バイタルサインの一つである”脈拍”。
本記事では…
- 脈拍の定義
- 脈拍のメカニズム
- 脈拍数について
- 年齢別の脈拍の正常値
- 脈拍の乱れの対処法
…について解説します。
脈拍とは
脈拍とは、心臓が拍動する回数のことを指します。
通常は1分間の拍動を数えます。
脈拍のメカニズム
この脈拍は、心臓の収縮によって左心室から大動脈に送り出された血液が動脈壁を膨張させることで生じます。
膨張した動脈壁は、動脈壁の弾性によって振動し、その波が末梢の動脈に伝わり、脈拍として感じられます。
脈拍の伝播速度は5〜9m/秒で非常に速いため、脈拍は心臓の拍動とほぼ同時に触知することができます。
脈拍は心臓から送り出される血液によって生じるため、脈拍を感じることで心拍出量の強さや規則性をある程度推測することができます。
脈拍数
正常な脈拍数は一般的に1分間に60〜100回程度です。
脈拍数の最大値は年齢とともに低下し、一般的には220から年齢を引いた値で推定されます。
ただし、不整脈が存在する場合は脈拍数と心拍数が異なることに注意が必要です。
年齢別脈拍の正常値
年齢別の脈拍の正常値は…
- 20代: 65~75回/分
- 30代: 70~80回/分
- 40代: 70~80回/分
- 50代: 65~75回/分
- 60代: 60~70回/分
- 70代: 70~80回/分
- 80代: 60~70回/分
- 90代: 80~90回/分
…になります。
ただし一般的な年齢別の脈拍の正常値の目安ですが、個人の体調や生活状況によって異なる場合もあるので注意が必要です。
そのため、この値はあくまで参考にする程度にしておく必要があります。
脈拍数が高い場合の対処法は?
では、脈拍数が高い場合の対処法はなにがあるのでしょうか?
- 深呼吸をしてリラックスする
- 瞑想を行う
- 運動をする
- 喫煙を控える
- 飲酒を控える
- 睡眠不足を解消する
…について解説します。
深呼吸をしてリラックスする
脈拍数が高いとき、一般的には深呼吸をしリラックスすることで脈拍数を低下させ落ち着かせることができます。
特に腹式呼吸を意識した深呼吸が効果的なようです。
瞑想を行う
瞑想は、心拍数を下げることができます。
この瞑想による心拍数への効果は様々な研究によって示されています。
また、洞察瞑想と集中瞑想を行った人は心拍数が3~4回/分減少し、集中瞑想と自己超越瞑想を行った人は血圧が4~5mmHg低下することがわかっています。
ただし、個人差があるため、必ずしもすべての人に当てはまるわけではないことは注意点といえます。
運動をする
運動によって心拍数は一時的には上がります。
しかし1~2ヶ月程度の中期的にみると、徐々にその負荷に対して心臓が鍛えられることになります。
その結果、運動時の心拍数は平均的に低下してくるという報告があります。
つまり、心臓が運動で鍛えられると、1回の心拍で送られる血液量が増えて心拍数が少なくなります。
いわゆる”アスリート心臓”と呼ばれるものです。
喫煙を控える
ニコチンは、血管を収縮させ、血圧を上昇させ、心拍数を増加させることが知られています。
飲酒を控える
アルコールを飲むと、血管が広がり、血圧が下がり、脳が全身に血液を流そうとすることから脈拍が増加し、動悸がするとされます。
アルコールの代謝産物のアセトアルデヒドが交感神経を活性化させるため、脈拍数が上がります。
逆に、血圧はアルコールにより血管が拡張することによって下がると言われています。
脈拍数が上昇する時間は、数時間から長い場合は24時間程度とされています。
アルコールを大量に飲んだ場合や連日飲酒した場合は、最大で24時間程度脈拍数の上昇が持続します。
睡眠不足を解消する
睡眠不足が続くと自律神経が乱れやすくなり、心拍数や血圧を調整する働きが乱れることで動悸が起こりやすくなります。
睡眠不足の状態では、ストレスの増加や自律神経の乱れによって血圧が上がり、心拍数、脈拍数も上昇します。
脈拍数が低い場合の対処法は?
では逆に、脈拍数が低い場合の対処法としてですが…
- 安静にする
- 運動をする
- ストレスを減らす
…があげられます。
以下にそれぞれ解説します。
安静にする
脈拍が低い場合、なによりも安静にしておく必要があります。
脈拍が低い原因がストレスや運動不足といった一時的なもの、生活習慣的なものなら比較的対処可能です。
しかし、貧血や心臓疾患などの原因によっても心拍数が低下する場合があります。
そのため、まずは安静にし、それでも症状が治まらない場合は専門の医師の診察が必要になります。
運動をする
運動不足は脈拍を低くする原因の一つです。
運動をすることで心臓が強くなり、心臓が一回の拍動で送り出す血液量が増えるため、脈拍数を上げることができます。
ストレスを減らす
ストレスも脈拍を下げる原因の一つです。。
これは自律神経の乱れに関わるものになります。