JCS(Japan Coma Scale) – 意識障害の評価方法・分類・メリット・デメリットについて

JCS(Japan Coma Scale) - 意識障害の評価方法・分類・メリット・デメリットについて 検査

意識障害の分類として広く使われているもので“JCS(Japan Coma Scale)”があげられます。
本記事ではこのJCSの評価方法や基準点などについて解説します。


JCS(Japan Coma Scale)とは?

Japan Coma Scale(ジャパン・コーマ・スケール:JCS) とは意識障害の程度(意識レベル)を半定量的に表す方法の一つになります。
1975に日本で提唱された意識障害の分類になります。

特徴

このJCSは対象者への刺激に対する反応の程度を軽度・中等度・高度の3段階に分け、さらにそれぞれを3段階にわけることから、3-3-9度方式と呼ばれているのが特徴にあげられます。
またJCSはくも膜下出血による脳ヘルニアの進行を評価することを目的につくられたため、基本的にその他の意識障害の評価には邪道…という意見もあります。

JCSの分類について

JCSでは対象者の意識レベルを次のように分類します。

Ⅰ.刺激しないでも覚醒している状態

  • 0:意識清明
  • 1:見当識は保たれているが意識清明とは言えない
  • 2:見当識障害がある
  • 3:自分の名前・生年月日が言えない

Ⅱ.刺激に応じて一時的に覚醒する

  • 10:普通の呼びかけで容易に開眼する
  • 20:大声で呼びかけたり、強く体を揺するなどで開眼する
  • 30:痛み刺激を加えつつ、呼びかけを続けると辛うじて開眼する

Ⅲ.刺激しても覚醒しない

  • 100:痛みに対して払いのけるなどの動作をする
  • 200:痛み刺激で手足を動かしたり、顔をしかめたりする
  • 300:痛み刺激に対し全く反応しない

付加情報について

JCSでは上記の分類に加え、次のような付加情報をつける場合もあります。

  • R:不穏(restlessness)
  • I:糞便失禁(incontinence)
  • A:自発性喪失(akinetic mutism、apallic state)

JCSの記述例

では、実際にどのようにJCSは使われるのか、事例として解説します。

Q1

36歳女性。バイク事故により救急搬送される。
呼びかけに対して開眼はみられず、大きな声で呼びかける、痛み刺激を加えると開眼をする反応がみられる。

この状態に対してはJCS 20と表現します。

刺激がない状態では開眼していないことからⅡ桁かⅢ桁。
さらに普通の呼びかけでは開眼しないも、大声や痛み刺激で開眼をすることから20と判断します。

Q2

80歳男性。
家族が訪問したところ玄関で倒れているのを発見し、救急要請をする。
大声で呼びかけても開眼はせず、痛み刺激に対しても全く反応しない。
救急隊員が搬送時に体を持ち上げると失禁していることに気づく。

この状態に対してはJCS 300-Iと表現します。

大声や痛み刺激を加えても開眼しない状態であることからⅢ桁。
それに加え失禁状態でもあることから、300-Iと判断できます。

JCSのメリット・デメリット

JCSを使用する際にあげられるメリットとデメリットについては次の通りになります。

  • メリット:評価基準がわかりやすく国内では広く普及している
  • デメリット:覚醒状態の評価では開眼に重点を置いているため、仮に四肢の運動があったとしても開眼しなければ厳密には3桁になってしまう

意識障害はなによりその情報を素早く伝達する必要があるからね!
JCSのような共通言語を使用することで、早く正確な情報を共有することになりますね!

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