心電図を操作し、記録する役割は主に”臨床検査技師”になります。
しかし、リハビリセラピストもその検査方法を知っておくことは心疾患を抱える患者を支援するためには必要な情報にもなり得ます。
本記事では…
- 心電図の検査方法
- 心電図検査の注意点
…について解説します。
心電図の検査方法
心臓の働きは体の状態やリズムによって変化します。
そのため、必要に応じて心電図を異なる条件下で記録することは臨床的に有益になります。
ここでは、心電図の検査方法として…
- 安静時心電図
- 負荷心電図
- ホルター心電図
- 胎児心電図
…について解説します。
安静時心電図
心臓の電気的活動を落ち着いた状態で臥床して記録する心電図です。
通常は12誘導で行われます。
体を動かしているときには筋肉の電気的活動(筋電図)が混入してしまうため、リラックスして純粋な心電波形を記録することが求められます。
負荷心電図
運動によって心臓に負荷をかけ、その直後の心電図を記録する検査です。
特に労作時狭心症の診断に有用です。
運動負荷の度合いは標準化された計算方法によって決定され、その倍率によってマスターシングルやマスターダブルなどと表現されます。
運動負荷の他に、薬物負荷で代用することも可能です。
ホルター心電図
時折現れる不整脈を捉えるために、携帯式の心電計を24時間装着して記録する方法です。
解析は一部自動化されています。
胎児心電図
産科領域では、母体の腹壁に電極を装着し、得られた波形をデジタル解析することで胎児心電図を描出する技術が開発されました。
これは先天性心疾患の診断や産科医療に役立てられています。
心電図検査の注意点
では、心電図によって心臓の状態を正確に検査するためにはどのような注意点があげられるのでしょうか?
ここでは代表的な…
- 検査前に食事や運動を控えること
- 検査中は動かないようにすること
- 検査中は話さないようにすること
- 電気製品を使用しないようにすること
- 静かな環境で行うこと
…について解説します。
検査前に食事や運動を控えること
心電図検査を受ける前には、食事や激しい運動を控える必要があります。
食事や運動によって心臓の活動が影響を受けるため、正確な結果を得るためには空腹状態での検査が望ましいとされています。
検査中は動かないようにすること
心電図検査中はできるだけ動かず、静かにしていることが重要です。
体の動きや筋肉の収縮は心電図結果にノイズを引き起こし、正確な解釈を妨げる可能性があります。
検査中の安楽な姿勢を取るためのポジショニングなどで、セラピストは貢献できるかもしれません。
検査中は話さないようにすること
心電図検査中は話すことを避けるべきです。
話すことによって呼吸や胸部の動きが変化し、心電図結果に影響を与える可能性があります。
なるべく無口でいることで、正確な結果を得ることができます。
電気製品を使用しないようにすること
心電図検査では、電気信号を計測します。
そのため、検査中は電気製品の使用を避ける必要があります。
電子機器や携帯電話は電気的ノイズを発生させる可能性があり、正確な心電図結果を妨げることがあります。
静かな環境で行うこと
心電図検査は静かな環境で行うべきです。
騒音や外部の刺激が心電図結果に影響を及ぼす可能性があるため、できるだけ静かな場所で検査を受ける必要があります。
静寂な環境は正確な結果を得るために重要です。