眼球運動障害の一つに”Parinaud (パリノー)症候群”があります。
本記事では、定義や症状などについて解説します。
Parinaud (パリノー)症候群とは?
Parinaud症候群(中脳背側症候群)は、フランスの眼科医Henri Parinaud(1844-1905)が垂直共同視麻痺について記載したことから名付けられた症候であり、上方共同注視麻痺を指します。
Parinaud (パリノー)症候群の原因
パリノー症候群の原因としては中脳を圧迫する松果体腫瘍や,より頻度は低いが中脳視蓋前域の腫瘍または梗塞があります。
Parinaud (パリノー)症候群の症状
パリノー症候群の症状についてですが…
- 上方注視麻痺
- 下方注視傾向(落陽現象)
- 眼瞼後退(Collier徴候)
- 輻輳後退眼振
- 対光近見反応解離
…などが特徴的といえます。
以下にそれぞれ解説します。
上方注視麻痺
両眼を上転できなくなり、上方注視時に垂直眼振が起こります。
下方注視傾向(落陽現象)
パリノー症候群の場合、上方注視麻痺の影響から下を向く傾向があります。
眼瞼後退(Collier徴候)
眼瞼後退(Collier徴候)とは、まぶたが後退することで、目が窪んで見える状態を指します。
パリノー症候群の人には、この徴候が見られることがあります。
輻輳後退眼振
輻輳後退眼振とは、両眼が外側に向かって動く現象を指します。
対光近見反応解離
パリノー症候群の場合、瞳孔は散大する傾向にあります(約6mm)。
そして光にあまり反応しなくなりますが、調節にはよく反応する”対光近見反応解離”が症状としてみられるようになります。
Parinaud (パリノー)症候群の治療法
パリノー症候群には特別な治療法は存在しませんが、もし原因が特定できる場合はその原因に対する治療を行います。
例えば、松果体腫瘍が原因の場合は手術が必要なことがあります。
松果体腫瘍は脳の中脳領域を圧迫して上方注視麻痺を引き起こすことがありますが、適切なタイミングでの手術によって腫瘍を除去することで、症状の改善が期待できます。
パリノー症候群の他の原因としては、中脳視蓋前域の腫瘍や梗塞が挙げられますが、これらの場合も原因に対する適切な治療を行うことが重要です。
ただし、症状が進行してしまった場合や原因が特定できない場合は、症状の緩和や患者の生活のサポートが主な治療となります。
結局のところ、パリノー症候群の治療は原因の特定とそれに基づく適切な対処が重要であり、個々の症例に合わせたアプローチが必要となります。