的としては…
- 性格特性の把握
- 精神医学的診断の補助
- カウンセリングと心理療法のサポート
- 教育分野での応用
- 人事選考と組織開発
…があげられます。
以下にそれぞれ解説します。
性格特性の把握
INV改訂版精研式パーソナリティ・インベントリーは、個人の性格特性を迅速かつ簡便に把握することを目的としています。
クレッチマーの性格類型に基づいた5つの類型(分裂質、循環質、テンカン質、ヒステリー、神経質)を用いて、個人の性格パターンを理解しやすくします。
この把握は、個人が自己認識を深めることに役立つだけでなく、心理的な問題に対処する際の出発点となります。
精神医学的診断の補助
この検査ツールは、精神医学的な診断プロセスを補助するためにも使用されます。
性格特性の評価を通じて、特定の精神疾患の傾向やリスクを早期に識別することが可能になります。
これにより、医師や心理士は適切な治療計画や介入策を立てやすくなり、患者の回復過程を効果的にサポートできます。
カウンセリングと心理療法のサポート
個人の性格特性を理解することは、カウンセリングや心理療法において非常に重要です。
治療者はこの情報を基に、個別の治療アプローチや介入手法を選択し、クライエントのニーズに合わせたサポートを提供できます。
また、クライエント自身が自己理解を深め、自己成長の過程を促進するための重要な手がかりとなります。
教育分野での応用
教育分野では、学生の性格特性を理解することが、教育的な介入やサポート計画の策定に役立ちます。
学生一人ひとりの性格に合わせた学習方法や教育プログラムの適用が可能になり、学習効率の向上や学業成績の改善が期待できます。
人事選考と組織開発
企業や組織においては、INV改訂版精研式パーソナリティ・インベントリーを用いて、求職者や社員の性格特性を評価し、適切な人材選択や配置、組織開発のためのデータを提供します。
個人の特性に合った職務への配属やチーム構成の最適化により、職場の生産性向上や離職率の低下に寄与します。
適用範囲
INV 改訂版精研式パーソナリティ・インベントリーの適用範囲ですが、ここでは…
- 対象年齢層
- 医科診療
- 心理カウンセリングと心理療法
- 教育分野
- 人事管理と組織開発
…という文脈で解説します。
対象年齢層
高校生から成人までが主な対象です。
この幅広い年齢層に適応することで、青年期から成人期にかけての心理的な特性や課題に対応することが可能になります。
医科診療
精神医学的診断の補助ツールとして使用され、特定の精神疾患のスクリーニングやリスク評価に貢献します。
治療計画の立案や治療過程の評価にも役立てられます。
心理カウンセリングと心理療法
個人の性格特性を詳細に把握することで、カウンセリングや心理療法の過程での個別化されたアプローチを可能にします。
クライエント自身の自己認識と自己成長を促進する手段としても有効です。
教育分野
学生の性格特性を理解することにより、教育者はより効果的な教育プログラムや学習方法を提供できます。
学生の学習スタイルや教育ニーズに合わせたサポートが可能になります。
人事管理と組織開発
企業や組織における人材選択、人事配置、チームビルディング、リーダーシップ開発などに役立ちます。
従業員の性格特性を理解することで、適切な職務への配属や効果的な組織文化の構築に寄与します。
方法
INV 改訂版精研式パーソナリティ・インベントリーの実施方法ですが…
- 準備と説明
- 質問票の配布と回答
- 回答時間の管理
- 質問票の回収と評価
- フィードバックとカウンセリング
…のステップで解説します。
準備と説明
検査を受ける被験者に対し、検査の目的、方法、および注意点について詳細な説明を行います。
この段階で、被験者が検査に関して持つ疑問や不安を解消し、検査の重要性とプライバシーの保護について理解を深めさせます。
質問票の配布と回答
被験者には50問からなる質問票が配布されます。
各質問に対して、「あまりない」から「非常にある」までの4段階で自己評価を行います。
質問は、被験者の日常生活や行動傾向、感情の反応など、様々な側面をカバーしています。
回答時間の管理
検査全体で約20分から45分の回答時間を見込みますが、被験者が慎重に自己評価を行えるよう、適切な時間管理を行います。
時間制限はあるものの、急かさず、じっくりと考えて回答することを奨励します。
質問票の回収と評価
回答が終わった質問票を回収し、専門家による評価が行われます。
この評価は、クレッチマーの精神医学的性格類型に基づいて、被験者がどの性格類型に当てはまるかを判断します。
各性格類型は、分裂質(S)、循環質(Z)、テンカン質(E)、ヒステリー(H)、神経質(N)の5つに分類されます。
フィードバックとカウンセリング
評価結果に基づき、被験者に対して個別のフィードバックを提供します。
このフィードバックでは、被験者の性格特性に関する詳細な解説と、必要に応じてカウンセリングや支援の提案が行われます。