障害者雇用、高齢者の就労などを調べると、必ず雇用する側である事業主の「企業の社会的責任」というキーワードがでてきます。
CSRという呼び方でも浸透していますし、なんとなくは聞いたことがあるかもしれません。
でも就労支援に関わっていても、しっかりとその内容までは理解している人は少ないのかもしれません。
そこで今回はこの企業の社会的責任(CSR)について解説します。
企業の社会的責任(CSR)とは?
企業の社会的責任とは…
企業が倫理的観点から事業活動を通じて、自主的(ボランタリー)に社会に貢献する責任
…を言います。
CSRの正式名称について
ちなみにCSRは“corporate social responsibility”の略称になります。
CSRはドイツ生まれの考え方?
同族企業の多いドイツ帝国では企業が社会貢献をする必要性を強く考えていた背景もあってか、CSRという考え方は元々ドイツで生まれたという見方がされています。
実際、ドイツの企業はその規模に関わらず非常に社会貢献に力を入れているケースが多く見受けられます。
その内容としては…
- 団体や自治体、教区との関
- NPOとの関与
- 学校へのスポンサー
- 文化・スポーツへのスポンサリング
- 社会福祉・家族・健康への貢献
…などがあげられます。
CSRの根幹はステークホルダーとの良好な関係を築くこと
その企業に関わる消費者や取引先、投資家、そして社会全体といった利害関係者を、“ステークホルダー”と呼びます。
企業は利益を追求するだけでなく、このステークホルダ―からの要求に対して適切な意思決定を行い良好な関係を継続的に築いていくこと…が求められています。
つまりその企業に関わっている人が、利益だけではなく社会的な評価のためにも、CSRを意識することが企業にも求められている…ということでしょうね。
企業がCSR活動を行うメリットについて
企業がCSR活動を行うメリットについてですが、次のようなものがあげられます。
- 企業評価の向上
- イノベーションの創出
- 企業のブランディングと差別化
- コンプライアンス体制の強化
- 経営の安定化
以下にそれぞれ解説します。
企業評価の向上
CSR活動を行うことでその企業のブランドの向上や、企業評価(レピュテーション)の向上が期待できます。
商品やサービスといった事業そのものによる認識だけでない、“社会貢献”という枠組みでの企業への認識がされることは、イメージアップにもつながります。
イノベーションの創出
CSR活動は基本的には事業利益を最優先にしていない活動です。
イノベーションを生むには何より柔軟なアイディア、発想が必要になりますが、利益を最優先にしている状況や環境ではなかなか生まれにくくなってしまいます。
つまり、利益を最優先にしていない、社会活動を軸にしているCSR活動を通すことは非常に新しいサービスや商品を考えやすくするためのプロセスになり得るということです。
その結果イノベーションを生みやすい環境となることが期待できます。
企業のブランドイメージの構築
現在は一つの商品やサービスに対して多くの同じような競合がすぐに表れ、その結果価格競争に陥ってしまう流れが多くあります。
これは中小企業ならなおさらと言えます。
いかにその企業のブランドを確立し、競合他社との差別化を図るか?という点はどんな事業、サービスを扱っていたとしても共通の課題といえます。
商品やサービスそのものではなく、その企業がいかに社会貢献をしているかという事業そのものとは違った角度からのブランディングは、CSR活動を通すことで可能だと考えられます。
コンプライアンス体制の強化
最近ではいかに事業そのものが順調でも、不祥事や違反事項といった“コンプライアンス”に反した行動によって一気にその企業イメージが下がってしまうことが多くあります。
企業の社会的責任を意識するということは、このコンプライアンス違反を防止するということにもつながります。
企業のコンプライアンス体制を強化し、企業そのものを守るためにもCSR活動を通して多くの社会貢献というものを学ぶ必要があると言えます。
経営の安定化
CSR活動は長期的な視点では企業の利益向上に貢献することも期待できます。
上述した項目それぞれが、遠回りでも企業の利益につながっていく…というのはイメージできるかと思います。
企業の利益を最優線にしていないCSR活動が、結果として企業の利益に貢献する…という構図は非常に皮肉かもしれませんけどね。
CSRの事例
では、実際にCSR活動の事例やケースについてですが、一部ご紹介します。
ブリヂストン
自動車などのタイヤを手掛ける“ブリヂストン”のCSR活動ですが…
- 森林保全活動:工場など国内事業拠点の周辺に森林整備区域「エコピアの森」を設け、間伐などの森林保全活動の推進
- 学校教育活動:事業所周辺の小学校に直接訪問し、会社(ものづくり)の仕組み、それにまつわる仕事、そして会社の環境への取り組みを学ぶことができる授業や、「環境にやさしいタイヤとクルマ」をテーマにした教育活動
…などがあげられます。
KDDI
携帯電話や通信事業を手掛けている“KDDI”ですが実は“地域連携”や“地方創生”を含めた様々なCSR活動を行っています。
- 離島応援施策「しまものプロジェクト」:離島地域の暮らしを守り、より多くの人に離島地域の魅力を知ってもらい、離島地域をより元気にしていくことを目的として行っている活動です。
- KDDIの情報モラル講座:青少年や高齢者に対しての携帯電話やインターネットに関わるトラブル、事件といったリスク回避のための講座の実施や、高齢者向けのタブレット操作の講座などを行っています。
ソフトバンク
通信会社の“ソフトバンク”が行っているCSR活動の一つに、“Pepper”を使った高齢者向けリハビリテーションやレクリエーションのサポートを行っているようです。
その結果、職員不足の解消や斬新なレクリエーション、リハビリテーションプログラムの提供といったメリットを得られたようです。
参考:Pepper導入事例
ただここ最近ではこのペッパー事業は撤退した…なんて報道もありましたけどね。
まとめ
本記事では、企業の社会的責任(CSR)について解説しました。
企業が安定した経営をし、生き残っていくためにはこのCSRという考え方は非常に重要になってくると思います。
利益を追求することは非常に重要です。
でも、今後の社会ではそこだけを最優先にしてしまい、社会貢献を疎かにすることは非常に致命的になっていくと思います。