IADL、APDL評価方法の一つにCIQ(Community Intergration Questionnaire:地域社会への統合についての質問紙)があります。
今回はこのCIQについて解説します。
CIQについて
CIQ(Community Intergration Questionnaire)はWillerによって発表された評価方法です。
国際障害分類がICIDHの時代につくられているため、「社会的不利」という表現がされていましたが、質問項目やその狙い、目的からもICFにおける「社会参加」にも適応できる評価方法ということもわかっています。
対象と目的
主に外傷性脳損傷(Traumatic Brain Injury:TBI)を対象としており、社会的不利の状況や社会参加状況(特に社会統合)を評価するのが目的とされています。
評価方法について
CIQは、家事、買い物、日常の用向き、レジャー活動、友人訪問、社会活動、生産活動といった15項目の質問から構成されています。
また15の質問項目はそれぞれ「家庭内活動」「社会活動」「生産活動」の3つのカテゴリーに分類されます。
家庭内活動(CIQ-H)
- 1.日常の買い物は?
- 2.毎日の食事の準備は?
- 3.毎日の家事は?
- 4.子供の世話は?
- 5.家族や友人訪問の計画は?
社会活動(CIQ-S)
- 6.家計管理は?
- 7.買い物は1ヶ月に何回?
- 8.1ヶ月に何回映画、スポーツ観戦、外食に行くか?
- 9.1ヶ月に何回友人や親せきの訪問に行くか?
- 10.余暇活動は誰と?
- 11.信頼できる人は?
生産活動(CIQ-P)
- 12.外出の頻度は?
- 13.現在、あるいは、過去1ヶ月の就労状況は?
- 14.現在、あるいは、過去1ヶ月の就学あるいは職業訓練状況は?
- 15過去1ヶ月のボランティア活動の状況は?
採点方法
上記の15の質問に対して、「自分でできているか、実施頻度はどうか」を評価基準にして採点を行います。
家庭内活動(CIQ-H)
質問項目 | 2点 | 1点 | 0点 |
---|---|---|---|
1.日常の買い物は? | 自立 | 1人or介助にて | 介助にて |
2.毎日の食事の準備は? | 自立 | 1人or介助にて | 介助にて |
3.毎日の家事は? | 自立 | 1人or介助にて | 介助にて |
4.子供の世話は? | 自立 | 1人or介助にて | 介助にて |
5.家族や友人訪問の計画は? | 自立 | 1人or介助にて | 介助にて |
社会活動(CIQ-S)
質問項目 | 2点 | 1点 | 0点 |
---|---|---|---|
6.家計管理は? | 自立 | 1人or介助にて | 介助にて |
7.買い物は1ヶ月に何回? | 5回 | 1~4回 | なし |
8.1ヶ月に何回映画、スポーツ観戦、外食に行くか? | 5回 | 1~4回 | なし |
9.1ヶ月に何回友人や親せきの訪問に行くか? | 5回 | 1~4回 | なし |
10.余暇活動は誰と? | TBIがない友人と過ごすor家族や友人どちらとも過ごす | ほぼTBIの友人と過ごすorほぼ家族とすごす | ほぼ独りで過ごす |
11.信頼できる人は? | いる | いない |
生産活動(CIQ-P)
質問項目 | 2点 | 1点 | 0点 |
---|---|---|---|
12.外出の頻度は? | ほぼ毎日 | ほぼ毎週 | めったにない、ほぼない(週に1回未満) |
質問13~15に関しては、組み合わせて評価します。
5点 | 4点 | 3点 | 2点 | 1点 | 0点 |
---|---|---|---|---|---|
フルタイムで働きながら定時制学校に通うorパートタイムで働きながら学校に通う | フルタイムで働くor学校に通う | パートタイムで働くor定時制学校に通う | 積極的に仕事を探しているor/andボランティア活動を月に5回以上行っている | 働いておらず、仕事も探していないし学校にも通っていないが週に1~4回程度ボランティア活動をしている | 働いても仕事を探してもいないし、学校にも通っていないしボランティア活動もしていない |
これらの質問と配点によって、家庭内での活動、社会参加、生産活動それぞれのカテゴリー点数と、合計点数をだすことができます。
CIQのカットオフ値について
CIQは特にカットオフ値などが定められているわけではないようです。
たしかに何をもって社会参加できているか?って人それぞれですからね。
そう考えると、「病前との点数と相対的に比べてみる」…のような使用方法がよいでしょうね。
CIQはTBIのクライアントを対象としてつくられた評価スケールだけど、他の疾患や障害にも転用できると考えられるね!
またリハビリの介入前と後の変化を点数化して比較できる…という点からも、アウトカム評価としても有用といえますね!