作業療法って分野は、いまは世界各国で確立しています。
でも世界には作業療法士って何人くらいいるんでしょうか?
また、世界の作業療法士の年収ってどのくらいでしょうか?
これらの疑問と、今後の作業療法士の将来性について考えてみます。
海外の作業療法士について
WFOTの公式サイトによると、2018年の段階では…
- 加盟国数:101ヶ国
- 作業療法士数:55万人
…となっています。
日本とWFOT
日本はWFOT加盟は1972年になります。
最近の加盟国
2018年のWFOT加盟国は…
- バハマ(準会員)
- ポーランド(準会員)
- レバノン(準会員)
- ジャマイカ(準会員)
- ガイアナ(準会員)
- 中国(正会員)
…となっています。
また、キプロス、マダガスカル、ルーマニアは以前から準会員でしたが、2018年に正会員になっています。
海外の作業療法士の人数について
世界の作業療法士数ですが、WFOTが把握している人数としては55万人です。
では、実際各国では作業療法士はどのくらいの人数がいるのでしょうか?
ここではWFOT加盟国のうち、上位5か国においての作業療法士の人数について解説します。
アメリカ
アメリカでの作業療法士の人数は13万400人(2016年)のようです。
ただし、労働統計局(BLS)の調査では、作業療法士として雇用されている人数は10万4500人というデータもあります。
日本
日本での作業療法士の人数ですが、8万4947人(2018年)になります。
ただしこの人数はあくまで有資格者ですので、実際作業療法士として働いている人数はこれよりも少なくなると思います。
ドイツ
ドイツでの作業療法士の数は4万9211人(2018年)のようです。
*2012年は3万5000人
イギリス
イギリスでの作業療法士の人数ですが、4万8000人(2018年)のようです。
*2012年は3万1998人
ブラジル
ブラジルでの作業療法士の人数ですが、1万6400人(2011年)のようです。
*2012年は1万6400人
海外の作業療法士の給料(年収)について
海外の作業療法士の給料(年収)は平均でいくらくらいになるのでしょうか?
これについてもWFOT加盟国の上位5か国で解説します。
注:調査機関や団体、調査した時期や通貨のレートによって多少の違いはありますのでご了承ください。
また為替レートについては本記事執筆日(1ドル=約137円)によるものです。
アメリカ
まず、アメリカの作業療法士の平均給与ですが、年間81,910ドル(1116万6135円)のようです。
ちなみに、2016年のアメリカの平均年収の中央値は59,039ドル(630万8966円)です。
また、日本でも都市部の方が作業療法士の給料が高い傾向にありますが、これはアメリカでも同様のようで、州によって給料の額面も変わってくるようです。
アメリカの作業療法士の平均給料で最高額と最低額の洲は次のようになります。
- ニューヨーク:年収100,536ドル(約1370万5,268円)
- ノースカロライナ:年収71,525ドル(約975万431円)
…のようです。
日本
日本の作業療法士の平均給与ですが、年間427万円(2016年)となっています。
2021年の日本の平均年収は443万円ですから…平均よりも低めのようです(泣)。
参考:https://careergarden.jp/sagyouryouhoushi/salary/
ドイツ
ドイツの作業療法士の平均給与ですが、年間30,600ユーロ(約464万1766円)のようです。
ちなみに2017年のドイツの平均年収は39,000ユーロ(約591万5976円)ですので…こちらでもやや低めかもしれません。
イギリス
イギリスの作業療法士の平均給与ですが年間27,134ポンド(約465万1254円)のようです。
2018年のイギリスの平均年収は28,677ポンド(約491万5752円)とのデータがありますので、平均よりやや低めになります。
ブラジル
ブラジルの作業療法士の平均給与ですが、年間92,829レアル(253万7626円)になります。
2019年のブラジルの平均年収は27,432レアル(74万9896円)とのデータがありますから、比較すると平均よりもかなり高い年収になるようです。
しかしブラジルは非常に格差が激しいこともあり、あまり年収はあてにならない…という見解もあります。
海外の社会問題と作業療法士の将来性を考える
ここでは各国の社会問題を踏まえた、作業療法士の将来性について考えてみます。
アメリカ
アメリカの労働統計局(BLS)によると2016年から2026年にかけて24%増加すると予測されています。
この期間で作業療法分野で31,000の新規雇用を創出する計画のようです。
元々作業療法士という職業もアメリカが発祥ということもあり、今後ますます需要は高まっていくと考えられています。
ニューヨークの小学校での作業療法士の需要が高まっている点からも、発達障害や教育分野での作業療法士の活躍が期待されているとも言えます。
日本
日本の作業療法士の数は、養成校の増加も伴い今後も増えていくと考えられています。
加えて超高齢化社会となる可能性も高く、特に高齢者医療、介護分野における需要は高まっていくと考えられています。
しかし、医療費削減などの政策の関係も考えると…20年前のような「作業療法士=医療職=将来は安心」というのは難しいかもしれません。
ドイツ
ドイツの将来の問題としては、少子高齢化と移民問題になります。
少子高齢化という問題ですが、2050年の高齢化率は32・7%と予測されています(日本:38・8%)。
それに加えて移民、難民の問題も加わってくるため非常に多様性に富んだ社会になると予測されています。
ドイツの作業療法士が関わるテーマとしては地域コミュニティや雇用、メンタルヘルスなど多岐にわたるかと思います。
イギリス
イギリスも日本ほどではないですが、高齢化率は高まっています。
それに加えて貧富の差も激しくなっており、貧困問題も非常に顕在化しています。
そういった社会問題に対応できる作業療法士も求められてくると考えられています。
ブラジル
前述したように、ブラジルは非常に格差社会でもあることが問題としてあげられます。
都市部と地方の医療水準の格差もあるため、作業療法士による支援がきちんと行き届いているか?というとかなり難しいのが現状とも言えます。
今後需要と供給のバランスを整えていく政策自体が求められるかと思います。
まとめ
今回は海外の作業療法士の人数や年収などから、社会問題に対しての需要、将来性などについて解説しました。
こうしてみても、給料面は置いといて…今後作業療法士の需要は増加していくと考えられます。
でも、それって他分野にも広がったうえでの話かもしれません。
教育や貧困、雇用といった社会問題にも支援できるセラピストも求められてくる可能性があるといえます。