QOLの定義を考える場合、様々な視点や価値観があるため一概にこれ!とは言えないのが本当のところです。
- 人によっては健康を重要視するだろうし…
- また違う人によっては、経済的な安定に重きを置くかもしれない
- 家族や友人との交流を大事にする人だっている
価値観や考え方はそれぞれですから、生活の質を何を軸にしているのかは千差万別です。
そこで今回は、QOLの定義でも有名な“Spilker B.”によるQOLの定義モデルについて解説します。
このQOLの定義モデルを枠組みとして使用することで、クライアントのQOLをあげるための方法を見つける事ができると思いますよ。
Spilker B.によるQOLの定義モデル
アメリカの医学研究者である“Spilker B”によると、QOLは次の5つに分類されます。
- 身体的状態
- 心理的状態
- 社会的交流
- 経済的、職業的状態
- 宗教的、霊的状態
これらの分類された5つ(レベル2)を基礎に、各領域それぞれを構成する要素(レベル1)、さらにレベル2の5つの領域すべてを包括的に評価したQOL(レベル3)で構成されていると定義しています。
以下にこの5つの分類それぞれに、QOL評価法の評価対象項目を以下にそれぞれ振り分けて解説します。
身体的状態
QOLの各評価方法を基礎にこの身体的状態とは何が当てはまるのかというと次のようになります。
- 睡眠と休息(SIP・NHP)
- 食事(SIP)
- 歩行(SIP)
- 移動(SIP・EQ-5D)
- 身体、セルフケア(SIP・EQ-5D)
- 覚醒行動(SIP)
- 身体的機能(NHP・SF-36)
- 痛み(NHP・SF-36・EQ-5D)
*注
- SIP:Sickness Impact Profile
- NHP:Nottingham Health Profile
- SF-36:MOS Short-Form 36-Item Health. Survey
- EQ-5D:EuroQol 5 Dimension
心理的状態
次に“心理的状態”に当てはまる評価項目としては次のようになります。
- 情動行為(SIP)
- 情緒反応(NHP)
- 全体的メンタルヘルス(SIP)
- 心の健康(SF-36)
- 不安/抑うつ(EQ-5D)
社会的交流
次に“社会的交流”のカテゴリーに当てはまる各評価項目については次のようになります。
- 社交(SIP)
- コミュニケーション(SIP)
- 社会的孤立(NHP)
- 社会生活機能(SF-36)
経済的、職業的状態
経済的、職業的状態に当てはまる項目については次のようになります。
- 仕事(SIP)
- 家庭管理(SIP)
- 日常役割機能(身体・精神)(SF-36)
宗教的、霊的状態
宗教的、霊的状態に当てはまる評価項目ですが次のようになります。
- エネルギーレベル(NHP)
まとめ
QOLの定義を考える際に、今回はSpilker B.によるQOLの定義モデルを軸に解説しました。
QOLを評価するにも個人の価値観によって大きく異なるので難しいって言われています。
Spilker B.によるQOLの定義モデルから紐解いていくことで、大枠でもその人のQOLを向上させる方法の一端がつかめると思うのです。