作業療法士がクライアントに対しての評価段階で行われるものに“面接”があります。
普段何気なく行っているものですし、作業療法士にとっては当たり前のことかもしれません。
でも目的を持たずに行えば、得られる情報は限られてしまいます。
そこで今回は臨床や現場における作業療法士が行う面接の目的について解説します。
そもそも面接とは?
ここでいう面接とは次のような定義のものになります。
面接(めんせつ)とは、人物像や能力を見たり聞いたりするために、直接会って対話などをする行為をいう。
引用:wikipedia
一般的に「面接」というと“入学試験”や“就職活動”で行われるようなイメージですが、作業療法士によるリハビリテーションの介入場面でも行われます。
とはいっても、「昨日の夜肩が痛かったみたいですが、今はどうですか?」なんてごく普通にあるような介入場面も広義では「面接」とも言えますので、常に意識せずに行っている行為とも言えるかもしれませんね!
作業療法士による面接の2つの目的について
では普段から行っているような「面接」ですが、改めてその目的とはなんでしょうか?
大きく分けると次の2点になると言えます。
- 情報収集としての面接
- 関係性構築のための面接
以下にそれぞれ解説します。
情報収集としての面接
1つは、クライアントの過去、現在、そして今後の将来の問題についての事実とニーズ、そして考え方などについて聴衆し、情報収集するということです。
質問紙を使用したインテーク情報やカルテといった紙面上においての情報収集では、既往歴や現病歴、家族状況や家屋構造といった情報は収集できます。
でも、それだけだどその背景やクライアントが抱いている感情といった細かい点までは拾うことが難しくなってしまいます。
また評価手法の一つである「観察」では、どうしても作業療法士による判断に依存するものです。
情報としてはややバイアスがかかったものになってしまう傾向にもあります。
目的のある面接によってクライアントの表情や態度、動作やしぐさを観察し、さらに声量の変化やトーンの変化、抑揚といったことにまで注意を向けると、1つの情報にもより深みができてくるはずです。
関係性構築の為の面接
面接のもう一つの目的としては「関係性(ラポール)の構築」があげられます。
特に初回面接のときはクライアント自身も不安感でいっぱいのはずです。
その後の介入をスムーズにするためにも、傾聴を軸にした面接を行う必要性があります。
まとめ
今回は臨床や現場における作業療法士が行う面接の目的について解説しました。
何気なく行っているような声掛けや、質問も広義の意味では「面接」と言えます。
ただし「面接とは目的を持った会話である」と言われているように、そのやり取りを「雑談」にするかどうかはセラピスト側の意識の違いによって大きく変わってきます。
目に見えない部分まで情報収集し、さらにクライアントとの関係性を構築する…という目的をしっかり持ったうえで、面接を行う必要があります。