労働と疲労について
作業療法士として就労支援や働きにくさへのリハビリを考える際、クライアントの精神的、身体的能力を評価することはもちろん必要です。
でも、その労働によってもたらされる疲労と疲労回復に対する視点をもつことも非常に重要なことになります。
以下にその疲労に関する各要因について項目だけですがさらっとまとめてみました。
A.職務関係
職務関係なので、ここでの項目は仕事や業務そのものに関わるものですね。
- 1.職務の強度性
- 2.職務の責任度
- 3.労働速度
- 4.職務の危険度
- 5.職業不安定度
- 6.労働条件
- 7.労働時間
- 8.休憩時間
- 9.人間関係(対人接触度)
- 10.職務経験度
- 11.勤務時間
- 12.食事休憩時間
- 13.人間-機械システム度合
- 14.職務の判断次元
どれだけその業務にストレスなく取り組めるか?って部分がポイントかなと。
業務内容や経験値などが関わってきます。
新人とベテランだったら、同じ業務でも大きく変わってきますからね。
B.家庭状況
ここでは、家庭の状況に関わる項目です。
- 1.人間関係の不調度
- 2.経済的不安度
- 3.生活の不規則度
- 4.生活時間構造の健全度
- 5.生活休養度
- 6.余暇度
- 7.家事労働度
仕事をするにも家庭生活がしっかり整っていないと疲れてしまいますからね。
家庭がボロボロだったら、仕事もボロボロです。
きっついな、それ。。
C.自己状況
自分自身の状況や状態に関わる項目です。
- 1.職務の適正度
- 2.身体的要因
- 3.精神的要因
- 4.性格的要因
- 5.疲労体質
- 6.生活リズム
- 7.栄養摂取量
なによりも自分自身が疲れやすい体質なのかを知ることも大切です。
フィジカルもメンタルもどちらもです。
D.通勤状況
家と職場の距離や通勤状況に関する項目です。
- 1.混雑度
- 2.通勤時間(全体)
- 3.通勤時間(徒歩)
- 4.乗り換え度
- 5.通勤の他の要因
通勤時間が長かったり、大変だったりすればそれだけで疲れてしまいます。
何時間も満員電車通勤なんてカオスですよ。
E.労働環境
仕事をする環境そのものに関わる項目です。
- 1.温湿度
- 2.照明度
- 3.騒音度
- 4.色彩調節度
- 5.振動度
- 6.塵埃度
- 7.空気流通度
- 8.大気汚染度
- 9.有毒度
職場環境が体そのものにどの程度ダメージを与えるものかどうかって部分も、健康維持には重要ですね。
おしゃれなビルの一室なのか、ほこりが舞うような現場なのかによって疲れも大きく変わってきますから。
疲労度は評価できる?
さて、問題はこれらの疲労度の要因をどう評価するかになります。
何事も評価するには、数値化してみないことには始まりません。
“A-7:労働時間”や、“D-2:通勤時間”などは単純に数値化できるので問題ありませんね。
でも、“B-1:人間関係の不調度”や“C-4:性格的要因”といった定性的な項目は、人によって様々です。
こういう項目は非常に数値化しにくいので、評価としての値を算出しにくいと思います。
KPI分析って方法がよいのかも
とはいっても数値化できるものは数値化して評価する必要があります。
そこで、こう言った場合はKPI分析(Key Performance Indicator)と呼ばれる分析方法が候補としてあげられます。
KPIとは、業務のパフォーマンスを計測・監視するために置く指標のことを言います。
これら各疲労度項目それぞれにKPI分析による評価方法を当てはめることで、ある程度の精度の評価ツールとして利用できるのかもしれません(あくまで仮説ですが)。
疲労度を評価するスマホアプリ“FHM Lite”について
疲労度を簡易的にでも評価するツールはないものかと思い探してみたら、「FHM Lite」というスマホ無料アプリがありました!
これは“フリッカー値”という疲労度を測るための一つの指標を使用しているのですが、このフリッカー値とは、
光が高速で点滅している状態だと人間にはそれが点滅していると認識出来ないが、その点滅の速度(周波数)を落としていくと、ある時点で光が点滅している事が認識出来る(ちらついて見える)閾値が存在する。この閾値をフリッカー値と言い、疲労が蓄積しているほど「ちらつき」を認識できる周波数帯域が低くなる傾向が分かっており、人間の疲労度を客観的に測る指標として有効なものであると考えられている。
引用:過労による大事故を防ぐベンチャー「フリッカーヘルスマネジメント株式会社」
…とあります。
検査時間も1,2分程度ですので自分の疲労度を簡易的にでも客観視できるので便利なツールと言えます。