生活を支援する作業療法士としては、どの領域においてもクライアントのメンタルへの介入は必要になってきています。
ましてやメンタルヘルスの重要性が改めて見直されている現在では、精神障害と診断されていなくても、その気質を有しているなどいわゆる予備軍の状態の人が非常に多くいます。
今回はこの「なぜ人は心を病むのか?」というテーマを精神障害の3つの成因から考えてみます。
精神障害の3つの成因について
精神障害は次の3つに分けられます。
- 外因性
- 内因性
- 心因性
以下に詳しく解説します。
外因性(exogenous)
“身体的原因”の一つであるこの“外因性”の定義としては、
すでにその原因や病態が脳の機能的器質的障害によるものと明確になっている
…となります。
これはさらに…
- 身体疾患による精神疾患
- 物質関連障害
…に細分化されます。
ちなみにDSM-Ⅲ-Rまでは“器質性”・“症状性”・“中毒性”の3つだったものが、DSM-Ⅳから外因性はこのように細分化されました。
外因性精神障害の例
外因性精神障害に分類されるものとしての例ですが、次のような疾患が原因としてあげられます。
身体疾患による精神疾患
- 認知症
- 外傷性脳損傷
- 脳腫瘍
- 感染症(単純ヘルペス・麻疹ウイルスなどによる脳炎etc)
- 脳卒中
- 代謝異常(尿毒症、肝性脳症)
- 甲状腺機能低下症、亢進症
物質関連障害
- 薬物中毒
- アルコール中毒
心因性(psychogenic)
精神障害の成因における“心因性”の定義としては。
心理的環境的要因により発症するもの
…とされています。
つまり、何かしらの精神的な負担によって起こる精神障害を心因性精神障害となります。
心因性精神障害の例
心因性精神障害に分類されるものとしての例ですが、次のようなものがあげられます。
- 反応性うつ病
- 不安神経症性障害
- 不適応反応
- ストレス関連障害
内因性(endogenous)
“身体的原因”のもう一つである“内因性”の定義ですが、
原因が十分に明らかにはなっていないものの、遺伝素因やなんらかの進呈的基礎の関与が考えられる
…とされています。
つまり、外因性でも内因性でもないが明確にはよくわからないもの…とされていますが、近年では脳の器質的な問題によって起こる精神障害という認識が一般的といえます。
内因性精神障害の例
内因性精神障害に分類されるものとしての例ですが、次のようなものがあげられます。
- 統合失調症
- 躁うつ病
- 気分障害
まとめ
今回は「なぜ人は心を病むのか?」というテーマを精神障害の3つの成因から考えてみました。
メンタルヘルスに対しての知識は今後どの領域における作業療法士にとっても必要な知識になります。
目の前のクライアントがどうして心を病むのか?
目に見えない心の問題だからこそ、その成因を知り客観的な分析をしていく必要があると言えます。
もちろん精神障害はそれぞれの疾患に明確な線引きが引けないことから、これらの成因が単発でなく複数混在していると捉えたほうが現実的かもしれません。
ただ、それでも病態を理解するプロセスとして“ある程度型に当てはめて解釈”するというフレームワーク的な発想は必要でしょうね!