レム睡眠行動障害 – 頻度や原因、関連疾患や治療などについて

用語

レム睡眠行動障害(RBD)は、レム睡眠中に筋肉の弛緩が欠如し、夢を体現する形での身体活動が生じる睡眠障害です。
本記事ではこの頻度や原因、関連疾患や治療などについて解説します。


レム睡眠行動障害とは?

レム睡眠行動障害(RBD: REM Sleep Behavior Disorder)は、睡眠中に生じる障害の一種で、通常はレム睡眠中に体を動かさないようにするメカニズムが機能しないことによって特徴付けられます。
レム睡眠は、眠りのサイクルの中で最も夢を見やすいフェーズであり、この期間中、脳は活発に活動していますが、正常な状態では筋肉はほとんどまたは完全に弛緩して動かない状態にあります。
これを「筋無力」と呼びます。

レム睡眠行動障害の人は、この筋無力が起きず、睡眠中に夢を体現する形で激しい身体活動を行うことがあります。
これには蹴る、叫ぶ、ベッドから飛び出す、パンチするなどの行動が含まれることがあり、これらの行動は本人や同じベッドを共有する人に怪我をさせる可能性があります。

レム睡眠行動障害の頻度

RBDの発生頻度は、年齢、性別、および地域によって異なるため、正確な全世界的な発生頻度を示すのは難しいです。
しかし、利用可能な研究と文献を基にすると、以下の傾向が見られます。

  • RBDは一般的に中年以降の成人に多く見られ、特に50歳以上での発症が多いと報告されています。
  • 男性における発生頻度が女性よりも高いとされています。いくつかの研究では、男性の患者が女性の患者よりも2〜3倍多いと報告されています。
  • 推定では、全成人の約0.5%から1%がRBDを経験するとされていますが、高齢者ではその頻度が高くなるとも指摘されています。

RBDは、しばしば見過ごされがちな睡眠障害ともいわれているね!
症状が軽い場合や、睡眠中の行動が目撃されない場合には診断が遅れることがあるでしょうね!

レム睡眠行動障害の原因

RBDの原因については…

  • パーキンソン病
  • レビー小体型認知症

…などの神経変性疾患と関連があることが知られています。

以下にそれぞれ解説します。

パーキンソン病

RBDは、特にパーキンソン病と密接に関連しています。
パーキンソン病は、脳内のドーパミンを産生する神経細胞の損失によって特徴づけられる神経変性疾患であり、運動機能障害(手の震え、筋肉の硬直、動作の遅さなど)が主な症状です。
RBDとパーキンソン病の関連は、パーキンソン病の患者がRBDを発症するリスクが一般人口よりも高いことから示されます。

研究によると、RBDはパーキンソン病の早期の兆候である可能性があり、RBDの診断はパーキンソン病の発症前に行われることが多いです。

レビー小体型認知疾患

またレビー小体型認知疾患も、RBDと強く関連している神経変性疾患の一つです。
この疾患は、脳内に異常なタンパク質であるレビー小体が蓄積することによって特徴づけられ、認知障害、幻視、運動障害など多様な症状を引き起こします。
RBDはレビー小体型認知疾患の患者において一般的であり、時には認知症の症状が現れる前にRBDの症状が現れることもあります。
このことから、RBDはレビー小体型認知疾患の早期診断の手がかりとなることがあります。

RBDとレビー小体型認知疾患との関連は、神経変性プロセスが脳の特定の領域に影響を及ぼし、睡眠中の筋肉の制御を乱すことによって説明されます。

レム睡眠行動障害の原因は神経にある?

RBDがパーキンソン病やレビー小体型認知疾患と関連している理由は、これらの疾患が脳の同じ神経回路や神経化学物質に影響を与える可能性があるためです。
具体的には、脳幹の特定の領域がこれらの疾患で損傷を受けると、正常には睡眠中に筋肉を弛緩させる機能が障害され、RBDのような症状が現れます。
また、これらの神経変性疾患の進行は、睡眠覚醒のサイクルを制御する神経系のさらなる損傷を引き起こし、RBDの症状を悪化させることがあります。

このため、RBDはこれらの神経変性疾患の早期発見や進行の監視に役立つ可能性があります。

加えて加齢や特定の薬剤が原因で発症することもあるようだね!
RBDは、時には将来発症する可能性のある神経変性疾患の前兆とみなされることもありますから、早期の診断と適切な治療が重要ですよね!

レム睡眠行動障害の診断

RBDの診断において中心的な役割を果たすのが、ポリソムノグラフィー検査です。
ポリソムノグラフィーは、睡眠中の脳波、筋肉の活動、心拍数、呼吸、および血中酸素レベルなど、複数の身体機能を同時に記録する包括的な睡眠検査です。

この検査は、通常、専門の睡眠医療センターまたは病院の睡眠ラボで一晩かけて行われます。

レム睡眠行動障害の治療

RBDの症状で苦しんでいる本人や家族にとっては「レム睡眠行動障害は治るのか?」と悩むことも多いはずです。
実際のところ、現在では完全に「治る」病気とは言えないようです。
しかし適切な治療によって症状を管理し、生活の質を向上させることは可能です。

治療の目的は、睡眠中の危険な行動を減らし、患者本人や寝ている際のパートナーへの怪我のリスクを最小限に抑えることにあります。

治療方法としては…

  • 薬物療法
  • 環境の安全性の向上
  • ライフスタイルの調整
  • 関連疾患の治療

…があげられます。
以下にそれぞれ解説します。

薬物療法

RBDの治療には、メラトニンやクロナゼパムといった薬剤がよく使用されます。
メラトニンは比較的副作用が少なく、多くの患者に有効です。
クロナゼパムはより強力ですが、高齢者や特定の健康問題を持つ人では副作用が問題となることがあります。

