職業的発達段階の課題とは?【働き方を年齢別に5ステップで考えます】

仕事や職業って、その年齢によって捉え方が変わってきます。

  • 小さい時はただ単純に、好きなことの延長に将来の夢がありました。
  • 学生時代は自分の学力と照らし合わせて進路を考えました。
  • 社会人になり、疑問を持ちながら「これでいいんだ」なんて言い聞かせながら仕事をするようになりました。

…こんな人も多いかと思います。

誰でもみんな同じペースで年齢を重ねていきます。
そうなると仕事や働き方に対しての価値観、考え方もどのように変化していくのか。
この職業に対しての発達の段階を知ることで、今自分がどの段階にいるのかを参考にすることができます。

そこで本記事では、職業的発達段階について解説します。

この記事が、今現在働き方について悩んでいたり、苦しんでいたりする…なんて方の一助になれれば幸いです。

職業的発達段階について

“Super”は1957年に人の職業的発達は自己(自我)概念(self-concept)の形成であると提唱しました。
そして、“Bushler”や“Ginzberg”の自我意識の発達の研究を基に、人の職業生活を次のような段階分けしています。

  • A.成長段階
  • B.探索段階
  • C.確立段階
  • D.維持段階
  • E.下降段階

そしてその後Jordanと共に児童期から成人期に至るまでの職業的発達段階、職業的発達課題を改訂し、新たに設定しています。
以下にそれぞれ解説します。

A.成長段階(児童期・青年前期:0~15歳)

自分がどういう人間であるかについてイメージを形作り知っていく段階がこの“成長段階”にあたります。
「大きくなったら何になりたい?」という質問によって仕事の世界に対する方向付けを発展させ、働くことの意味を理解する時期にもなります。

その為の具体的な場面としては、児童期では「○○ごっこ遊び」を通して、学校での「○○係」「○○委員」といった“役割実演”や余暇、その他の活動への参加を通して学んでいく機会が多くあります。
この機会で自分が何を何をうまくやれるか、何を好むか、どんな点で他の人と違うかということを学んでいく重要な時期と言えます。

B.探索段階(青年期と成人前期:15歳~24歳)

青年期と成人前期この探索段階は、さらに次の3段階に分けられます。

  • 1.暫定的な時期(青年前期・中期)
  • 2.移行的な時期(青年後期・成人前期)
  • 3.実践試行的な時期(成人前期)

1.暫定的な時期(青年前期・中期)

職業についての希望を結晶化していく時期です。
自分に適当だと思う仕事の分野と水準が見分けられる段階になります。
自分の欲求や興味、能力、価値観などから“試し”の職業選択をする時期に位置します。

2.移行的な時期(青年後期・成人前期)

職業についての希望を特定化していく時期。
学校を経て専門訓練や労働市場に入り、自己概念の充実を図ろうとする段階になります。
おおまかな予想を1つの選択へと絞っていく時期に位置します。

3.実践試行的な時期(成人前期)

職業への希望を実現していく時期。
自分に適すると思われる職業がつきとめられ、それに対して準備をし、初歩的な職務が遂行され、ライフワークとできるかどうかが試みられる段階になります。
そしてそれが生涯にわたる自分の職業となるかどうかを考えます。
ただし、この職業に対する実践はまだ準備的なもので、職務上または訓練の中で遭遇する経験によって強まったり弱まったりもします。
もし弱まった場合は他の分野を考えるようになり、再度その速行に対する方向付けを行っていき、実現していくプロセスを繰り返していきます。

C.確立段階(成人前期から中期:25~44歳

さて、成人前期にはいると確立段階に移行します。
この確立段階はさらに次の2段階に分けられます。

  • 1.実践試行の時期(成人前期から30歳頃まで)
  • 2.昇進・飛躍の時期(30歳代~40歳代中期)

1.実践試行の時期(成人前期から30歳頃まで)

この時期は実際に就いた職業に満足できなかったり、あるいは深い自己吟味をせずに転職したりする時期に位置します。
必用な技術、訓練、仕事の経験を得たので自分をその職業に託し、そのなかで自分の場所を確立しようとします。
その後起こる変化は同じ職業の中での地位、職務、雇用上の変化となります。

2.昇進・飛躍の時期(30歳代~40歳代中期)

経験を積み、後輩や部下ができ、また能力を高めることによってその地位を確かなものにしていく時期に位置します。
役割遂行と自己吟味の結果、適切な分野を見出し、職業生活の安定と地位の確保のための努力がなされる段階でもあります。
職業人生において、最も創造的と言われている時期でもあります。

D.維持段階(40歳半ば~定年退職)

そして40歳も半ばに差し掛かってくると、維持段階に移行していきます。
これは職業の持続、それに付随する社会的地位や自己表現の場の維持などに努力する時期に位置します。
若年期は競争が激しく、新奇な発想が豊富なのに比べて、この時期は現状の地位を保持していくことに注力されていく段階とも言えます。

E.下降段階(退職後:65歳~)

定年退職した後、再就職した人も職業生活から一歩退く時期に位置します。
70歳になるとほとんどの人は離職し、職業上の役割をなくす段階になります。
そしてここからは人によっては地域活動での役割や、孫の面倒・家事などの家庭での役割など毎日の仕事を持つこともあります。

離職・転職を職業的発達段階で考えてみる

上記のように職業的発達段階のプロセスをみてみると、一般的にある“離職”や“転職”への欲求は極自然な流れな印象を受けます。
小さい時は「将来○○になるんだ!」という大きな夢がありました。
その後自分の能力や環境によって多少の変化…より現実的なものへ変化し、一度はその職業に就くもそこでの働き方に疑問を持ち、離職や転職という選択肢を選ぶ…。

もちろんこのサイクルは人によって違いはありますし、できるだけ早く『維持段階』に到達できれば安定もするのかもしれません。
いつまでも「自分の天職はこれではない!」といって『確立段階の実践試行の時期』で留まったままでは、就職と転職を繰り返していくだけになってしまいますからね。
その結果いつまでも「本当の自分探し」になってしまい、ただただ苦しいだけでなく、社会的地位の低下、経済的生活の質の低下に繋がっていってしまうリスクがあります。

退職後の役割を職業的発達段階で考えてみる

職業的発達段階における『下降段階』では、『退職』という職業上の役割を失うライフイベントを経験し、役割を“地域”や“家庭内”に位置づけようとします。
多くの女性の場合もともと前段階から“地域”や“家庭”での役割が大なり小なりありました。
そのため、この職業上の役割から地域・家庭内への役割の移行期においては柔軟に自分を位置づけることができます。

でも、「仕事一筋」だった昭和世代の男性にとっては難しい場合が多いようです。
退職後、何もすることなく、何も役割もなく家でボーっとしている…なんて場合の多くのこの状態になっているのだと考えられます。

まとめ

本記事では、職業的発達段階の課題について、SuperやJordanによる職業的発達段階、職業的発達課題を基礎に解説しました。

こうしてまとめてみると、改めて世の中の「働き方」における課題解決に、作業療法士が関わることが今後必要になってくると思うんですよね!

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