革細工を作業療法の訓練場面でリハビリとして行う。
結構昔から行われている伝統的なアクティビティかと思います。
でも、ここ最近はあまり革細工を導入している作業療法士が少ないような印象を受けます。
そこで今回は、作業療法で革細工ってオワコンなのか?について考えてみます。
革細工とは?
革細工とは…
動物の皮を材料として細工すること
…をいいます。
レザークラフトなんてもいいますね。
革細工は余暇、創作活動
ここで、こんな資料をみてみます。
参考:作業療法ガイドライン(2018年度版)
革細工を「作業療法で用いる作業活動の具体例」で見てみると…
- 革細工は余暇・創作活動に位置する作業活動であること
- 対象としては応用能力、社会適応能力であること
…ってことがわかります。
作業療法で革細工はもう古いの?
作業療法の伝統的な手法である革細工について調べてみると、こんな報告もあります。
身体障害医療領域では OT手段の実施頻度は徒手的訓練が第 1 位(94.3%)であり,以下食事(89.0%),移動・移乗(88.4%),更衣(87.1%)器具を用いた訓練(82.9%)までが上位5位である。
日常生活活動(以下ADL;Activities of Daily Living)に関連する手段や,徒手的あるいは運動療法的な手段の実施頻度が高い一方,革細工(24.7%),籐細工(20.2%),木工(10.9%),陶芸(4.0%)などの創作的手法は実施頻度が低い傾向にある。
他にも,身体障害医療領域の現場では OT の治療手段としての創作活動の使用頻度は低いという報告がある。
参考:「創作活動の治療的応用に関する研究」に関する説明書
作業療法独自の治療手段の一つに「作業活動」がありますが近年,身体障害医療領域の作業療法の臨床では作業活動のうち革細工や木工のような完成物のある創作活動を用いることが少ない現状があります.
参考:身体障害医療領域における 創作活動の治療的応用の促進要件
うーん。
学校のカリキュラムで革細工は習うものの…。
実際の臨床の現場で革細工を利用することって少なくなっているようです。
理由としては…
- 手間がかかる
- 材料費がかかる
- 怪我の心配がある
- うまくできるかわからない
- やり方がそもそもわからない
…などがあげられるようです。
施設基準
参考:理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善検討会報告書
施設基準などの方向で、革細工がどう扱われてるのかも調べてみました。
上の表は、平成29年の理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善検討会報告書に記載があったものです。
あ、機械器具(作業療法士養成施設)の項目です。
少なくても作業療法士の養成校では「革細工を揃えていないとダメよ」ってことでしょうね。
作業療法×革細工の論文やデータを調べてみた
ここまでだと、やっぱり…
- 「革細工は今の作業療法では古いんじゃね?」
- 「革細工ってオワコンなんじゃね?」
…って意見になりそうなので、CiNiiで論文やデータは何かないか調べてみました。
2023年1月にCiNiiで「作業療法 革細工」で検索した結果はこんな感じ。
ヒット数は11件。
キーワードとしては…
- うつ病とパーソナリティ障害の社会復帰
- 統合失調症の意欲向上
- 地域在宅高齢者の社会参加
- 革細工による自己効力感
- 脳梁離断症状を呈した患者の失行症状の軽減
- 集団作業療法
- 基礎作業学実習
…などです。
件数は少ないものの、領域に限らず報告がありますね。
まとめ
長くなりそうなので、いったんまとめます。
今回は作業療法で革細工ってオワコンなのか?について考えてみました。
作業療法で革細工を行っている頻度は少ないってことは事実ですね。
でも少ないながらも、効果があったという報告もあることも事実。
まったくもってオワコンとは言えないと思いますよ。