環境の安全性の向上

寝室環境を安全にする措置も重要です。
これには、ベッドから落下しないように側面に柵を設置する、床にクッションを敷く、鋭利なものや壊れやすい物を寝室から取り除くなどの対策が含まれます。

ライフスタイルの調整

カフェインやアルコールの摂取を避ける、規則正しい睡眠習慣を確立するなど、一般的な睡眠衛生の向上もRBDの管理に役立ちます。

関連疾患の治療

RBDがパーキンソン病やレビー小体型認知症などの他の神経変性疾患と関連している場合、それらの疾患の管理もRBDの症状の軽減に寄与することがあります。

特にRBMに対してのリハビリを行う事例は少ないかもしれないけど、背景にある神経疾患を考えればセラピストの介入が必要になるケースはあるだろうね!
環境設定やライフスタイルへの助言などで症状改善につなげられるかもしれませんからね!

レム睡眠行動障害は長期的な見通しが必要

RBDの治療は症状の管理に焦点を当てていますが、RBDを持つ人は将来的にパーキンソン病やレビー小体型認知症などの神経変性疾患を発症するリスクが高いとされています。
そのため、定期的な医療フォローアップが重要であり、早期の介入によってこれらの疾患の影響を最小限に抑えることができるかもしれません。

結論として、RBDは「治る」疾患ではありませんが、適切な治療と管理によって症状を軽減し、患者の生活の質を向上させることが可能です。

レム睡眠行動障害は何科で受診?

RBDの診断と治療は、主に睡眠医療を専門とする医師によって行われます。
そのため、RBDの疑いがある場合は…

  • 睡眠医療センター
  • 神経科(Neurology)
  • 精神科(Psychiatry)
  • 呼吸器科(Pulmonology)

…のような専門の医療機関や科を受診することが推奨されます

睡眠医療センター

睡眠障害全般を扱う専門施設で、睡眠医療に特化した医師が診断と治療を提供します。
ポリソムノグラフィー検査などの専門的な睡眠検査が行われます。

神経科(Neurology)

RBDは神経系の障害と関連があるため、神経科医はこの症状の評価と管理に適任です。
特に、RBDがパーキンソン病やレビー小体型認知症などの神経変性疾患の早期徴候である可能性がある場合には、神経科の専門医が重要な役割を果たします。

精神科(Psychiatry)

睡眠障害は時に精神的な要因によっても引き起こされることがあります。
精神科医は、RBDの背後にある可能性のある精神的な要因や、RBDが精神健康に与える影響に対処するのに役立ちます。

呼吸器科(Pulmonology)

呼吸器系の専門医も睡眠障害、特に睡眠時無呼吸症候群などの治療に携わることがありますが、RBDの診断と治療にも関わることがあります。

RBDの症状がある場合、まずは一般内科医に相談するのがスムーズかもしれないね!
内科医は症状を評価した上で、適切な専門医への紹介を行うことができますからね!

レム睡眠行動障害は20代でも起こるのか?

RBDは、主に中高年の人々に見られる症状であり、20代の若い成人には比較的まれです。
しかし、20代の人々でもRBDが発生することはありますが、その頻度は全体の発生率に比べてかなり低いとされています。

具体的な発生率についての詳細なデータは限られているため、20代の人々におけるRBDの正確な頻度を示すことは難しいですが、全体的な推定値として、RBDは全成人の約0.5%から1%に影響を及ぼすと言われています。
この数値は主に中年から高齢の成人を対象とした研究に基づいています。
20代の成人におけるRBDの発生率は、この推定値よりも明らかに低いと考えられます。

そして20代の人々においてRBDが診断される場合、それは通常、特定の医学的条件や薬剤の使用、または他の睡眠障害との関連がある場合が多いです。
また、若年層でのRBDは、将来的に神経変性疾患を発症するリスクが高いかどうかを示すバイオマーカーとしての可能性についても研究が進められています。

若年者におけるRBDの発生や管理に関する研究はまだ発展途上なんだ!
若年層特有のリスク因子や病態メカニズムについての理解を深めるためには、さらなる研究が必要ですね。

レム睡眠行動障害はストレスでも起こる?

RBDは主に神経変性疾患と関連していますが、ストレスや他の環境要因がRBDの症状を悪化させる可能性があると考えられています。
ストレスは多くの睡眠障害の原因または悪化因子となり得ますが、RBDを直接引き起こす明確なメカニズムは、科学的研究ではまだ完全には理解されていません。

ストレスが高いと、全般的な睡眠の質が低下し、睡眠パターンが乱れることがあります。
これにより、既存の睡眠障害の症状が悪化する場合があります。
RBDの患者では、ストレスが多い時期に症状がより頻繁に、またはより激しく現れることがあると報告されています。

しかしながら、RBDの治療においては、ストレス管理が症状の管理に役立つ可能性があります。
ストレス軽減技術(深呼吸、瞑想、適度な運動など)を取り入れることで、睡眠の質を向上させることができるかもしれません。
それにもかかわらず、RBDの根本的な原因は神経系の問題にあるため、ストレス管理だけでは症状を完全にはコントロールできないことが多いです。

RBDがストレスによって直接引き起こされるわけではないって考えが結論だろうね!
ただストレスが症状の悪化を引き起こす可能性があるため、ストレス管理はRBDの管理戦略の一部として有用って解釈でしょうね!

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