リハビリの臨床での筋緊張の検査では”肢位別”で検査することも重要です。
本記事では筋緊張の肢位別検査の方法について解説します。
筋緊張の肢位別検査の方法
筋緊張を”肢位別”で検査する方法、ポイントとして…
- 一定の肢位の維持評価
- 手関節の筋緊張度評価
- バレー徴候の評価
- Mingazzini 試験
- 歩行の観察
…について解説します。
一定の肢位の維持評価
“一定の肢位の維持評価すること”は、筋緊張の検査方法の一つになります。
この評価では、被検者が特定の肢位(体位)をどの程度維持できるかを評価します。
そのプロセスについて以下に簡潔に解説します。
肢位の選定
まず、評価に使用する特定の肢位を選定します。
これは、被検者にとって維持が困難な可能性のある肢位であることが望ましいです。
被検者の配置
被検者を指定された肢位に配置します。
例えば、座位、立位、特定の手足の位置など、評価する肢位に応じて被検者を設定します。
肢位の維持
被検者に、その肢位をできるだけ長く維持するように指示します。
評価の実施
被検者が肢位を維持している間、検査者は時間を計測し、肢位が崩れるまでの時間や、その間に見られる特徴(例:震え、ずれ、姿勢の変化)を観察します。
結果の解釈
健康な人は通常、指定された肢位を長時間維持できます。
しかし、筋緊張に問題がある場合、肢位を維持するのが難しく、早期に崩れたり、震えたりすることがあります。
これらの観察結果から、筋緊張の状態や潜在的な神経学的問題を評価します。
手関節の筋緊張度評価
手関節の筋緊張度評価は、リハビリテーションや神経学的検査において重要な手順の一つです。
この評価は、手関節や腕の筋肉の緊張状態を確認するために行われます。
以下にその具体的な方法を簡潔に説明します。
被検者の準備
被検者を背臥位(仰向けに寝る姿勢)に配置します。
リラックスした状態で行うことが重要です。
手関節の位置決め
被検者に両腕を前方に水平に伸ばし、手関節を自然な状態に保たせます。
このとき、肩や肘がリラックスした状態であることを確認します。
目を閉じる指示
被検者に両目を閉じてもらいます。
これは、視覚的な補助を排除して、筋緊張の自然な状態を評価するためです。
筋緊張の観察
被検者が腕を前方に伸ばしている間、手関節や腕の筋肉の緊張状態を観察します。
健康な筋緊張の場合、腕は安定して水平の位置を保ちます。
筋緊張の低下の確認
筋緊張が低下している場合、被検者は徐々に腕を下げ始めるかもしれません。
これは筋力の低下または筋緊張異常の兆候です。
振動の確認
検者が腕に軽く圧力を加えた後に放すと、正常な筋緊張の場合、腕は元の位置に戻ろうとします。
筋緊張が異常な場合、この動作で腕が振動することがあります。
バレー徴候の評価
a. 上肢のバレー徴候 (Barre’s sign)
立位で被検者の両側上肢を前腕回外位にして、前方に水平に挙上させます。
被検者に目を閉じさせ、そのまま肢位を保持するよう指示します。
錐体路障害がある場合、障害側の上肢の前腕の回内筋の緊張が回外筋よりも強くなり、腕が次第に降下してきます(陽性)。
b. 下肢のバレー徴候 (Barre’s leg sign)
被検者を腹臥位に配置し、両側の下腿を膝関節約135°屈曲位にします。
被検者にこの肢位を保持するよう指示します。
錐体路障害がある場合、障害側の伸筋が屈筋のそれよりも緊張が強くなるため、下腿は次第に降下します(陽性)。
Mingazzini 試験
背臥位をとり、両側の下肢を挙上し、股・膝関節をほぼ90°屈曲させて、空中に保持するように命ずる試験です。
軽度の運動麻痺のある場合、自然に挙げていた下肢が落下します(陽性)。
歩行の観察
歩行中の上肢と下肢の振り(swing)を観察します。
特定の疾患に伴う歩行特徴を評価します。
例えば、片麻痺、パーキンソン病、小脳疾患、痙性、脛骨神経麻痺などによる異常な歩行特徴を観察し、診断に役立てます。