よく「私の趣味は人間観察です」なんて人いるじゃないですか。
あれ、本当に観察できてるのかなと。
作業療法士なんて人を相手の仕事をしているからこそ余計、他人を観察するって難しいことだと思っています。
では、その観察を高めるにはどうしたらよいのかなと、疑問が浮かんだのでまとめてみました。
そこで今回は“観察力”を高める方法について。
ちなみに趣味が人間観察なんていう人は、本当は無趣味なことが多いと思うんです(笑)
観察とは?
そもそも“観察”ってなにを指すのでしょうか?
定義的なものは次のとおり。
観察とは…
- 対象の実態を知るために注意深く見ること
- その様子を見て、その変化を記録すること
…とあります。
つまり、どれだけ対象の変化を見つけられるか?が重要になってきます。
観察という言葉から意味を考える
ちなみに観察の「観」という漢字は、見ること・眺めることに加えて…
- 直観
- 人間観
- 人生観
- 楽観
- 悲観
…といった心中にとらえる見方を意味します。
また、「察」という漢字は…
- 詳しく調べる事
- 察知
- 推察
- 明察
…のように“推し測ること”という意味も含んでいます。
これらのことから、“観察する”ということは…
相手をただぼんやり眺めるだけではなく、情報を得ようと意識的に観る事
…といえます。
観察するってことは、とても能動的な行為なんですね。
観察力を高めるための3つのステップ
では、ここからが本題。
作業療法士は、臨床でクライアントから情報を意図的に得ようとする“観察”のスキルを高める必要があります。
そのためには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか?
ここでは、次の3つのステップで説明します。
- フォーカスする
- 類推する
- フィードバックする
以下に解説します。
1.フォーカスする
観察には、クライアントの事象一つ一つに焦点を合わせフォーカスします。
その際、できる限り客観的に捉えることが重要です。
さらに、それぞれ観察をして気づいたことを箇条書きしていきます。
端的に羅列していくことは、より多くのモノゴトを観察し捉えるためのコツと言えます。
2.類推する
フォーカスし観察したポイントから、次はそのポイントの“関係性”と“背景”を推理していきます。
それぞれフォーカスして得られたポイントを…
- つなげる
- まとめる
- さらに広げていく
…というイメージだとわかりやすいかなと思います。
3.フィードバックする
ここでは観察で得られた情報の“答え合わせ”の工程とも言えます。
その答え合わせの方法は様々ですが、あくまで観察以外の方法を使用すること…とも言えます。
- 実際に測定してみる
- 動かしてみる
- 公式の検査、テストを用いる
- 本人へ聴取してみる
…こういった例があげられます。
いずれにしても、観察で得た情報の精度を上げるためには、観察以外の評価の結果と照らし合わせてみることが必要と言えます。
この3つのステップを繰り返し行うことで、人に対する観察力を高めることができます!
観察力を高めるコツ
では、この「観察力」を効率よく高めるためにはどうしたらよいでしょうか?
「普段から何気ない変化に気づくよう心掛ける」ことも大事ですが、どうしても個人差ができてしまいます。
経験を重ねることである一定の観察力は身に付きますが、やはり短期間で効率的に鍛えるには、「観察のための知識」を得る事だと考えます。
例として、相手が疲労しているかどうかを観察するには、ただ闇雲に観察するよりは次のようなポイントを抑えて観察するという方法もあります。
- 表情運動の不活発
- 口のまがったような笑い
- 眼球運動の遅鈍化
- 瞳孔縮小
- 生あくび
- 乾燥した舌
- 何度も聞き返す
- ためいき
- 肩が落ちる
一部抜粋:疲労の研究(1960)
こういった、観察目標に関する知識があるのとないのとでは、その結果に大きな違いが出てきてしまいます。
「観察するにもセンスがない…」と嘆く前に、知識を得る事でしっかりとそのセンスを補うことができるはずです。
まとめ
本記事では、“観察力”を高める3つのステップについて解説しました。
セラピストという職業は、クライアントのちょっとした変化を見逃さないように観察することは日常茶飯事と言えます。
逆に変にそういうクセがついている物だから、人のことはちょっと色眼鏡で見てしまう部分もあるかもしれません。
先入観なしに、観る必要があるので注意が必要ですね。